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『姦  計』 第一章

姦計

妻の綾子を前に無用に委縮していた肉茎が、
嘘のように、激しく脈動している―
片倉は異常な性の興奮には逆らえなかった。

『姦  計』
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(一)

横浜港に臨む丘の上の高層マンション。
窓からは星屑を撒いたような港の夜景が一望できる。

ベッドサイドに置かれたインテリア・ライトだけが燈る仄暗い寝室で、片倉健太郎は一人ブランデーを傾けていた。
時計の針はすでに十二時を回っている。
しかしいくら酒の力を借りても、なかなか神政の昂ぶりは静まらなかった。

「いよいよ正念場だ…」

片倉は自分に言い聞かせるように、一人低い声で呟いた。

今夜、片倉は上司の安倍支社長に、小料理屋へ誘われた。
二人きりの会食だった。

その席上、安倍は自分が十月に本社営業部へ異動することを漏らした。
そして、次の支社長の候補として、片倉の名前も上がっていることを教えてくれた。

片倉は中堅製薬会社の横浜支社に勤務している
横浜支社の営業エリアは神奈川県全域の病院と開業医で、総勢二十名の営業人員を擁していた。

組織は支社長の下、横浜市北部と川崎市を担当する営業一課、横浜市南部から湘南・横須賀を担当する二課、厚木市から以西を担当する三課に分かれている。

片倉はまだ四十歳の若さながら、部下八人を率いる営業一課の課長職を任されていた。

名門薬科大学を卒業した片倉は入社後、営業部に配属となり着々と実績を積み上げ、同期との出世競争の先頭に立ってきた。 
若くして課長の地位をつかんだ片倉は、当然次の目標である支社長の椅子を視野に入れていた。

製薬会社の営業は医薬情報担当者、略称でMR(メディカル・リプリゼンティティヴ)と呼ばれている。 
人の命に関わる医薬品を販売するには、医者への専門的な情報提供が欠かせない。
そのため薬学は勿論、医学についても、医者とディスカッションできるレベルの知識が要求される。

近年、遺伝子研究を始め、日々進歩を続ける医療分野にあっては、MRもかなりの知識取得がなければ務まらない。 
結果、次第に中高年は淘汰され、MRの若年化が進んだ。

若いMRたちを指導統率するには、若いリーダーが好ましい。
また会社も医者から学術的に信頼される実践的マネージャー育成を急いでいる。
そこで業績の良いこの横浜支社から、会社は四十歳前後の支社長を試験的に誕生させる方針らしい、と安倍は語った。

つづく…

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『姦  計』 第二章

『姦  計』
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(二)

片岡はブランデーグラスを仄かな光を放つインテリア・ライトに翳した。
琥珀色の透明液が、柔らかで豊穣な輝きを醸している。

(俺が勝か、梅野が勝つか…だ)

グラスをつかむ指先に力が入る。

安倍支社長は明言しなかったが、多分次期支社長候補に上げられているのは、一課を率いる片倉と、二課を率いる梅野武幸だろう。

横浜支社で次の世代を担うような人材は、この同期入社の二人以外にいないからだ。

その時、仄暗い寝室に一条の光が差し込んだ。

「お待たせ」

黒のミニスリップ一枚で、妻の綾子が現れた。

ウェーブのかかった背まである黒髪に、悪戯っぽい輝きを失わない瞳、高く上品な鼻粱と薄めで艶のある口唇―ロシアン・ブルーという猫を想わせる、キュートだが高貴な美しい顔立ちをしている。

さらに、たわわなバストの丸み、躍動感溢れるウエストの括れ、キュッと引き締まったヒップのせり上がり―見事に調和のとれた体の線が、背後からの照明でセクシーに浮き出している。

子供を産んでいないことを差し引いても、とても三十二歳には見えない張りのある肢体だ。

「友達にメールを打っていたら遅くなっちゃった」

専業主婦の綾子は、最近パソコンに凝っていて、同世代のメール友達との交流に忙しいようだ。

綾子は夫を挑発するように、自慢のボディラインを強調するポーズをとって見せた。

「うふふ、この下着、セクシーでしょう?」

艶笑を湛えた綾子は、子猫のような身のこなしでベッドに滑り込んで来た。

片倉はそんな妻の媚態に煩わしさを覚えつつ、
(綾子と結婚したのも、元はと言えば梅野とのライバル争いが原因だったな―)
と心の中で自虐的に呟いた。

つづく…

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『姦  計』 第三章

『姦  計』
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(三)

