『喝 采』・・・(第一章)
『喝 采』
・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・。
第一章
煌くような照明が、燦々と天井から降りそそいでいる。
目映い白を基調にした豪華なセット。
出番を待つ有名なコメンテーター陣。
本番直前のテレビスタジオには、番組スタッフの走り回る靴音が慌しく交錯していた。
そんな華やかな舞台で、セットの下手に座った三浦美咲は、手鏡を覗いてメイクのチェックに余念がなかった。
「三浦さん、マイクの位置を調整させて下さい」
駆け寄ってきた女性ADが、派手な美咲のスーツについたピンマイクを、胸元から襟先へと移し替えた。
「こんなに上へつけたら、アップになった時に目障りじゃないかしら?」
「大丈夫ですよ。視聴者は三浦さんの美しさに釘づけで、ピンマイクのことまで気づきませんから」
「あら、そうかしら・・」
お世辞ともつかぬADの言葉だが、美咲はまんざら厭な気もしなかった。
夕方の報道番組。
美咲は自分が番組の主役だと自負していた。
スタジオで一際輝いているのは、女性キャスターよりも美咲の美貌だったからだ。
カメラマンがビューファインダーを覗き込むと、スタジオに緊張の空気が張りつめた。
「本番五秒前、四、三・・」
フロアディレクターがキューを出すと、番組のオープニングテーマ曲が流れた。
つづく・・・
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