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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(一)

『人外境の花嫁』 

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六.伏魔殿の監禁者 (一)

どのぐらい眠っていたのだろう。

頭の奥が軋むように痛い。

焦点が定まらない目で、恐る恐る周囲を見回してみる。

(・・監獄?)

コンクリート剥き出しの壁に囲まれた六畳あまりの部屋。

窓はなく、頑丈そうな鉄の扉だけが、殺風景な部屋ただ一つの装飾になっている。

藤野麻美は身を起こした。

その時初めて麻美は、着衣もなく、鉄パイプの簡素なベッドに寝かされている自分に気づいた。

本能的に麻美は陰部を指でなぞった。

特に普段と変わらない。

ほっと安堵の息をつくと、麻美は頼りない記憶の糸を手繰っていく。

宅急便。

猿のような男の顔。

再び激しい頭痛に襲われ、麻美は両手で頭を抱え込んだ。

カチャと金属音がして鉄の扉が開いた。

「お目覚めになられましたか?」

混濁した頭を醒ます清々とした声がして、麻美がうずくまるベッドへ誰かが歩み寄ってきた。

少女だった。

まだ十代だろうか、漆黒のショートヘアと切れ長の大きな瞳が、悪戯っぽい子猫のような印象を与えている。

「あ、あなたは・・?」

「私、ミーアです。猫に似ているからそう呼ばれています。麻美様のお傍に仕えるよう言い使っております」

麻美は裸身を隠すことも忘れて、巫女のような神秘さを湛えた少女をただぼんやりと見つめた。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(二)

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六.伏魔殿の監禁者 (二)

ミーアと名乗る少女は、折り畳んだ純白の布を麻美に差し出した。

「麻美様、この服をお召し下さい」

ポンチョのような貫頭衣を被せられた麻美は、シルクの滑らかさを素肌に感じた。

見ると、ミーアも同じデザインの若草色の貫頭衣を着ている。

「これは・・?」

「組織の幹部が着る儀礼服です。私は十三階位中七階位なので若草色ですが、麻美様は十二階位ですので白の儀礼服になります」

首と両腕だけ通す穴が開いた薄絹は、丈が足首あたりまであるものの、体に密着していないせいか、どこかふわふわと心許ない感じがした。

だが着衣に勇気を得た麻美は、自分の娘ほどのミーアに毅然とした態度で問い詰めた。

「幹部って・・私は拉致されたのよ。一体ここは何処なの?」

「は、はい、天神会の横浜支部です」

「天神会?」

麻美もその団体名は聞いたことがある。

横浜の寿町に支部を構え、浮浪者達に炊き出しを行なう慈善団体だった。

寿町。

それは東京の山谷や大阪の釜ヶ崎に次ぐ横浜一のドヤ街である。

簡易宿泊所が建ち並ぶ通りには、日雇いにあぶれた男達が寝転がり、昼間から安酒のビンを並べる異臭漂う街だった。

麻美は続けて聞いた。

「天神会が何故私を拉致したの? それも幹部などとわけのわからないことを・・」

次第に昂ってきた麻美の言葉に、ミーアはただ怯えた瞳を向けるだけだった。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(三)

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六.伏魔殿の監禁者 (三)

その時、再び鉄の扉が開いた。

「そこからは私がお話しましょう」

現れたのは、やはり同じ儀礼服を着た男二人だった。

「あっ、あなたは宅急便の・・」

「お許し下さい、麻美様。昨日は申し訳ございませんでした。如何せんアヤタチ様のご命令でして・・」

猿顔をした小柄な男は、青色の儀礼服に身を整え、平伏して額を床に摺りつけた。

すると隣にいた紫色の儀礼服を着た男が、恰幅のいい体を揺すって恵比須顔を見せた。

「麻美様、ちょっと手荒でしたが、子猿は命じられたことをしただけです。しかし麻美様が天神会に来られるのは、避けられない運命だったのですよ」

「ど、どういうことなの?」

「お教えするには、麻美様に天神会を知って戴かなければなりません」

横浜支部長を名乗る五十代後半らしい紫色の男は、そう語りながら、麻美の体に舐めるような視線を這わせた。

慌てて麻美は胸元を両腕で隠した。

下着もつけていない素肌に、白く薄いシルクをまとっているだけである。

(透けているのかしら?)

