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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者(一)

『人外境の花嫁』 

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五.秘苑の懊悩者 (一)

浴室にシャワーの音が木霊している。

もうもうと湯気が立ちこめる浴室で、吉水月絵は熱いシャワーを浴びていた。

まるでレコードのように、肌の凹凸をなぞる強い飛沫が美しい調べを奏でていく。

首筋から肩へ、肩から乳房へ。

初々しく張りのある肌がシャワーの強い湯圧を遠く弾き返し、若さを賛美するかのように真珠にも似た水滴で飾られていく。

月絵は浴室の姿見の前で、ぶうっとふくれた顔をした。

(何よ、先生ったら)

藤野麻美の胸に顔を埋めて、デレっと鼻の下を伸ばした降矢木の顔が、目に焼きついて離れない。

確かに麻美は熟した豊乳は男を魅惑してやまないだろう。

あのむっちりと窒息しかねない乳房に包まれれば、どんな木石でも色香に迷って道を踏み外すに違いない。

だが凹凸だけなら、月絵だって負けてはいない。

モデル並みの身長とスリムな肢体。

その均整のとれた体躯から、豊かな半球型を保った乳房が、引力に逆らって高く迫り出している。

(街ですれ違う男は皆振り返るのに・・)

そしてビーナスを彷彿させる端正なフォルムの頂きには、小さな薄小豆色の乳暈と乳首が、開花寸前の蕾のように愛らしく震えている。

シャワーを浴びながら、月絵は姿見にヒップを写してみた。

長い両脚から続く二つの膨らみは、まるで瑞々しい初物の白桃のように、小ぶりではあるが滑らかな曲線美を誇っていた。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者(二)

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五.秘苑の懊悩者 (二)

月絵は風呂椅子に腰かけた。

わずかに開いた両脚の間へ、そっとシャワーを向けた。

(先生の馬鹿・・)

真っ白な下腹部に浮かぶ淡い恥毛が、艶めかしい漆黒の濡羽色に染められていく。

そして恥毛の守りを掻い潜った飛沫は、まだ異性が触れたことのない秘唇を叩いた。

「あん」

月絵はひくっと全身を強張らせ、思わず漏れてしまった喘ぎ声を呑みこんだ。

男性は知らないがもう子供ではない。

シャワーの刺激が、秘唇の合わせ目に包まれている鋭敏な突起を疼かせる。

いけないとわかっていながら、月絵はそこへ指を忍ばすのを我慢できなかった。

小さな肉芽が硬く尖っている。

「・・先生」

中指の腹で肉芽を弄りながら、月絵は小さく想い人の名を呼んでみた。

胸がきゅんと熱くなる。

まだ薄く硬い秘唇を辿り、わずかに覗く花芯へ月絵は指を這わせた。

そこはシャワーの湯とは別の熱いぬめりで潤っていた。

指が勝手に動いてしまう。

「ああっ」

顔を出した肉芽の芯に触れると、痛痒い直流波が全身へ放電される。

その痺れるような切なさに、月絵は堪らず左の掌を乳房へ押し当てた。

すでに乳暈はぷつぷつと粟立って凝縮し、乳首は恥ずかしいほど大きく迫り出している。

「先生、先生っ」

月絵は身をよじりながら、降矢木に愛される自分の姿を夢想した。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者(三)

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五.秘苑の懊悩者 (三)

