『あやかしの肌』・・・第一章
女の肌。
乳房や性器に執着するように、肌の触感もまた男を狂わせる女の性なのです。
魔性の肌に魅入られた男の物語をご紹介します。
月刊『小説NON』に掲載された作品です。
江戸川乱歩的な偏執的ストーリーをお楽しみください。
『あやかしの肌』
第一章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
そりゃ綺麗な女でしたよ。
あたしは博労ですから、馬の売り買いであちこちの村を渡り歩きますが、あれほどの別嬪にはお目にかかったことがありません。
どこで見たかって?
ええ、村外れのお堂ですよ。
隣村で商いを終えたあたしは、仔馬を曳いて峠を越したんですが、途中で日が暮れてしまいましてね。
野晒しよりはましかと、お堂を借りて夜明かしすることにしたんです。
月は出ていましたが、お堂のある雑木林は暗くて不気味でね。
昼間でも寂しいところですから、夜更けともなれば人通りなどまったくありません。
ところが荒れ果てたお堂に近づくと、中から人の気配がするじゃありませんか。
夜盗かと身震いしましたよ。
馬を木に繋いだあたしは、蜘蛛の巣だらけの破れ戸からそっと中を覗いてみたんです。
いや、驚いたの何のって。
八畳ほどの薄汚れた板敷に、一人の女が立っていたんですよ。
それも真っ裸でね。
すらりとした女の真っ白い体が、窓から射し込む月の光に、ぼうっと青みを帯びて照らされているんです。
狐や狸の仕業かとも疑いましたが、あたしはその美しさにすっかり魅入られてしまいました。
弁天様・・ええ、本物の裸弁天が現れたようでしたよ。
気が動転したあたしは、もう足がガクガク震えちゃって、情けないことに立っているのがやっとでした。
つづく・・・
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