2ntブログ

『真夜中のセールストーク』第二章・・・(紅殻格子)

  ※ 小説を読まれる方へ・・・
    更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
    お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
    第一章からお読みいただけるようになっております
 
         
 『真夜中のセールストーク』

二・ 

鏡の前に立った美帆は、ダークブラウンに染めたレイヤーの髪を掻き上げ、鏡に映る自分の顔を見入った。

くりくりと活発に動く円らな瞳、欧米人にも劣らない高い鼻梁、はきはきとした物言いをする口許――モデルとしてでも通用する現代的な美人である。

長身を包むダークグレイのスーツは、豊かな乳房に押し上げられ、胸元がはちきれんばかりに隆起している。
そして膝上のタイトスカートは、大きめな形のいいヒップでパンパンに張っていた。

結婚して三年、今年三十路の大台に乗った美帆だが、その容色は二十代の頃と比べて衰えることがなかった。
かえって人妻らしいふくよかな艶が加わり、熟した果実のように甘い芳香を発散していた。

誰もが羨む容姿だが、美帆は密かにコンプレックスを抱いていた。
女王様。
周囲の男達は美帆を陰でそう呼んだ。

気の強い性格と大柄で豊満なボディが、黒革のコスチューム姿を想像とさせるのだろう。
もちろん美帆にそんな趣味はないが、鞭で叩いてみたい男はたくさんいた。

美帆は大きく深呼吸した。
(さあ、今日も頑張らなきゃ)
そう自分に言い聞かせると、重い黒鞄によろめきながら化粧室を飛び出した。

美帆は、SAファーマという外資系製薬企業のMR(エムアール)である。
MRとは医薬情報担当者の英略で、医薬品の効能や副作用を医師に正しく伝えるのが仕事である。

人命に係わる医薬品だけに、MRの活動は社会的な責務に他ならない。
ところがその実態は、自社の医薬品を医師に処方させる製薬会社の営業マンだった。

世間にはあまり馴染みのない職業だが、病院で根気強く観察していると、忍者のように暗躍するMRの姿を目にすることができる。
トレードマークは紺のスーツと大きな黒い鞄で、彼等は薬を売り込むために、待合室の隅や廊下で医師を待ち伏せしている。

美帆は三階にある医局へと向かった。
一般病院の医局とは医師の詰め所のことである。
診察を終えた医師が休憩しているこの時間、MRにとって医局はまさに主戦場へと変わる。

美帆は医局の扉を開けた。
窓から港が見渡せる明るい大部屋には、中央のテレビを囲うようにソファが置かれ、新聞や雑誌があちこちに散らかっている。

十人ほどいる白衣姿の医師達は、テレビを見たり雑誌を読んだりして、思い思いに激務の疲れを癒している。
すでに他社のMRが十人ほど医局に詰めていた。MRがこの病院に強いか弱いかは、医局でのポジション取りですぐにわかる。

強いMRは医師とソファに座って親しげに会話できるが、弱いMRは声をかけることもできずに壁の華となっている。

総じてMRの立場は弱い。
例えば高血圧をとっても、その治療薬は掃いて捨てるほどある。

画期的な新薬でもない限り、多忙な医師は自ら薬の話など聞きたがらない。
薬の宣伝ができるまでには、何度も足を運んで、顔と名前を覚えてもらわなければならないのだ。
 
つづく・・・。

・・・・・・ お知らせ ・・・・・

『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。

『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・
(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは? 
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※

  『閲覧方法』

♪NEW♪
「色褪せぬ薔薇」新たな携帯電子書店
▼禁断愛▲ ヒミツ文庫でも配信になりました。

▼禁断愛▲ ヒミツ文庫こちらの電子書店は、女が感じる官能エロス満載です。
「色褪せぬ薔薇」 只今、トップ記事にて掲載されています(*^_^*)

「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。

電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。

パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが
電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。

[妄想の囲炉裏端]~掲示板~

~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
関連記事

theme : 官能小説
genre : アダルト

『真夜中のセールストーク』第一章・・・(紅殻格子)

  ※ 小説を読まれる方へ・・・
    更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
    お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
    第一章からお読みいただけるようになっております

 
         『真夜中のセールストーク』

一.