子猿と呼ばれている男も、平伏しながら時折顔をあげて麻美の体を盗み見している。

体を売る商売をしてきた麻美だが、意味もなく裸身を見られるのには途惑いを感じた。

麻美はミーアに目を遣った。

動いている時は気にならなかったが、立った姿勢でいると、ひらひらする若草色の衣が体に貼りつき、小ぶりな両の乳房にぽつんと突起が浮き出している。

麻美の不安に気づいた支部長が笑った。

「何、すぐに慣れます。我々幹部は皆、儀礼服の下は素っ裸なんですよ・・あっはは」

太鼓腹の下、股間を覆う布が不規則に揺れるのを麻美は見た。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(四)

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六.伏魔殿の監禁者 (四)

夕食をミーアが運んで来た。

窓のない部屋に監禁されている麻美は、時刻が夕飯時なのかと初めて見当がついた。

おそらく一昼夜眠っていたのだろう。

食事はほとんど喉を通らなかったが、天神会に麻美を殺害する意思がないことは明らかになった。

「麻美様が天神会に来られるのは、避けられない運命だったのですよ」

紫色の横浜支部長が語った理由はまだわからない。

そして慈善事業団体を名乗る天神会が、暴力的な拉致を行い、秘密結社めいた儀礼服を身につけているのも謎だった。

再び横浜支部長が現れた。

「まずは私共の施設をご案内しましょう」

麻美はミーアにかしずかれながらエレベーターに乗った。

建物はまだ新しく、エレベーターの階表示を見ると五階建てらしい。

監禁された部屋がある四階から一階へと降りると、そこは小窓がついた狭い空間だった。

「このエレベーターの存在は、外部からは一切わからない構造になっています」

小窓はマジックミラーになっていた。

そこから覗くと、壁越しに床面積百坪ほどはある大広間が広がり、百人以上収容できるテーブルと椅子が並んでいた。

「ここは困っておられる方々に無料で食事を差し上げる場所です。弱者救済、私達の教えを実践する場でもあります」

座席の大半は、煤けた服を着た髭が伸び放題の浮浪者で埋まっていた。

そして彼等の間を、作務衣を着た男女が忙しく給仕して回っている。

「二階と三階は、厨房と食糧庫、そして下級階位者の居室になっています」

「下級・・階位?」

弱者救済を唱える団体にしては、あからさまな差別的な言い様に、麻美は横浜支部長へ訝しげな目を向けた。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(五)

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六.伏魔殿の監禁者 (五)

横浜支部長は続ける。

「一から六階位までが下級階位です。七階位からが上級階位で、この儀礼服を着ることが許されます。

下級階位は、手弁当で弱者に献身することで階位が上がる制度になっています」

「でも何故マジックミラー越しに?」

「麻美様、上級階位の幹部と下級階位の奉仕者は、根本的に役割が違うのです。

上級階位を得た幹部は、世間にその実態を明かしてはならない決まりになっています」

尤もこの恰好で街を歩いたら警察に捕まりますけどと、支部長は股間をぶらぶら揺すって笑った。

天神会横浜支部には、総勢百人の人間が出入りしている。

内八十人は下級階位に属し、他の仕事を持ちながら、ボランティアで炊き出しなどの活動に参加していると言う。

もちろん彼等を指導するのは残り二十人の上級幹部だが、マジックミラーから表へ出る時は、下位階位者同様の作務衣を着なければならない。

つまりこの建物の四階と五階、そしてマジックミラーで仕切られた秘密空間こそに、下級階位者が窺い知らぬ天神会の実像があるようだ。

麻美は支部長を睨みつけた。

「そんな差別と秘密主義なんて、天神会が目指す弱者救済に反するんじゃないの?」

「さすがは麻美様です。しかし宗教団体などというものは、必然的に矛盾を孕んでいるものなのです」

「それは?」

「理想と現実には溝があります。それを解決するのが金です。その金を集めるのが上級幹部の役割なのです」

支部長は食事にありつく浮浪者達を見ながら、ふふっと小さく鼻で笑った。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(六)

