『喝采』・・・(第六章)
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第六章
創業間もないエターナル社は、売上十億円を稼ぐ成長企業だが、まだ利益を計上するには至っていなかった。
親会社である関東製薬の庇護を受けてはいるが、社長の美咲にしてみれば、一刻も早く赤字から脱却することが責務でもあった。
それでも馬場は屈しなかった。
「高級化粧品に参入するためには、今のドラッグストアを主とした流通は使えません。一人一人の顧客に、製品の価値を説得しなければならないからです。百貨店に店舗を出したり、美容部員を雇ったりする資金が我が社にありますか?」
捲くし立てる馬場に、関東製薬から出向している経理担当常務が口を挟んだ。
「現在我が社に余裕資金はありません。これ以上借入金を増やすことも難しい状況です」
会議室がしんと静まり返った。話し合いは平行線で、このままでは結論は出そうもなかった。
不意に美咲の携帯が鳴った。
ちらっと携帯の画面を確認すると、美咲は再び柳眉を吊り上げて馬場に挑んだ。
「資金がないなら、関東製薬から増資を取りつけましょう。馬場専務、十億ぐらいあれば事足りるのかしら?」
「いや、金の問題では・・」
「エターナルの経営は、社長である私に委ねられています。資金の問題さえ解決すれば、私の経営方針に従ってもらいます」
「・・・・」
「これで会議を終わります」
不服そうな顔の馬場を残して、美咲は颯爽と会議室を後にした。そして地下駐車場で社用車に乗り込むと、運転手に東京駅方面へ向かうように命じた。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
[妄想の囲炉裏端]~掲示板入り口~
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第六章
創業間もないエターナル社は、売上十億円を稼ぐ成長企業だが、まだ利益を計上するには至っていなかった。
親会社である関東製薬の庇護を受けてはいるが、社長の美咲にしてみれば、一刻も早く赤字から脱却することが責務でもあった。
それでも馬場は屈しなかった。
「高級化粧品に参入するためには、今のドラッグストアを主とした流通は使えません。一人一人の顧客に、製品の価値を説得しなければならないからです。百貨店に店舗を出したり、美容部員を雇ったりする資金が我が社にありますか?」
捲くし立てる馬場に、関東製薬から出向している経理担当常務が口を挟んだ。
「現在我が社に余裕資金はありません。これ以上借入金を増やすことも難しい状況です」
会議室がしんと静まり返った。話し合いは平行線で、このままでは結論は出そうもなかった。
不意に美咲の携帯が鳴った。
ちらっと携帯の画面を確認すると、美咲は再び柳眉を吊り上げて馬場に挑んだ。
「資金がないなら、関東製薬から増資を取りつけましょう。馬場専務、十億ぐらいあれば事足りるのかしら?」
「いや、金の問題では・・」
「エターナルの経営は、社長である私に委ねられています。資金の問題さえ解決すれば、私の経営方針に従ってもらいます」
「・・・・」
「これで会議を終わります」
不服そうな顔の馬場を残して、美咲は颯爽と会議室を後にした。そして地下駐車場で社用車に乗り込むと、運転手に東京駅方面へ向かうように命じた。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
[妄想の囲炉裏端]~掲示板入り口~