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小説 「妄想の仮面」 第一章・・・

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       『妄想の仮面』  紅殻格子

一. 女

夏祭りの夜。
露店の灯りと人々の喧騒。
毒々しい原色に彩られたプラスチックのお面が並び、綿アメのほんのり甘い匂いがあたりを漂っている。

人混みで、私は浴衣姿の女とすれ違った。
(妻ではないか?)

私は女の後を追った。
女は縁日の雑踏を抜け、もの物寂しい神社の裏へと歩いて行く。
人気のない社殿の奥。

針葉樹が茂る深い森の中で、女は浴衣を肩から滑らせた。
闇の中、南天の月明かりに、女の真っ白い背中が浮き上がる。
その後ろ姿を私は見紛うことはなかった。

(由美子)

妻の名を呼ぼうとした時、不意に木陰から男が現れた。
男は女を背後から抱きすくめた。
月光を浴びて体を重ね合う男と女。

不安に駆られた私は、女が由美子なのか確かめようと、
そっと暗がりから抱擁する二人へ近づいた。
男の腕が巻きついた女の背中越しに、私は震える声を搾り出した。

「・・ゆ、由美子なのか?」

ゆっくりと女が振り向いた。
月明かりに女の顔が映った。
だが女は、露店で売っていた狐のお面を被っていた。

つづく・・・

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小説 「妄想の仮面」 第二章・・・

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       『妄想の仮面』  紅殻格子


二.夫の独白(一)


また夢を見た。
毎晩のように同じ夢を見る。
そして毎朝、狐のお面を被った女が振り返るところで目が醒める。

フロイトの夢診断を待つまでもなく、私は自分の抑圧された欲望に気づいている。
それは、『妻が他の男に抱かれる姿を見たい』
と言う歪んだ性の衝動に他ならない。

世間で変態と蔑まれる性欲が、私の心を蝕み始めたのはいつの頃からだろうか。  記憶を辿ると、中学生の頃に観たテレビドラマのワンシーンにたどり着く。

タイトルや出演者は覚えていないが、そのシーンだけは今も鮮明に蘇ってくる。  若い夫婦が暮らすマンションに、二人の強盗が入ると言う筋立てだった。

夫婦を刃物で脅して金品を巻き上げた後、縛られた夫の前で、欲情した男達が若妻を強姦してしまう。
始めは抵抗していた若妻も、執拗な強盗二人の責めと、
夫に見られている背徳から、
終には体を震わせて身悶えてしまうのだ。

今思えば陳腐なストーリーだが、思春期の真っ只中にいた私は、とてつもない衝撃を受けた。 苦痛から快楽へ変わっていく女の表情。
体の悦楽に逆らえず、夫の前で犯されながらも、強盗の腰に手を回してしまう若妻。

そして信じていた妻の貞操が、女の淫らな性に蹂躙されるのを目の当たりにする夫。 私はドラマの夫に自分を投影していた。
心理的な説明はつかないが、私は心の奥底に黒い愉悦を感じていた。

それは肉体の快楽など及びもしない脳髄の痺れだった。
だがこの衝撃的な性の刻印は、高校から大学時代、
社会人となって妻と出会うまで封じ込められていた。

それは青年期の健康的な肉欲だった。
私は巡り合う女体に陶酔した。
白磁の如くなめらかな肌が描く曲線美と触感。

食虫植物のように甘い芳香を放って男を捕える花弁。私は肉体の快楽に溺れ、心奥に彫られた刻印のことなど忘れていた。

妻と出会ったのも十五年前のこの頃で、私が二十七歳、由美子が二十三歳の年だった。
私は中堅製薬会社の営業マン、由美子は同じオフィスで経理として働いていた。

由美子は幼さが残るあどけない容貌ながら、乳房の豊かさが男達の目を引く女だった。 そんなナイスバディとは裏腹に、万事控え目で大人しい由美子は、男子社員から絶大な人気を誇っていた。

つづく・・・

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小説 「妄想の仮面」 第三章・・・

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       『妄想の仮面』  紅殻格子


三.夫の独白(二)

ライバルを蹴落として、私は由美子を勝ち取った。
その豊穣な乳房を独り占めにしたのだ。
勝者への褒賞はそれだけではなかった。

透き通るほど白くきめ細かい肌、鋭角にくびれたウエスト、
きゅっと引き締まった弾力のあるヒップ。
まるでラテン系の女かと見紛うほど、
由美子の肢体はグラマラスなフォルムを保っていた。