綾子は結婚前まで同じ横浜支社の事務職として働いていた。
働いていたと言っても、地元の開業医の娘で、縁故で入社した腰掛けOLだった。

わがままなお嬢様育ち故、仕事の能力を望むべくもなかったが、ブランドの服や小物で飾られた美貌とプロポーションは、社内の若い男たちの視線を釘づけにした。

しかし当時三十歳だった独身の片倉は、綾子を軽蔑に近い眼差しで眺めていた。
確かに女は美しいに越したことはないが、わがまま育ちのお嬢様では、内助の功どころか、仕事の妨げになる可能性が高い。

エリートであることを自認する片倉にとって、そんな女に熱を上げるのは愚行でしかなかった。
片倉が理想とするのは、苦労を厭わず、しっかりと家を守ってくれる女性だった。

ところが、綾子が入社して半年経った頃、片倉は同期の梅野が彼女とつき合っているという噂を聞いた。

片倉と梅野は入社以来、同じ横浜支社で熾烈なライバル争いを講じていた。

二人は全く正反対のタイプで、『静』の片倉、『動』の梅野と呼ばれていた。
体型も片倉が長身で痩せ型なのに対して、梅野は背が低く小太りである。

また片倉が知性を重んじ、慎重かつ緻密に仕事をこなすのに対し、梅野は行動を重んじ、大胆かつ豪快に仕事を片付けていく。

片倉のモットーが『石橋を叩いて渡る』だとすれば、梅野は『肉を切らせて骨を断つ』というところだろうか。

そんな二人のライバル競走が、横浜支社の業績を全国一位にまでの伸し上げていった一因でもある。

当時二人は、どちらが先に係長に昇格するか激しく火花を散らしていた。
片倉は梅野が綾子とつきあっているという噂を聞いて、ライバル心が湧き上げるのを覚えた。

そして嫌いなタイプの綾子に、梅野に負けたくない一心から、猛烈なアプローチをかけた。
綾子のブランド趣味を利用し、貯金を使い果たすまでプレゼント攻撃をかけ、コツコツとポイントを稼いでいった。


同時に片倉は梅野を陥れるデマを社内にこっそり流した。
それは梅野が、懇意にしているスナックの女と綾子を両天秤にかけているという低俗な内容だった。
しかし噂は枯野を焼くように広まり、プライドの高い綾子は梅野をあっさり捨ててしまった。

こうして片倉は、まんまと梅野の手から綾子を奪い取ることに成功したのだった。

つづく…

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『姦  計』 第四章

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(四)

ライバル梅野を蹴落とした片倉だったが、戦利品の綾子を手にしてみると、深い失望と後悔が襲ってきた。
片倉が最初に直感した通り、綾子は妻とすべき女ではなかった。

確かに綾子は若く美しい。
片倉は今でもよく部下に、綾子を妻にしたことを羨ましがられる。
周囲から羨望の眼差しを浴びることは、片倉のプライドを満足させた。

綾子の美しさは、その意味でエリートの自分を飾り立てる宝飾品にも似ていた。

しかし実際の家庭生活は寒々としたものだった。

綾子は結婚しても相変わらず高価なブランド品を買い漁り、独身時代と変わらず、深夜まで友人たちと飲み歩いた。
時には夫をほったらかしにして、平気で海外旅行に出かけたりもした。

そして金がなくなれば、夫の薄給を嘆いて裕福な実家に泣きついた。

夫婦の性生活も同じだった。
いくら夫が仕事で疲れていても、自分が求める夜は満足いくまで奉仕させる。
逆に片倉がその気になっても綾子が疲れていたりすると、その肢体に指一本触れさせはしなかった。

しかし片倉は妻を叱らなかった。
もし叱れば、勝手気ままな綾子は、何の未練もなく家を出て行くに違いない。
エリートを標榜する片倉にとって、離婚は出世競争の致命傷になりかねない。