港の見える丘公園。
外人墓地。
元町。

横浜山手には、全国に名を馳せる観光スポットが数多ある。
港を見下ろす丘に建つ教会や洋館に、訪れた者の多くは、ロマンチックなイメージを横浜に重ねるだろう。

だが元々横浜は港湾都市である。
山手の丘を一歩下りると、古めかしい雑然とした街並みが現れる。
網の目のように狭い路地が交錯し、庭のない狭小住宅や安アパートが軒を連ねている。

本牧界隈。
山手の丘が横浜の表玄関だとすれば、ここ丘の下にひしめく雑居区は、横浜の勝手口に譬えられるかもしれない。

今でこそ巨大なショッピングモールが威容を誇る本牧も、その昔はチャブヤと呼ばれる娼館が並び、汗だくのランニング姿が闊歩した港湾労働者の街だった。

結城美帆は、家が密集する狭い路地に車を走らせながら、瀟洒な洋館とはかけ離れた下町の街並みに目を遣った。

(これが本当の横浜なのね)

埼玉で生まれ育った美帆は、薬科大学に通っていた頃、デートで何度か横浜へ来たことがあった。

煌びやかでお洒落な街しか頭になかった美帆は、ここで仕事をするようになってから、軒先に油まみれの作業着が干してある横浜を知った。

煙を吐く銭湯の煙突、今も量り売りをする商店街、酒屋の中に設えられた立ち飲みのカウンター、行列ができそうもない薄汚い食堂――初めは幻滅と落胆を感じた美帆だったが、何度も仕事で足を運ぶうちに、下町らしい庶民的な雰囲気に惹かれるようになっていた。

やがて美帆の眼前に巨大な建物が現れた。
地上五階と高層ではないが、臥竜がごとき威圧感を巨躯に湛えている。
そして戦国時代の城下町さながら、その建物は周辺の民家を睥睨するようにそびえていた。

みなと総合病院。
地域医療の中核を担うこの病院は、内科外科を始め診療科数二十、ベッド数三百を誇る医療法人である。ここ本牧では唯一の総合病院で、戦後間もない頃に開設されて以来、地域の住民からは絶大な信頼を勝ち得ていた。

そこに勤務する医師や看護師も、まるで聖職者のように、患者達から尊敬の念で崇められていた。

美帆は駐車場に車を停めて時間を確認した。十二時半。

重い黒鞄を手に病院へ入ると、会計待ちの患者がまだホールにごった返していた。
美帆は薬局の薬剤師に軽く会釈をして、足早に近くの化粧室へ駆け込んだ。

つづく・・・

        ・・・・・・ お知らせ ・・・・・

『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。

『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・
(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは? 
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※

          『 閲 覧 方 法』

♪NEW♪
「色褪せぬ薔薇」新たな携帯電子書店
▼禁断愛▲ ヒミツ文庫でも配信になりました。

▼禁断愛▲ ヒミツ文庫こちらの電子書店は、女が感じる官能エロス満載です。
「色褪せぬ薔薇」 只今、トップ記事にて掲載されています(*^_^*)

「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。

電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。

パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが
電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。

[妄想の囲炉裏端]~掲示板~

~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
関連記事

theme : 小説
genre : アダルト

紅殻格子のつぶやき⑤・・・(紅殻格子)

紅殻格子のつぶやき⑤

『男の居場所』が終わりました。
この作品も思い出深い作品です。

男の最後の居場所は、やはり愛する女であって欲しいものです。

だがそれも難しい時代になってきました。
読者の皆様もお気をつけ下さい。

さて次作は・・・『真夜中のセールストーク』という話です。
直球勝負の幸せになれる作品です。
是非お楽しみに。

   ・・・・・・・ お知らせ ・・・・・・・

♪NEW♪
「色褪せぬ薔薇」新たな携帯電子書店
▼禁断愛▲ ヒミツ文庫でも配信になりました。

▼禁断愛▲ ヒミツ文庫こちらの電子書店は、女が感じる官能エロス満載です。
「色褪せぬ薔薇」 只今、トップ記事にて掲載されています(*^_^*)

[妄想の囲炉裏端]

~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
関連記事

theme : 官能小説
genre : アダルト

 「男の居場所」 最終章・・・(紅殻格子)

  ※ 小説を読まれる方へ・・・
    更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
    お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
    第一章からお読みいただけるようになっております
 