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六.伏魔殿の監禁者 (六)

麻美は呆れた。

「そんなのインチキ宗教と一緒じゃない」

「そうですかな。神道には賽銭、仏教には布施、キリスト教にはチャリティー・・宗教は全て金を必要としているではありませんか」

「そ、それは」

「天神会においても、無償で食糧を提供するには莫大な資金が必要です。金がなければ人を救うことなどできません」

言葉に詰まった麻美に、支部長は再び恵比須顔で優しく諭した。

宗教団体を維持するには、集金システムがなければならない。

大半の宗教は、その信奉者が供出した浄財で運営されている。

確かに紛れもない事実だろう。

だがそうであれば、天神会とて下級階位の浄財によって成り立っているはずである。

ならば却って、差別と秘密主義など生じ得ないではないか。

支部長は太った腹を突き出した。

「我々は独自の資金源を持っています。決して金を下級階位者から集めたりしません。貧しい者を救うため、世の中の無益な金を集める仕組みをアヤタチ様が考えられたのです」

「またアヤタチ・・様?」

「偉大なる神です。我々が秘密裏にこのような儀礼服を着るのも、麻美様がここへ招かれた理由も、全てはアヤタチ様の思し召しによるものなのですよ」

恍惚と語る支部長に、麻美はますますアヤタチという存在を胡散臭く感じた。

新興宗教の教祖などそんなものだろうが、そのアヤタチが麻美とどのような関係にあるのか、しばらくは彼等の言いなりになって探るしかなかった。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(七)

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六.伏魔殿の監禁者 (七)

マジックミラーで仕切られた一階から三階を見学して、麻美とミーア、そして支部長と子猿は四階中央の居室へ戻った。

一切窓がないフロアである。

外界から遮断された空間に、八人の上位階級者が集まってきた。

「麻美様、お会いできて光栄です」

「麻美様、お待ちしておりました」

いろいろな色の儀礼服を着た老若男女が、深々と麻美に頭を下げて挨拶していく。

麻美は彼等をぼんやりと見送った。

(何故私が・・)

母を失ってから、天涯孤独で生きてきた麻美である。

商売で肌を重ねた男達を思い返しても、アヤタチなどと名乗る者に出逢ったことはない。

ふと降矢木の顔が脳裏に浮かんだ。

(母が持っていた絵文字を先生に解読してもらおうと思っていたのに・・)

その時、麻美は幼い頃に母が語った一言を思い出した。

『きっと父ちゃんは、お前を優しく迎えてくれるだろうよ』

麻美は直感的にアヤタチが父ではないかと考えた。

麻美が着ている儀礼服は、最上階位の一つ下にあたる十二階位らしい。

そのアヤタチと親子でもなければ、いきなりそんな高い階位をよそ者に与えたりしないだろう。

未だに父の名前も所在もわからない。

降矢木に解読を依頼した封書の差出人は足立寛三だった。

だが寛三が麻美の父親であるかはわからない。

母の話では、父が生きていれば相当な高齢であり、深い山奥の村で暮らしているはずだった。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(八)

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六.伏魔殿の監禁者 (八)

