『姦 計』 第十一章
『姦 計』
FC2 Blog Ranking
(十一)
目は隠されて見えないが、女は間違いなく友紀のようだ。
松村はわざと音を立てて扉を閉めた。
「文彦さん、誰か来たの?」
アイマスクで目隠しされた友紀は、頭を振りながらもどかしそうに聞いた。
「いいじゃないか。誰が来たって」
「良くないわ。こんな姿を人に見られたら、もう生きていけないわ!」
松村は項垂れる友紀に近づくと、その耳元で冷たく囁いた。
「実は僕の友達を呼んでおいたんだ」
「いやっ!酷いわ、文彦さん」
友紀は必死にもがいたが、縄が柔肌に食い込むだけで身動きひとつできない。
「片山、紹介するよ。この淫乱な女の名は梅野友紀、れっきとした人妻だ」
松村は片倉を偽名で呼び捨てにしたことを目で詫び、友紀の方へと手招きした。
「ど、どうも、片山です」
片倉は緊張しながらも松村の芝居に乗らざるを得なかった。
友紀は顔を背けて答えようとしない。
「そんなに怒るなよ。片山は安心できる男だよ。今夜はたっぷり二人で可愛がってやるからさ」
「嫌よ。私は文彦さんが好きだから、こんな恥ずかしい格好だってしているのよ。淫乱女なんかじゃないわ!」
「ふうん、淫乱じゃない…ね」
松村は含み笑いのまま、友紀の前にしゃがむと、露出した妖花を指先で撫でた。
「あうっ」
友紀はピクリと全身を震わせた。
「淫乱じゃないと言い張る割には、ここはおもらし状態だな。片山、ほら、もっと近くで見てみろよ」
「いや、酷い」
友紀は片倉の視線を感じるのか、剥き出しの妖花を隠そうと、必死に両脚を閉じようとしている。
しかし動こうとすればするほど、深い草叢に開いた黒赤色の花弁は、熱帯の密林に咲くラフレシアのように、グロテスクな突拍子さを想わせてしまう。
しかも、その花芯からは、おびただしい淫蜜がだらだらと流れ出している。
「これはすごいな」
片倉は思わず自分から声を出した。
「ああ、お願い…見ないで…」
先ほどまで気丈だった友紀は、最早マゾヒストのような言葉遣いにかわっていた。
松村は唖然とする片倉の耳元で囁いた。
「この女、かなりの淫乱ですよ」
どうやら松村が片倉をマンションへ呼んだのは、友紀の貞淑とはほど遠い女だということを教えたかったかららしい。
あの密約を交わした夜、友紀が貞淑で口説けないと片倉が話したからだろう。
片倉は改めて近くで友紀の肢体を近くで食い入るように眺めてみた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る
FC2 Blog Ranking
(十一)
目は隠されて見えないが、女は間違いなく友紀のようだ。
松村はわざと音を立てて扉を閉めた。
「文彦さん、誰か来たの?」
アイマスクで目隠しされた友紀は、頭を振りながらもどかしそうに聞いた。
「いいじゃないか。誰が来たって」
「良くないわ。こんな姿を人に見られたら、もう生きていけないわ!」
松村は項垂れる友紀に近づくと、その耳元で冷たく囁いた。
「実は僕の友達を呼んでおいたんだ」
「いやっ!酷いわ、文彦さん」
友紀は必死にもがいたが、縄が柔肌に食い込むだけで身動きひとつできない。
「片山、紹介するよ。この淫乱な女の名は梅野友紀、れっきとした人妻だ」
松村は片倉を偽名で呼び捨てにしたことを目で詫び、友紀の方へと手招きした。
「ど、どうも、片山です」
片倉は緊張しながらも松村の芝居に乗らざるを得なかった。
友紀は顔を背けて答えようとしない。
「そんなに怒るなよ。片山は安心できる男だよ。今夜はたっぷり二人で可愛がってやるからさ」
「嫌よ。私は文彦さんが好きだから、こんな恥ずかしい格好だってしているのよ。淫乱女なんかじゃないわ!」
「ふうん、淫乱じゃない…ね」
松村は含み笑いのまま、友紀の前にしゃがむと、露出した妖花を指先で撫でた。
「あうっ」
友紀はピクリと全身を震わせた。
「淫乱じゃないと言い張る割には、ここはおもらし状態だな。片山、ほら、もっと近くで見てみろよ」
「いや、酷い」
友紀は片倉の視線を感じるのか、剥き出しの妖花を隠そうと、必死に両脚を閉じようとしている。
しかし動こうとすればするほど、深い草叢に開いた黒赤色の花弁は、熱帯の密林に咲くラフレシアのように、グロテスクな突拍子さを想わせてしまう。
しかも、その花芯からは、おびただしい淫蜜がだらだらと流れ出している。
「これはすごいな」
片倉は思わず自分から声を出した。
「ああ、お願い…見ないで…」
先ほどまで気丈だった友紀は、最早マゾヒストのような言葉遣いにかわっていた。
松村は唖然とする片倉の耳元で囁いた。
「この女、かなりの淫乱ですよ」
どうやら松村が片倉をマンションへ呼んだのは、友紀の貞淑とはほど遠い女だということを教えたかったかららしい。
あの密約を交わした夜、友紀が貞淑で口説けないと片倉が話したからだろう。
片倉は改めて近くで友紀の肢体を近くで食い入るように眺めてみた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る