そればかりではない。
完璧主義者の片倉は、経緯はどうあれ、自分が決めた結婚の誤りを認めるのが堪えられなかった。 
だから体裁を取り繕うために、あえて妻のわがままに甘んじなければならなかった。

つづく…

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『姦  計』 第五章

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(五)

ベッドの上では、綾子が悩ましげに身をよじっていた。

「あなた、ぼんやりしないで早く…」

綾子は長い脚をしなやかに宙へ伸ばした。
黒のミニスリップが捲り上げり、真っ白な太腿が露になった。
そして既にショーツをつけていないヒップが、スリップの裾から半分ほど覗いている。

片倉はアルコールで緩慢になった体と、大出世を目前にして落ち着かない神経に鞭打って、ベッドの上に這い上がった。

(全く自分勝手な女だ)

片倉は性欲を丸出しにした自分の妻に、冷徹な視線を降らせた。

しかしベッドで女王気取りの綾子の前では、表向き従順な奴隷を装わなければならない。

仰向けに寝る綾子の黒いミニスリップを脱がせ、その全身を軽く掌で撫でた。
高級エステに通っているからか、三十二歳とは思えない瑞々しい肌だ。

「あなた、早く」

妻の催促に応じて、片倉はその型崩れしていない乳房に口唇を這わせた。
ゆっくりと隆起の周囲を掌で包むように揉みながら、敏感な乳首を舌先で刺激する。

「あん、もう少し強く吸って」

マッサージ師に銘ずるような口調で、綾子は夫に注文を出した。
片倉は唯々諾々と妻の命令に従うしかなかった。

「あ、はあぁ…」

綾子は感じてきたのか、頻りに太腿をもじもじと擦り合わせ始めた。
片倉は精密な機械のように、綾子の興奮の度合いを分析して、ゆっくりと綾子の両脚を開いた。

「そう、そこを舐めて…」

片倉が淡い恥毛に覆われたクレパスを指で押し開くと、既にねっとりと淫蜜が溢れた妖花が現れた。

「は、早く…」

体を捩るたび淫らに歪む濃桃色の花弁が、獲物を誘き寄せる食虫植物のように、男の愛撫を強要する。
片倉は綾子の脚の間に蹲り、ゆっくりと花芯に舌先を滑らせ、そこから尖った蕾に向けて舐め上げた。

「ああ、いいわ。それがいいの…」

妖花を舐める舌の動きに合わせて、綾子は腰を小刻みに動かし始めた。
白い内腿がふるふると揺れ、硬く突起した乳首を頂いた乳房もゆさゆさと揺れている。

「ねえ、そろそろきて」

綾子は仰向けのまま、片倉を迎え入れるよう、長い両脚を折り曲げて腰を浮かした。

だが内心、片倉は焦っていた。

勃起しないのだ。
いくら自分でしごいてみても、ピクリとも反応してくれない。
しかもここ数夜、綾子を前にして、肝心な段になると決まって同じ症状に襲われている。

「ねえ、早く入れてよ」

綾子の声が一層厳しい命令口調になった。

「悪い。疲れているみたいだ」

片倉は綾子と目を合わさずに、小声で呟いた。
喘いでいた綾子は、その夫の言葉に興ざめしたような表情を見せた。

「またダメなの?こんなにセクシーな格好しても立たないの?」

「済まん…」

「謝って済む問題じゃないわ。あなたはもう私に愛情を感じていなのね」

「いや、そういうことでは…」

「もういい、あなたがその気なら私にも考えがあるわ。女に恥をかかせるなんて最低」

綾子は黒いミニスリップを手に取ると、全裸のまま寝室を飛び出して行った。

つづく…

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『姦  計』 第六章

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(六)

再び寝室に静寂が戻った。
まだ綾子の温もりが残る白いシーツの乱れを、片倉は掌で圧しならした。

(夫への気遣いもない女め…。しかし綾子に勃起しないのは…)

お互いに愛情がないのは今に始まったことではない。
しかしこれまでは、その美しい肢体だけで綾子を抱くことができた。

片倉はその原因に薄々気づいていた。

(やはり梅野か…)