風呂から上がった月絵は、濡れた髪をタオルで拭きながら、Tシャツとショートパンツ姿でリビングの扉を開けた。

ソファに座ってテレビを観ていた老人が、首を傾げて月絵に声をかけてきた。

「月絵、お前最近長風呂じゃないか?」

「そ、そうかな・・髪を伸ばしたから洗うのに時間がかかるのよ」

一瞬心臓が止まりそうになったが、月絵は平静を装って老人にそう答えた。

吉水金治、七十八歳。

月絵の養父である。

見た目は白髪と白髭、痩せて小柄な体躯の好々爺である。

だが時折見せる鋭い眼光は、只者ではない往年の迫力を残していた。

三年前まで金治は、ここ横浜の繁華街に地盤を持つ神農会組織、若葉会の会長だった。

横浜の香具師世界を牛耳る若葉会に長年君臨してきた金治は、代表を一人息子の吉水憲治に譲ったものの、今も裏世界に隠然たる勢力を誇る大親分である。

月絵にセクハラ言動を繰り返す編集者の畠山が、養父の金治を恐れるのは無理もないことだった。

戦後、愚連隊から香具師の世界へ身を投じた金治は、高度経済成長時代にめきめきと頭角を現した。

香具師と暴力団の境界が消えた時代。

金治はテキヤ稼業のみならず、地元横浜の風俗業と深い信頼関係を築いた。

四十代で若葉会会長に就いた金治は、暴力団との抗争を経て横浜一帯を制圧した。

その実力は、関東に勢力を張る広域暴力団も一目置くほどだった。

だが引退してからは、血生臭い現場を離れて、再び神社の祭礼などで屋台を出すのが趣味になっていた。

表向きは若い衆の教育のためだが、集まった子供達と接するのが実は楽しいらしかった。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者(四)

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五.秘苑の懊悩者 (四)

月絵はソファに座ると、手酌で飲んでいた金治に徳利を傾けた。

「お前がお酌してくれるなんて珍しいな。小遣いが足りなくなったのか?」

「・・そんなことないよ」

月絵が目を伏せて首を横に振ると、小さく頷いた金治は戸棚のお猪口を探した。

「そうか・・お前も少し飲むか?」

「うん、ちょっとだけ」

冷の日本酒をお猪口に受けると、月絵はその滑らかな白磁にそっと口唇をつけた。

金治はぽっと頬を染める月絵を見て、初めてこの家へ連れて来られた幼い頃を思い返していた。

月絵は孤児だった。

物心ついた時から、金治と亡くなった養母の実子でないことを薄々感じていたようだ。

だが幼心に、真実を聞いたら養父母が悲しむと黙っていたのだろう。

昨日のことのようだ。

中学で反抗期を迎えた月絵は己の出生に悩んで金治を責めた。

月絵を実の子供以上に愛していた金治は、香具師の大親分らしくもなく、目に涙を溜めながら実母のことを話してやった。

月絵の母は、「薔薇のマリー」と呼ばれたストリッパーだった。

マリーは真っ白い内腿に、血の色に近い赤黒い薔薇の刺青を施していたと言う。

横浜を根城にしていたマリーは、その美貌と均整のとれた裸身から、熱狂的なファンを抱えるアイドル系ストリッパーの走りだった。

だが二十代後半でマリーは姿を消した。

数年後、再び横浜に現れたマリーは、子供を抱いて大岡川に飛び込んで水死した。

マリーの亡骸の傍らには、係留船の舫い引っ掛かって泣く女児がいた。

その奇跡的に助かった女児が月絵だった。

マリーの死は自殺として処理された。

月絵の父親が誰かもわからず、乳飲み子を抱えてストリップにも戻れないマリーが、将来を悲観して身を投げたと警察は断定した。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者(五)

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五.秘苑の懊悩者 (五)

身寄りのない月絵を引き取ったのが金治だった。

横浜の顔役になっていた金治は、マリーの死を見過ごせなかったのだ。

誰も好きで商売女になったわけではない。

この街で働く女は元々不幸な境遇を抱えている。商売女と蔑まれても必死に今日を生きている。

イエスがマグダラのマリアを救ったように、金治は懸命に生きる女達を守る責任を痛感した。

まず金治は、二十四時間営業の託児所を街に誘致した。

また弁護士や労働基準監督署のOBと顧問契約して、街で働く女達の相談所を立ち上げた。

そして今も新規に出店する風俗店には、女達の労働条件に対して厳しい監視の目を光らせた。

月絵がふうっと吐息をついた。

ちょっとのつもりが、すでに杯を五杯近く重ねている。

「お、おい月絵・・飲み過ぎじゃないか?」

大学のコンパにもあまり行かない娘が、立て続けに冷酒をあおるのを見て金治は少し心配になってきた。

頬を赤らめた月絵は、ぼんやりと庭へ目を遣った。

「はあ・・どうして男の人って、グラマーな女の人に目がないのかしら?」

「・・・・」

「ねえ、パパってば・・どうして男の人はオッパイが大きい女が好きなのよ?」

月絵は空になったお猪口を金治の前に差し出した。

「い、いや、月絵も小さい方ではないとパパは思うがね・・」

金治は月絵の顔色を窺いながら、恐る恐る徳利を傾けて冷酒を注ぎ足した。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者(六)