しかも由美子は男を知らなかった。
肢体だけ見れば、派手で男好きな女と勘違いしそうだが、
両親がともに固い教師だけあって、
その性格は地味で堅実、男に従順なタイプだった。

迷うことなく私は由美子と結婚した。
由美子は会社を辞めて専業主婦になった。
娘の愛美を授かってから、思った通りの良妻賢母ぶりを発揮し、
傍目も羨むほどの円満な家庭を築き上げてくれた。

幸せな家庭生活。
だが心の奥底に巣食った性の刻印は、
癌細胞のように静かな増殖を繰り返していた。
そして気づいた時、
私はすっかり黒い妄想に身も心も支配されていたのだった。

妄想は私に命じる。

『妻が他の男に抱かれる姿を見たい』

むろん私は由美子を愛している。
妻としても母としても非の打ちどころがない。
由美子は生涯の伴侶として申し分なかった。

肢体も愛美を出産してから熟度を増し、
三十路後半の女盛りに相応しい艶が出てきた。
より豊饒になった乳房はもとより、
ウエストからヒップにかけて脂肪が乗った肌は、
上質な手触りを楽しませてくれる。

私は煩悶する。

何故私は愛する妻を他人に委ねたいと思うのか? 
悪魔と取引することで、私が手にできる黒い愉悦とは何なのだろうか? 

だが私は躊躇せざるを得なかった。

妻を他人に抱かせるなど、妄想の世界では許されても、
現実の世界では狂人としか思われまい。

大体、由美子がそんな変態行為を受け入れてくれるはずがない。
逆に受け入れられでもしたら、一番困るのは私自身だともわかっていた。

だが妄想は、理性で抑えることなどできなかった。

私はすがる思いで同じ妄想を持つ仲間を探した。
スワッピング・3P・輪姦――
私は雑誌やサイトで密かに研究を重ねた。

まずは男性の確保が必要だった。
由美子が好意を持てる男でなければならないし、
私が信頼の置ける男でなければならない。

そして巧みなシナリオが求められる。
ごく自然な流れの中で、由美子が体をその男に委ねられるように、
用意周到なお膳立てをしてやることが大切だ。

私は妄想を誤魔化しながら、実行する時を焦らずに待った。
そして私は四十二歳を迎えて、
性の深淵への第一歩を踏み出すチャンスを得たのだった。

つづく・・・


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小説 「妄想の仮面」 第四章・・・

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四.妻の独白(一)

「奥さん、サザンはお好きですか?」
娘を寝かしつけてリビングに戻った私は、ほろ酔い加減に顔を赤めた清川君に尋ねられました。

「結婚前はよく聴いていたわ。こう見えても海が大好きな少女だったのよ」

「・・少女?」

「んもぅ、馬鹿にして。私だって二十年前は初々しい女子高生だったのよ。ああ、湘南の海が懐かしい・・今の女の子みたいに、ハイレグの水着で歩きたいわねえ。きっとたくさんの男達が振り向いて、声をかけてくるんじゃないかしら?」

「ここは湯治場じゃありませんよって」

「もう、また年寄り扱いしてっ!」

清川君はお腹を抱えて笑いました。の屈託のない笑顔に、気難しい主人もつられて笑っています。そんな二人を見て、私も怒るどころか笑ってしまいました。

清川君は主人の部下で、二十五歳になる好青年です。まだ独身のアパート暮らしで、たまには家庭の味が恋しいだろうと、主人が我が家へ連れてきます。

長身でほっそりした体格、整った清潔そうな顔立ち、さぞOL達には人気があるでしょう。性格も明るく、いつもひょうきんな冗談を言って人を笑わせます。

学校に通う娘の愛美も、清川君が家に来るのを心待ちにしているようです。かく言う私も専業主婦ですので、若い男性と滅多に話す機会などありません。

清川君の来訪を一番楽しみにしているのは、実は私なのかもしれません。 コホンと咳払いして、清川君が鞄から二枚の紙切れを取り出しました。

「ジャ~ン、実はサザンのチケットが手に入ったんです。最近はあまりコンサートをやらないので、これはなかなか貴重なチケットですよ」
「まあ、素敵!」
「いつも手料理をご馳走になっている御礼です。チケットは二枚ありますから、田口課長とご一緒に行って下さい」