            「男の居場所」

十五・

いつものラブホテル。
シャワーを浴びた美奈が、ベッドに寝転んで水上を待っている。

「次長、何か今夜は元気ないみたい」

「・・・いや、少し疲れただけだ」

水上は美奈の肢体に覆い被さった。
昼間の板橋の話が頭の中から離れなかった。

福岡は単身赴任者が多い。単身赴任のほとんどは、子供が中学や高校に通う中年男たちだ。
喜んでそんな生活を選ぶのは、ごく一握りの人間だ。

大半は家族の犠牲になって、うら寂しい生活に甘んじているのだ。
そんな心の隙間に忍び込むのは難しいことではない。

しかも少しは金が自由になる中年男だ。
会社と家庭にばれるのを恐れ、騙されても決して騒ぐことはない。

風俗のアルバイトをして金を稼ぐより安心だし効率がいい。
ここはそんな女がいてもおかしくない土地なのだ。

水上は美奈の胸を押し頂くように揉んだ。
食事をしている間も、水上は面と向かって問い質すことができなかった。
理由はわかっていた。

大切に守ってきた会社、そして家庭は、水上を必要としなくなっていた。
今の水上に残された居場所は美奈だけだった。
正確に言えば、この美奈の肢体だけなのだ。

美奈は小さく喘いで身をよじった。
その様子を見ながら、たとえ真実がどうであっても構わないと水上は思った。

全てを失っても、この心地よい最後の居場所だけは守りたい---。
水上は美奈への愛撫にのめりこんでいった。

- 閉幕 -

・・・・・・ お知らせ ・・・・・

『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。

『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・
(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは? 
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※

閲覧方法・・・

「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。

電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。

パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが
電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。

[妄想の囲炉裏端]~掲示板~

~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
関連記事

theme : 官能小説
genre : アダルト

「男の居場所」 第十四章・・・(紅殻格子)

  ※ 小説を読まれる方へ・・・
    更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
    お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
    第一章からお読みいただけるようになっております

 
           「男の居場所」

十四・

水上の前任者、西山はやはり単身赴任で福岡支店に勤務していた。
年齢も水上とほとんど変らなかった。

西山の動行がおかしいと、板橋が気づいたのは、急に商品券を大量に使うようになったからだったという。
板橋がそのことを注意すると、今度は西山あてにサラ金からの電話が頻繁にかかってくるようになった。

噂は瞬く間に広がり、結局西山は会社を辞めなければならない状況に追い込まれた。
水上はキッと板橋を睨み返した。

「俺がそうなると言うのか?」

「そうだ。俺が聞き出した話では、金遣いが荒くなった原因は女だ」

「・・・女・・・」

「名前までは西山も明かさなかったが、たぶんうちにいる澤田美奈が相手だろう」

「えっ?」

水上は絶句した。
美奈のあどけない笑顔が脳裏を過ぎった。
危うく「嘘だろう」と言いかけたのを水上は必死に飲み込んだ。

「確証はない。ただ噂では、彼女は売れないバンドのギタリストに熱を上げ、生活の面倒を見ているらしい。つまりヒモがいるんだ。だから金が要る」

水上は頭の中で美奈の言葉を繰り返した。
『甘えられる年上の男性に憧れてしまうの』
嘘だと思いつつ、水上はいつしかその言葉を信じていた。
頭の中が白くなっていく。

「もう、いい」

水上は定食に箸もつけず、板橋を残したまま逃げるように店を後にした。

つづく・・・

・・・・・・ お知らせ ・・・・・

『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。

『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・
(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは? 
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※

閲覧方法・・・

「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。

電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。

パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが
電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。

[妄想の囲炉裏端]~掲示板~

~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
関連記事

theme : 官能小説
genre : アダルト

 「男の居場所」 第十三章・・・(紅殻格子)

  ※ 小説を読まれる方へ・・・
    更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
    お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
    第一章からお読みいただけるようになっております
 
           「男の居場所」

十三・

水上が内勤の日、珍しく経理課長の板橋が昼飯へ行こうと誘いに来た。
会社から少し離れた定食屋の座敷は、時間が早いせいか、水上と板橋の他には誰もいなかった。
板橋は煙草を取り出して火をつけた。