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五.秘苑の懊悩者 (六)

月絵は据わった目で金治を睨みつけた。

「私なんか勝てない・・だって麻美さんはFカップぐらいあるんだもん。それに熟女の色気たっぷりで・・ああ悔しいっ!」

お猪口に満たされた冷酒を月絵は一気に飲み干した。

金治は口許に笑みを浮かべた。

「ふふ、そうか・・また降矢木君と喧嘩したんだな?」

「け、喧嘩なんて・・だって先生は・・私のことなんか何とも思ってないんだから・・」

月絵は大きな瞳に涙を滲ませ、ぎゅっとピンク色の口唇を噛み締めた。

月絵にとって降矢木は特別な存在だった。

命の恩人と言っても過言ではない。

降矢木のためなら、月絵は死ぬことさえ厭わない覚悟を秘めている。

中学時代、出生の真実を養父母から聞いてショックを受けた。

実母の自殺。

誰かもわからない実父。

月絵は重度のひきこもりとなり、進学が決まっていた高校へも不登校が続いた。

ストリッパーの実母。

男達の卑猥な欲望を裸身で挑発する母。

不様に両脚を開いて陰部の奥まで晒す母。

淫らな性具で大切な産道を甚振られる母。

衆目の中で客の性器すら受け入れる母。

その母の穢れた血が月絵にも流れている。

月絵は爛れた血を体から流し去ろうと、何度もリストカットを繰り返していた。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者 (七)

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五.秘苑の懊悩者 (七)

そんな時に現れたのが降矢木だった。

月絵を心配した金治は、修士課程を終えてブラブラしていた近所の降矢木を家庭教師として迎えた。

事情を聞いていた降矢木は、無理矢理月絵を街へ連れ出した。

「ガキは何もわかっていない!」

怒ったように降矢木は言うと、路地裏にある貧しい古アパートの玄関を開けた。

部屋の扉を叩くと、そこには赤子を抱いた女がいた。

「あら、薬局の坊っちゃん・・」

明らかに水商売とわかる女は、胸元が開いたブラウスから片乳を出して、生まれたばかりの赤子に授乳していた。

降矢木は月絵の手をぐっと引き寄せた。

「見ろ、この女はピンサロで働く女だ。体を切り売りして暮らしている。だが決して卑しくなんかない。この子の立派な母親だ!」

女の真っ白い乳房は、青黒い血管が浮き出していた。

そして黒く大きな乳暈は女ではなく母のものだった。

「・・・・」

「ストリッパーの何が悪い。女達は必死に生きているんだ。好きで体を穢しているわけじゃない。弱い者はこうして生きていくしかないんだ!」

今と変わらず、顔を真っ赤にして激昂する降矢木に、金治にも怒られたことがない月絵は立ちすくむばかりだった。

「君のお母さん、マリーだって懸命だったはずだ。君を育てるために、泥水をすすって生きようとしたんじゃないか?」

眼鏡の奥から月絵を見る降矢木の目は、わずかに赤く潤んでいた。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者 (八)

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五.秘苑の懊悩者 (八)