梅野との出世争いが最終局面を迎え、片倉の神経は昼も夜も過敏になっている。
それが綾子の体に、梅野の幻影を映しているのだ。

昔、綾子は梅野とつきあっていた。
当然、綾子の体は梅野に穢されているはずだ。

今までであれば、片倉は綾子を梅野から奪い取った優越感で抱けた。
しかしナーバスな今の片倉は、綾子が梅野の手垢がついた女と思うだけで、気が萎えてしまうのだ。

事実、綾子の妖花を舐めている間中、片倉の瞼にはニヤニヤと笑う憎たらしい梅野の顔が浮かんでいた。

片倉は握り締めた拳を付き出した。

(他に道はない)

支社長になれば、支店内の人事権を行使することができる。
そうなれば、ライバルである梅野を蹴落とすことができ、家庭生活で梅野の幻に悩まされることもなくなる。
だが逆に、梅野が支社長になってしまえば、片倉は左遷か閑職への封じ込めを強いられることになるだろう。

(梅野を潰すしか生き残る道はない。食うか食われるか、情けは無用だ。勝つためには手段を選ばない)

片倉には勝算があった。

梅野は豪胆な人間だ。
豪胆と言えば聞こえはいいが、裏を返せば緻密な管理能力がないことを意味している。
過去の歴史を見ても、豪傑と言われる人間は、決まって私生活がだらしない。

(あいつの弱点は握っている)

片倉はニヤリと笑った。
そして疲れた体と頭をフル回転させ、梅野を陥れる姦計を練り始めた。

つづく…

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『姦  計』 第七章

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(七)

中華街、元町、山手、みなとみらい。
観光地ばかりに目を奪われやすいが、古くから港湾都市として栄えてきた横浜は、夜ともなれば、歓楽街の賑やかなネオンが巷を目映いばかりに彩る。
その歓楽街の中心は歌で有名な伊勢佐木町あたりで、JRの関内駅周辺には、接待に使う高級クラブやスナックが密集している。

中でも関内の『倶楽部マリ』は、横浜でも指折りの格式を持つクラブで、地元企業の社長や大企業の横浜支社長クラスが接待に用いる店である。

豪華な内装でありながら、クラッシックな落ち着きを醸し出す店内で、選り抜きの美女に囲まれた片倉は静かにグラスを傾けていた。

「へえ、片倉さんがこんなにいい店に連れてきてくれるとは思いませんでしたよ」

隣に侍る美しいホステスの長い髪を弄りながら、松村文彦は満足げな笑みを浮かべた。

松村は横浜にある私立病院に勤務する薬剤師である。
まだ二十八歳という若さだが、病院長の次男で、将来は薬剤部長として病院を経営する立場にあった。

この病院は今片倉の部下に任せてあるが、以前は彼自身も担当していたことがあった。
普通若い一薬剤師如きは製薬メーカーも相手にしないが、病院長の子息ということで、片倉は医者並みの扱いをして今も親交を持っていた。

親交を持つと言えば聞こえはいいが、典型的な金持ちの道楽息子で、無類の女好きの松村は、父親である院長の威厳を利用し、製薬メーカーに遊びの金の面倒を見させていた。

しかも松村は女にもてた。
天は二物を与えずと言うが、松村は生まれつきの資産家であると共に、二枚目俳優も避けて通るほどの甘いマスクをしていた。 
男の取り扱いに慣れたこの店のホステスですら、先ほどから商売を忘れてうっとりと寄り添っている。

病院でも松村が薬局窓口で薬を渡す日は、待合室が女性たちで溢れ返った。
噂では病院の看護婦は元より、好みが合えば患者にも手を出していると言われていた。


片倉はグラスをテーブルに置き、ホステスに煙草の火をつけさせた。

「実は松ちゃんに頼みがあるんだ」

「頼み?」

松村は一瞬不思議そうな顔をしたが、
「何言っているの、片倉さん。散々夜の街を暴れ回った仲なのに水臭いじゃない」
と、ニヤリと笑ってホステスの方を抱いたが、
「少し席を外してくれないか」と片倉が人払いすると、さすがの松村も真顔に戻らざるを得なかった。

