『喝采』・・・(第五章)
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第五章
午後七時。
テレビ局から品川にあるエターナル社に戻った美咲は、急ぎ三人の役員を招集して会議を開いた。
議案は高級化粧品ブランドの開発だった。
エターナル社は、高品質低価格の薬用化粧品をドラッグストア経由で販売している。
その路線を維持しつつ、高級化粧品分野へも打って出る腹案が美咲にはあった。
営業を担当する専務取締役の馬場守が頑強に反対した。
「我が社は、一貫して主婦に低価格化粧品を訴えてきました。今、高級ブランドへ参入すれば、せっかく定着しつつあるリピーターに見限られます」
「でも低価格化粧品は利益が薄いのよ。だから高級品で裕福なオバサマ層を狙わないと・・」
「反対です。今はじっくりと既存品を育てていくべきです!」
言葉を荒げた馬場は、顔をしかめて椅子に深くもたれた。
馬場は五十七歳、エターナル社の功労者である。
前歴は中堅化粧品メーカーの営業部長で、エターナル創設に際してヘッドハンティングした人物だった。
小さな化粧品会社でありながら、ドラッグストアに製品を並べられたのは、馬場の人脈に頼るところが大きかった。
人柄は親分肌で、営業部隊は元より社内でも絶大な求心力を持っていた。
美咲は真っ向からの対決を覚悟した。
「今が飛躍するチャンスなのよ。確かに一部の顧客は離れるかもしれない。でも私がマスコミでどんどん宣伝すれば、主婦層の心は今以上につかめるはずだわ」
「五十人程度の小さな会社が、大手化粧品会社の真似をして、高級化粧品にまで手を出せると思っているのですか?」
「我が社は赤字なのよ。そんな悠長なことを言ってはいらないの。高級化粧品を投入して黒字経営に転換したいのよ!」
立ち上がった美咲は、鋭い眼差しで馬場を睨みつけた。
つづく・・・
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「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第五章
午後七時。
テレビ局から品川にあるエターナル社に戻った美咲は、急ぎ三人の役員を招集して会議を開いた。
議案は高級化粧品ブランドの開発だった。
エターナル社は、高品質低価格の薬用化粧品をドラッグストア経由で販売している。
その路線を維持しつつ、高級化粧品分野へも打って出る腹案が美咲にはあった。
営業を担当する専務取締役の馬場守が頑強に反対した。
「我が社は、一貫して主婦に低価格化粧品を訴えてきました。今、高級ブランドへ参入すれば、せっかく定着しつつあるリピーターに見限られます」
「でも低価格化粧品は利益が薄いのよ。だから高級品で裕福なオバサマ層を狙わないと・・」
「反対です。今はじっくりと既存品を育てていくべきです!」
言葉を荒げた馬場は、顔をしかめて椅子に深くもたれた。
馬場は五十七歳、エターナル社の功労者である。
前歴は中堅化粧品メーカーの営業部長で、エターナル創設に際してヘッドハンティングした人物だった。
小さな化粧品会社でありながら、ドラッグストアに製品を並べられたのは、馬場の人脈に頼るところが大きかった。
人柄は親分肌で、営業部隊は元より社内でも絶大な求心力を持っていた。
美咲は真っ向からの対決を覚悟した。
「今が飛躍するチャンスなのよ。確かに一部の顧客は離れるかもしれない。でも私がマスコミでどんどん宣伝すれば、主婦層の心は今以上につかめるはずだわ」
「五十人程度の小さな会社が、大手化粧品会社の真似をして、高級化粧品にまで手を出せると思っているのですか?」
「我が社は赤字なのよ。そんな悠長なことを言ってはいらないの。高級化粧品を投入して黒字経営に転換したいのよ!」
立ち上がった美咲は、鋭い眼差しで馬場を睨みつけた。
つづく・・・
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