私は飛び上がって喜びました。ところが主人は、ワイングラスを傾けながら、興味なさそうに手を左右に振りました。

「あ、俺はダメ。あんなうるさいのは性に合わないんだ。岡晴夫とか藤山一郎ならいいんだけど・・」

「課長・・その人達のコンサートは、あの世でないと行けませんよ」

「そりゃそうだが・・じゃ悪いけど清川、由美子を連れて行ってくれよ。俺は愛美の面倒をみているから・・・」

驚いたことに、亭主関白な主人が留守番役を買って出たのです。
でも私はサザンを断ろうと思いました。 嬉しい清川君からのプレゼントですが、主人と愛美を残して外出などできません。

私には、清川君の気持ちと主人の思い遣りだけで十分でした。
ところが清川君は、そんな私の心中などわかりません。

「いいんですか? 美人の奥さんと二人でデートしても」

「美人だと? 清川、お前一度眼科で診てもらった方がいいぞ」

私は主人を横目で睨みつけました。せっかく主人をちょっぴり見直したのに、そのつまらないオヤジギャグのおかげで、私の感動はすっかり冷めてしまいました。

「清川君、こんなオバサンでも本当にデートしてくれるの?」
「もちろん、光栄です。でも田口課長、コンサートの夜、奥さんを家に帰さないかもしれませんよ」
「ご心配なく。幾晩でもお貸ししますよ」

そんな冗談めかした会話の中、清川君と私のコンサート行きは実現したのです。

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小説 「妄想の仮面」 第五章・・・ 

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五. 妻の独白(二)

コンサート当日の土曜日。

「由美子、ずいぶんと念入りに化粧をしているじゃないか」

会社が休みの主人が私を冷やかします。
確かにそうかもしれません。
久しぶりに濃い目のお化粧をして、
若く華やいだワンピースを身にまといました。

相手は主人の部下、清川君です。
年の離れた弟のような存在で、別に意識する必要もないのに、
私は何故かドキドキと鼓動を高鳴らせていました。

私は中学・高校と女子校で過ごしました。だから男性に対して免疫がないのかもしれません。交際した男性は何人かいましたが、体を許す関係になったのは主人だけでした。

子供がいる主婦なのにおかしな話ですが、主人以外の男性と二人でデートするなんて、三十八歳のオバサンにとっては緊張するものなのです。

渋谷で清川君と待ち合わせしました。
月に二、三回は家で会っているのに、二人で並んで歩くと、改めて身長の高さに驚かされます。

「清川君、身長何センチあるの?」
「180ですよ」
「わぁ、そんなに大きかったんだ」

私が驚いて見上げると、清川君はニヤッと笑いました。
「ふふ、奥さん・・実は大きいのは身長だけでは・・」
「・・・・」
カッと顔の赤くなるのが、自分でもわかります。
普段ならさらっとやり過ごすところですが、二人きりでいると、変な意識をしてしまうのかもしれません。

コンサートはとても素敵でした。
小さな会場での演奏だったので、生のサザンを間近で堪能できました。家事のこと、育児のこと、全てを忘れて私は軽快なリズムに身を委ねました。

会場の外へ出ても、まだ私は余韻に酔い痴れていました。
清川君がぼうっとしている私の手を取りました。

「これから食事でもどうですか?」
「え、でも、あの、主人が・・」

私は不意に手を握られ、しどろもどろに口ごもるばかりです。

「まだ九時、大丈夫ですよ。乗りすぎてお腹が空いたんじゃないですか?」
「・・ええ」

笑顔の清川君に連れられて、私は洒落たイタリア料理店へ行きました。 若い男女が集う高そうなお店です。
不慣れな私はどきまぎするばかりですが、清川君は堂々とエスコートしてくれました。

でもそれがちょっぴり小憎らしく思えました。私よりも十三歳も年下なのに、女の子と遊びなれているに違いありません。

「よく彼女とこんなお店に来ているんでしょう?」
「気になりますか?」

いつもと違う真剣な目で、清川君じっと私の顔を見つめます。
私は慌てて視線をテーブルに落とします。
(わ、私ったら、何を言っているの・・)
自分でも驚くしかありません。

私は清川君に嫉妬を感じたのです。
主人の部下であることも忘れて、私は清川君を一人の男として意識していたのです。

つづく・・・


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小説 「妄想の仮面」 第六章・・・

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 六.妻の独白(三)