麻美は心臓の鼓動を感じた。

「アヤタチは私とどんな関係があるの?」

「それはまだ申し上げられません。何故なら天神会の運命がかかっているからです。もし麻美様が天神会に入信頂けなければ・・」

温和な支部長の表情が険しくなった。

「ど、どうなるのよ?」

「我々の秘密を知った以上は、ここから生きては戻れません」

「・・それじゃ、私には天神会に入るしか選択肢はないってこと?」

「ですから運命だと申し上げているのです。麻美様と我々は運命共同体なのです」

支部長はそう答えて麻美を見つめた。

表向きは慈善団体の天神会だが、裏ではただならぬ暗部を抱えているようだった。

無益な金を集める仕組みと言った。

無益な金。

先ほど支部長が語った集金システムが麻美の脳裏を過った。

この建物もそうだが、全国で大規模な炊き出しをするにも、相当な資金力がなければならない。

麻美には想像がつかなかった。

「一体天神会の秘密って・・?」

「今夜、ここ横浜支部で、六階位の人間が七階位に昇格する儀式があります。秘密を共有する上級階位への入会式です。麻美様にもその儀式に参加して頂きます」

支部長の言葉に麻美は頷いた。どうせ拉致された身である。

生きて帰れないのなら、とことんまで天神会の秘密を暴くほかないだろう。

そしてアヤタチの正体も。

麻美は支部長に促されて、五階へ向かうエレベーターに乗った。

つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(九)

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六.伏魔殿の監禁者 (九)

上級階位者個々の居室や共有スペース、バス・トイレまで完備された四階と比べて、五階は厳重な扉で守られた広間がフロアを占有していた。

修養の間。

窓一つないそのスペースは、血の色と見紛う赤の絨毯と壁紙が、暗いシーリングライトに照らされている。

「ここは・・」

目も眩むような赤の洪水に、麻美は血の臭い感じて思わず一歩後退りした。

異空間の奥に、高さ二メートルほどのおかしな像が飾られている。

「ぞ・・象の像?」

洒落ではなかっいが、てっきり仏像かと思いきや、安置されているのは長い鼻をした象の立像だった。

「頭が象で、体が人間・・」

麻美は吃驚して目を凝らした。しかも象頭人身の二体が、立ったまま向かい合って抱擁し合っているではないか。

支部長が神妙な顔で麻美に告げた。

「あれは天神会の幹部が崇拝する双身の歓喜天様です」

「でも顔が象じゃないの。しかも仏像なのに何で抱き合っているの?」

「ははは、麻美様はご存じないのですね。しかし歓喜天は聖天とも呼ばれる一般的な仏様ですよ」

歓喜天は、ヒンドゥー教のガネーシャ神に起源を持つ仏で、銭洗い弁天などと並び、富をもたらす仏として信仰されてきたと言う。

浅草待乳山聖天や奈良生駒聖天が有名で、非常に呪力が高い反面、疎かにすると手酷い仏罰が下ると恐れられてきたらしい。

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つづく…

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『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十)

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六.伏魔殿の監禁者 (十)

麻美の疑問は消えない。

「確かに日本にも馬頭観音とかあるから、インドの神様なら象でもおかしくないけど、何で抱き合っていなければいけないの?」

「それは歓喜天が、その名の通り性を司る仏だからです。特に双身歓喜天は、男神と女神が抱き合った像で表現されます。これは男女和合を意味し、日本では秘仏とされて人目に触れてきませんでした」

「せ、性の仏様・・」

昔、降矢木から立川流と言う宗教について聞いたことがある。男女交合の絶頂感を即身成仏の境地とする邪教だったらしい。

立川流は江戸時代に弾圧されたが、天神会もその類の教義を受け継ぐ宗教団体なのだろうか。

麻美は眉を顰めて自分の儀礼服を見た。

先ほど挨拶された上級階位者は、様々な色の儀礼服を着ていたが、やはり男も女も下は素っ裸だとすぐにわかった。

支部長はにんまりと笑った。

「麻美様が今ご想像されている通りですよ。我々幹部は、性の儀式によって結ばれています。その理由は後ほどご説明するとして、まずは上級階位への入会式をご覧下さい」

意味ありげに語った支部長は、ミーアに向かって合図すると、自らは歓喜天像の前に進み出て平伏した。

ふと麻美は甘い匂いを感じた。

見るとミーアが、広間の隅々に置かれた香炉に火を入れている。

やがて広間全体に、微かな煙と甘い香りが広がっていく。

そのどこかトロリとした匂いに、麻美は頭の芯がぼんやりとするのを感じた。

つづく…

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

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だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
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