「そんなに大変なことなの?片倉さん」

「いや、松ちゃんには朝飯前のことだよ。実は一人の女を落として欲しいんだ」

松村はごくりと唾を飲み込んだ。
いくら松村が女好きだと言っても、人から頼まれて女を口説いたことはないだろう。

「相手は松ちゃんの病院に出入りしている臨床検査会社の社員で、梅野友紀という女だ」

「…梅野?」

松村の顔が少し歪んだ。

「ああ、松ちゃんが得意とする人妻だよ」

片倉はそう言うと、煙草の火を灰皿で押し消した。

つづく…

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『姦  計』 第八章

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(八)

梅野は片倉に綾子を奪われた後、臨床検査会社に勤務する友紀と結婚した。
人間ドックなどで血液検査をよく行なうが、その解析設備を自前で持っている病院は少なく、大半は外注で検査会社が引き受けている。

友紀はその検査会社で検体の運搬を行なっており、どこかの病院で梅野が見初めたらしい。

片倉が友紀に初めて会ったのは結婚式の二次会だった。
はきはきとした勝気な性格と、男好きする肉感的な体が印象に残っている。

梅野を陥れるための身上調査で、妻の友紀が松村の病院に出入りしていることを知ったのだった。

松村は緊張を解きほぐすかのように、わざとおどけた素振りが聞いた。

「へえ、そんな人がうちの病院に出入りしているの。知らなかったな」

「半年前ぐらいから担当している。年は三十五で、なかなかの美人だよ」

「ふうん、でも人妻を口説くには、夫婦仲がいいか悪いかで違ってくるんだけど…」

「僕が知る限りでは離婚寸前だ」

情報収集に抜かりはなかった。

片倉の部下にも梅野と親しい人間はいる。
彼等からさりげなく聞き出したところでは、梅野は公私含めて毎晩のように飲み歩き、休日は決まってゴルフ三昧で、ほとんど家にいる時間がないという。

梅野自身も子供ができないのは、つくる行為をするほど妻と一緒にいないからだと広言しているらしい。

更に片倉の心を動かしたのは、梅野に愛人がいるという情報だった。

今年、学会の随行で梅野がアメリカへ出張した際、彼のパソコンに入る業務連絡の管理を部下に任せた。
その部下がこっそり漏らした話では、毎日のように友紀でない女性から、ラブ・メールが届いていたといいう。
また友紀についても、情報通の事務長から情報を得ていた。

友紀はそのグラマラスな肢体を武器に、何人かの若手のドクターと関係を持っているらしい。 
片倉はその噂を信じた。若手ドクターと関係を持つのは、彼らに媚びへつらう製薬会社の夫に対する腹いせに違いない。

そんな状況を考えれば、梅野夫婦の関係はかなり悪いはずだ。

つづく…

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『姦  計』 第九章

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(九)

片倉はそれらの裏付けを基に、綿密な姦計を練り上げていた。
松村は顔を曇らせて頭を掻いた。

「でも片倉さん、離婚寸前の人妻はまずいですよ。そういう女性は夫と別れるから結婚しろとか、結構後腐れがあるんですよ」

「それは大丈夫だ。夫の梅野という男は、たとえ妻が浮気したとしても、離婚には応じないだろう」

片倉は自分に立場を置き換えてそう考えていた。
梅野も片倉同様、出世の命取りになるような家庭内の不和は、自分が犠牲になっても公にできないだろう。

「ふうん…でも片倉さんはその女に不倫させて、何か得があるんですか?」

その松村の質問を片倉は予期していた。

「うん、実は松ちゃんの病院へ部下と同行した時、その女を見かけて熱を上げていたんだよ。その後何度か口説いたんだけど、手ひどくふられてね」

片倉はいかにも真実らしく、悔しそうな顔で抜け抜けと語った。

「へえ、プライベートで?」

「ああ、勝気な女だから強烈な肘鉄さ。他人の妻を口説くとは何事かってね。そこまで言うのなら、松ちゃんに口説かれてる貞操が守れるのか、実験したいと思ってさ」

「なるほど」

「それで松ちゃんが女を手懐けた段階で、浮気の現場写真を撮ってもらいたいんだよ。思いっきり卑猥な写真をね。そうしたらそれを僕が譲り受けて、夫にばらされたくなければ言うことを聞けと…」