「一ヶ月前は支店長とぶつかって落ち込んでいたけど、最近はふっきれたように顔が明るいじゃないか」

「いや、仕事の上では相変わらずだ。あの時以来、支店長は俺を目の敵にしている」

「会社の他に楽しみでもできたのか」

「・・・うむ、そんなところかな」

美奈の愛くるしい笑顔を思い浮かべ、水上は独り口元を弛めた。
あの夜から、水上と美奈は週一ぐらいのペースで逢瀬を続けている。

密会の場所と時間は、その日の朝、美奈がメールで知らせてくる。
そして会社が終った後、一緒に食事をしてからラブホテルへ向かう。

今夜も美奈と会う約束になっていた。
今や美奈だけが水上の生きがいだった。
娘ほどの若い肉体は、老いた水上に鮮烈な悦楽を蘇られてくれた。

否、セックスだけではない。
美奈がいてくれるだけで、水上は虚ろな心の隙間を埋めることができた。

仕事中も、独りでアパートにいる時も、考えることは美奈のことばかりだった。
それは若い頃にも経験したことがない、一途で純粋な恋心だった。
板橋は灰皿に煙草を押し消した。

「水上、お前、この一ヶ月、金遣いが荒過ぎないか?」

「どういうことだ?」

「支店長はまだ気がついていないようだが、長年経理で飯を食ってきた俺の目はごまかせないぞ」

「・・・・・・・・」

今度は水上が煙草に火をつける番だった。

「水上、今月だけで二十万円近い商品券を使っているだろう」

「そ、それは、代理店幹部の昇進や、祝い事が重なったからだ」

「そう言うと思ったよ。商品券は経理にとっても一番やっかいな代物だ。商品券を買った領収書は残っ
ても、それを得意先に渡した証拠が残らないからな。社員が嘘をついてこっそり懐に入れたり、金券ショップで換金したりしてもわからないんだ」

「お、俺を疑っているのか?」

「いや、商品券の社内不正の温床になりやすいと言っているだけだ」

二人の間に気まずい沈黙が訪れた。
板橋の鋭い視線が水上の顔に注がれている。

堪らず水上は板橋から目を逸らせ、吸っていた煙草を灰皿に揉み消した。
水上は板橋の勘の良さに舌を巻いた。

美奈と会うたび、水上は小遣いを渡していた。
勿論、美奈は面と向かって金をくれとは言わない。

ただベッドの上で、流行の服が欲しいとか海外旅行に行きたいと甘える。
水上も嫌な気はしなかった。

金のこととは言え、美奈に甘えられるのは嬉しかったし、中年男につきあってくれる感謝を形にしたかった。

しかし水上とて東京には家族がある。
しかも家のローンと子供たちの養育費で、まだまだ金に余裕があるわけではない。

「商品券って金券ショップでお金に替えてくれるらしいよ」

会話の中で、美奈が何気なく言ったことがヒントとなった。
会社への忠誠心を失った水上は、すぐにそれを実行に移した。

注文した定食が運ばれてきた。
湯気の立つ味噌汁を前にして、水上も板橋も箸を手に取ろうともしなかった。

「同僚として、もうひとつ忠告しておく。会社を辞めたお前の前任者のことだ」

板橋は冷たい目で水上を睨んだまま、ぽつりぽつりと話し始めた。

つづく・・・

・・・・・・ お知らせ ・・・・・

『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。

『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・
(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは? 
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※

閲覧方法・・・

「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。

電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。

パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが
電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。

[妄想の囲炉裏端]~掲示板~

~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
関連記事

theme : 官能小説
genre : アダルト

プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
最近の記事
FC2カウンター
最近のコメント
データ取得中...
ブログ内検索
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ フィードメーター - 『妄想の座敷牢』~官能小説家、紅殻格子の世界~
アクセスランキング
ご訪問ありがとうございます。
ランダムでブログを紹介
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

携帯からご覧いただけます
QR
FC2ブックマーク
RSSリンクの表示
FC2ブログランキング
 あと一歩のを目指して…
 日々頑張って書いています

応援よろしくお願いします
FC2官能小説ランキング入り口 
FC2官能小説ランキング入り口
にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます。
PVアクセスランキング にほんブログ村
人気ブログランキング
        
人気ブログランキングへ
ジャンル別リンクサイト様
【夫婦性活ブログ】
 
熟女PUREの冒険
【男性主催ブログ】

寝取られ話ファイル~奥さん寝取られ話集~
相互リンクサイト様
※「妄想の座敷牢」はリンクフリーです。 また相互リンクを希望される方は、メールフォームorコメント欄で連絡をいただければ検討させて頂きます。 ※ただし商用目的だけのサイト及び有料アダルトサイトに誘導する目的のサイトは、こちらにお越しくださる皆様のご迷惑となりますのでお断りさせて頂きます。
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク用バーナー
妄想の座敷牢8

妄想の座敷牢7

妄想の座敷牢9

妄想の座敷牢4

妄想の座敷牢6

妄想の座敷牢5