飲めないワインに、私はすっかり酔ってしまいました。

「お宅までお送りしますよ」

店を出ると、清川君はタクシーを止めて、抱きかかえるように私を乗せました。

「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・ちょっと飲みすぎちゃったみたい・・」

私はタクシーの窓を開けて、涼しい初夏の風を入れました。

「もう十一時だわ・・あの人、もうお風呂に入ったかしら」
「おや、田口課長のことが心配ですか?」
「そ、そんなことないわ。私だってたまには夜のお酒ぐらい・・」

むっとむくれた私は、ニヤニヤ笑っている清川君を睨みつけました。
その時、タクシーが急にカーブを曲がったのです。私はバランスを崩して、清川君にもたれかかってしまいました。

「あっ」

清川君が私の腰に手を回してきました。
私はどうしていいかわからず、ただ俯いているばかりです。

「・・・・」

車の揺れに合わせて、清川君の手がお尻へ下がってきます。
(清川君は私が上司の妻であることを忘れたのかしら? それともワインを飲みすぎておかしくなっちゃったのかしら?)

モゾモゾと動く掌をどうすることもできないまま、私は清川君の真意を測りかねていました。すると唐突に、清川君は吃驚することを耳元で囁いたのです。

「奥さんが好きです」

一瞬、私は耳を疑いました。慌てて清川君の顔を見ると、いつもと違って真面目な表情をしています。

「オ、オバサンをからかって・・」
「いえ、ずっと奥さんに憧れていました」

その瞬間、私は下腹部に甘い痺れを感じたのです。
その痺れは、静かな水面に生じた波紋のように、ゆっくりと全身へ広がっていきます。

「だ、だめよ・・いけないわ」

我に返った私は、前の座席にいる運転手を気にして、お尻にまとわりつく清川君の手を払い除けました。

「どうしてですか?」

「ど、どうしてって・・だって私は田口の妻であり、愛美の母親なのよ」

運転手に気づかれないように、私は声にならない声で叱りました。

「わかっていますよ。でも私にとって奥さんは妻でも母でもありません。一人の女であるだけです」

私は心臓が止まりそうになりました。ただ清川君にお尻を触られるまま、口をパクパクさせているしかありませんでした。やがてタクシーが家の前で止まりました。

「奥さん、今夜は楽しかったです。おやすみなさい」

そう言うと、清川君は降りようとする私のあごを手で押さえ、いきなり口唇を重ねてきたのです。

「う、ううっ」

驚くほどの早業でしたが、私はしっかりと清川君の口唇を感じていました。 清川君を乗せたタクシーが遠ざかって行きます。
そのテールランプを眺めたまま、私は心の整理がつかず、しばらくマンションの近くでぼんやりとたたずんでいました。

私は、主人と娘、そして今の生活を愛しています。少女の頃から思い描いてきた幸せです。この幸せを守るため、私は良妻賢母であることを心がけてきました。
そんな平和な日常に、清川君は土足で踏み込んできたのです。 でも私は清川君を拒めませんでした。

心のどこかで、こうなることを期待していたのかもしれません。現実にはあり得ないトレンディドラマに憧れるように、私は非日常の恋愛を密かに夢見ていたのです。

もう一人の私。

それは主人と娘を裏切ってでも、清川君に淡い恋心を抱く女の私だったのです。 どちらが本当の私なのでしょうか? その答えも出せないまま、私はエントランスを抜け、エレベーターのボタンに手をかけました。

ただ一つ確かなことは、下着をはしたないほど濡らしていることだけでした。

つづく・・・


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小説 「妄想の仮面」 第七章・・・

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七.夫の独白(三)

数日前。

「清川、由美子を誘惑してくれないか?」

会社の帰り、行きつけの居酒屋で私はそう清川に打ち明けた。
口をポカンと開けたまま、清川は私を見ていたが、しばらくすると弾けるように笑い出した。

「田口課長、独身者をからかうのは止めて下さいよ」

「冗談で言っているんじゃない。清川、お前由美子をどう思う?」

真顔の私を見て、清川は笑うのを止めて神妙な面持ちを見せた。

「それは憧れていますよ。美人だし、とても家庭的だし・・」

「家庭的?」

「ええ、結婚するなら、奥さんみたいなタイプがいいですよ。何て言うのかな・・いつも夫を立てて、半歩後ろをついてきてくれるみたいな・・愛美ちゃんを見ていると、母親としても理想的じゃないですか」