「ひゃあ、片倉さんも悪人だな」

松村は片倉の姦計に興が乗ってきたようだった。

片倉も非情な悪巧みだと思った。
しかし相手の弱点を攻めるのは勝負の鉄則だ。

片倉は友紀の淫らな写真を手に入れ、人事部に匿名で送ろうと考えていた。
妻のスキャンダルを抱えた男を、人事部が支社長に抜擢するはずがない。
破綻した夫婦の陥穽をついた巧妙な作戦だ。

片倉は松村の鼻先に人参をぶら下げておくことを忘れなかった。

「もしこの計画が成功したら、勿論報酬を出させてもらうよ」

「報酬?」

松村の目が輝いた。

「女を手懐けるための工作費を含めて、松ちゃんの飲み食いの金を百万円まで、うちの会社の交際費で落としてあげるよ」

「百万円?」

所詮小物の松村が百万円で動揺しているのは、その目の落ち着きない動きからすぐにわかった。
しかしここはもう一手、おだて上げるのがベストだ。

「頼む、報酬には不満だろうが、これは君にしか頼めないことなんだ」

松村は緩む頬を必死に引き締めようとしているのがまる分かりの顔で、尊大ぶって頷いた。

「ううむ、難しいかもしれないけど協力しましょう」

「有難う」

片倉は両手で松村の手を握った。
こうして片倉の姦計は役者を揃えて幕を開けた。
成功するか失敗するかは松村の働き次第だが、浮気慣れした友紀を落とすのは、それほど難しくないはずだ。

片倉は自分が支社長に昇格した時、梅野をどう処分するかを考え始めていた。

つづく…

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『姦  計』 第十章

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(十)

港湾都市横浜も一歩内陸に入ると、多摩丘陵の面影を残す風景が広がっている。

こんもりとした雑木林の丘は、鶴見川岸に拓けた田畑に入り組み、近郊の近代的は家々をも融和して、見事な田園都市をつくりあげている。

夕暮れ、夏の終わりに嘆くヒグラシの声を浴びながら、片倉は松村の待つマンションへと車で向かっていた。

密約から半月、片倉は松村に突然呼び出しを受けた。

松村は一晩で友紀を落としたと豪語した。
病院で友紀に声をかけると、何の躊躇いもなく食事につきあってくれたという。
そして、その晩、友紀の方からホテルへ行きたいと誘われたらしい。

片倉としては、友紀の淫らな写真を送ってもらえればそれで事は済む。
しかし松村はよほど上手く友紀を手懐けたのか、それとも報酬の増額を要求したいのか、写真を撮る前に成果を見せたいと言い張った。

写真を手にするまでは臍を曲げられては困るので、片倉はやむなく松村に従った。

片倉は松村の部屋のチャイムを押した。

「ああ、片倉さん、お待ちしていました」

招き入れようとする松村を、片倉は玄関の外へ引っ張りだした。

「松ちゃん、僕は面が割れているんだ。彼女に会ったらばれてしまうよ」

「大丈夫ですよ。彼女は目隠しをしていますから、誰が来たかわからないはずです」

松村は片倉の心配をよそに、一人暮らしのマンションに案内した。
部屋は独身男には勿体無い立派な3LDKだった。
交代で女たちに掃除させているのか、廊下に塵ひとつ落ちていない。

松村は人差し指を口に当て、片倉に声を出さないよう注意し、リビングの扉を開けた。

(あっ!)

片倉は松村が声を出さないよう身振りで伝えた意味がわかった。

十畳を越えるリビングの中央には、藤でできた一人がけのリクライニングチェアが置かれていた。

その椅子にはアイマスクをした全裸の女が座っている。

否、座っているのではない。
よく見るとバストとウエストには縄がかけられ、椅子の背凭れに縛りつけられている。
そして両脚は椅子の肘掛にM字型で固定され、性器が剥き出しになっている。

その光景は床の間に置かれた一輪挿しにも似ていた。

つづく…

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
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