月絵は目を逸らした。

「で、でも・・母さんは私を連れて・・」

自殺したのだ。

一緒に生きてくれようとはしなかった。

母は月絵を巻き添えにして、現実の厳しさから逃げようとした。

水商売の女が口を開いた。

「あんたがマリーさんの娘だったの・・あたし店の先輩から聞いたことがあるよ。マリーさんは必死に娘を助けようとしたって」

意外な言葉に、月絵は思わず目を見開いて女を見た。

マリーの自殺は、当時この界隈でいろいろと噂になった。

マリーが大岡川に飛び込んだ瞬間を、今は店を辞めてしまった年配者が目撃していたと言う。

昼間の福富町に悲鳴が響き渡った。

振り向くと、マリーが赤子を抱いて、大岡川に架かる橋から飛び降りた瞬間だった。

マリーは波紋を残して暗緑色の水に沈んだが、しばらくすると子供を掲げるようにして浮かび上がった。

「この娘を・・この娘を助けて・・」

そして狂ったようにもがき泳ぐと、係留してある釣り船の舫いに赤子の服を絡ませた。

マリーは男達が川へ飛び込むのを見届けると、力尽きたのか、そのまま再び川へ沈んで行ったと言う。

女は自分の子供を強く抱いた。

「どうして川に飛び込んだかはわからないけど、最期にマリーさんはあんたを助けたい一心だったんだよ」

「母さんが・・私を・・」

声が詰まった月絵は、降矢木に抱きついてその胸に顔を埋めて泣いた。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者 (九)

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「そんなことは忘れた」

降矢木は今もすっ呆けているが、母のことを覚えている人を捜してくれたのだろう。

怠け者で出不精の降矢木が、月絵のために方々を駆け回ってくれたのが素直に嬉しかった。

月絵は立ち直った。

高校へも登校するようになり、遅れていた学業にも必死で取り組んだ。

月絵を生かしてくれた母への感謝。

そして降矢木士朗。

週三回の家庭教師は、居眠りしたりマンガを読み耽ったりといい加減だったが、月絵は降矢木が近くにいるだけで、何故か心の安堵を感じることができた。

人が生物の遺伝子を解明できるように、神が人の運命を予言できるように、降矢木は月絵の心の中まですっかり見透かしていたに違いない。

だがそれは決して不快なことではなく、自分を理解して貰える人の存在に、月絵は母の懐に抱かれているような安心感を生まれて初めて覚えたのだった。

ずっと一緒にいたい。

だが月絵に興味の欠片もない降矢木に、淡い恋心を打ち明けるのは滑稽過ぎた。

降矢木と同じ大学を目指すことが、せめてもの片想いの告白替わりだった。

大学に合格して流した涙は、決して嬉し涙ではなかった。

家庭教師の降矢木と別れなければならない恋情からだった。

月絵は懸命に降矢木と一緒にいられる方法を考えた。

その答えが、降矢木ファーマシーでアルバイトすることだったのだ。

降矢木は渋い顔をした。

「雇ってくれなかったら、先生に処女を奪われたってパパに言いつけるからっ!」

月絵は目に涙を溜めて降矢木を脅迫した。

「・・まあ、好きにしろ」

降矢木はぽつりと答えると、ふんと鼻を鳴らして呆れた顔をした。

つづく…

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『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者 (十)

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五.秘苑の懊悩者 (十)

金治は泣きべそをかく月絵に、やさしく徳利を差し出した。

「降矢木君はそこらで遊んでいる男どもとは人種が違うからな。月絵も難しい男に惚れてしまったもんだわ」

「ほ、惚れただなんて・・」

「よいよい。あの男に惚れるとは、さすがわしの娘だと感心するわい」

酔った金治は呵々大笑して月絵の頭を撫でた。

「パパ・・」

「わしもこの年になるまでいろいろな男を見てきたが、やつほど底が見えない器の男は初めてじゃ」

金治に慰められて、月絵はほろりと一粒の涙を杯に落とした。

家庭教師時代から、金治は降矢木を買っていた。

月絵の心を開いた実績は元より、彼はテキヤの大親分の家でよく晩飯をたかった。

「家に帰っても晩ご飯がないもので」

降矢木は平然とした顔で、腕に刺青を施した若い衆に飯をよそらせた。

時には金治の前で、月絵を口の利き方が生意気だと怒鳴り散らすこともあった。

降矢木は決して豪胆な男ではない。

だだ世間一般の常識と偏見がないのだ。

金治は月絵にやさしく語りかけた。

「じゃがな、月絵。わしの娘なら、どんなことをしても、気難しい降矢木君の心を奪ってみせなさい」

「・・うん」

月絵は小さく頷くと、注がれた杯をまた一気に飲み干した。

つづく…

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
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