私はビールのグラスをあおった。

「女としてはどうだ?」

「えっ、女として・・ですか?」

清川は考え込んだ。

「課長、それは私にはわかりませんよ」

「俺にもわからないんだよ」

「はあ?」

「たぶん、俺は由美子の女を取り戻したいんだと思う」 
「・・・・」

一瞬、居酒屋の喧騒が消えたように静かになった。
そもそも結婚とは何か。 結婚とは家族をつくる社会制度である。

それにより男と女は、夫と妻と言う役割を担わされる。そして子供ができると、次は父と母と言うより厳格な立場を背負わされることになる。

特に女性は、男性に比べて社会的なプレッシャーが強い。妻は貞淑であり、夫に従順でなければならない。母に至っては、聖母のイメージ通り、あらゆる欲望を捨てて自己犠牲を強いられる。

それが良妻賢母の正体だろう。
化粧もせず、流行の服を着ることもなく、主婦は家事と育児に明け暮れる。男としてはありがたいが、女の匂いをプンプンさせたクラブのホステスに、欲望を覚えてしまうのも裏腹な事実だ。

(由美子に女であって欲しい)

欲張りなのかもしれない。だが妻として母として満点な由美子に、もう一度心ときめく女を取り戻して欲しい。良妻賢母になろうとして封印した女を、私の前で解き放って欲しいのだ。

むろん今も容姿に不満はない。 だが長年私にしか接していない由美子は、火傷するような女の熱情を忘れてしまっている。私は由美子に、激しく燃え上がる女の恋情を取り戻して欲しいのだ。

つづく・・・      
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小説 「妄想の仮面」 第八章・・・

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八.夫の独白(四)

清川は怪訝な顔をした。

「しかし田口課長、それはご夫婦の問題じゃないですか・・」

「確かに清川が言う通りだ」

「それなら」

「だが十年以上夫婦をしていると、なかなか普段の生活は変えられないんだ」

私はおもむろにタバコをくわえると、ふうっとため息をつくように煙を吐いた。  夫婦の性生活は定食のようなものだ。

私は前戯も疎かでやや早漏気味、夫婦の閨はせいぜい二十分がいいところだ。  由美子も不感症ではないが、家事と育児に疲れて、暗闇の寝室でマグロになっていることが多い。                   そんな夫婦生活を続けていると、急に熱心に愛撫したり、新しい性行為に挑戦したりするのは抵抗があるのだ。

しかも由美子にとっては、私こそが妻として母として安住する元凶に他ならない。  いくら淫らさを求めても、相手が私であり続ける以上、由美子は明朝の食事やゴミ捨てから逃れられないのだ。

どす黒い妄想が心に湧き上がってくる。                             

『妻が他の男に抱かれる姿を見たい』

妻であり母でもある由美子が、男に組み敷かれて、女の本性が命ずるまま、狂ったように身悶えている痴態を見たいのだ。                 淫らな女の本性を剥き出しにして、禁じられた肉茎を受け入れる由美子を見たいのだ。

私の切々たる悩みを聞いた清川は、ビールのグラスを一気にあおった。

「わ、わかりました・・ですが、奥さんを誘惑するなんて僕には自信がありません」

覚悟を決めてくれた清川だったが、不安そうな表情を隠しきれない。

「実はコンサートのチケットを二枚用意してある」

私は鞄の中からサザンのチケットを取り出した。

「ど、どうするんですか?」

「由美子は若い頃から熱狂的なサザンのファンだ。これを使って・・」

私は清川の耳元で十年以上も練り上げた策を授けた。

「・・なるほど」

男達の秘密めいた会話は、居酒屋の片隅に異様な空間をつくった。 二人の男が抱くお互いの妄想は、歪んだ妖しい夜を更けさせていった。
つづく・・・

 

 

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小説 「妄想の仮面」 第九章・・・

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九.夫の独白(五)

コンサートの日。
慌しく私は、夕食の支度や風呂の掃除に追われていた。

「パパが家事をするなんて珍しい」

小学校四年生になる愛美が、意外そうな表情で私を手伝ってくれた。娘の心配りは嬉しかったが、由美子と清川のことを考えると、私は気もそぞろなあり様だった。

(今頃、由美子は・・)

想像しただけで、早鐘のように鼓動が早まり、口がカラカラに渇いてくる。そして情けないほど指が小刻みに震える反面、邪な妄想が肉茎を痛いほど怒張させる。

夜、私は愛美を寝かしつけ、テレビもつけずに由美子の帰宅を待った。
(自分で望んだことだが・・)

私は三本目の缶ビールを空けた。酒の力にすがらなければ、妄想にとり憑かれて悶え死にしそうだった。
十一時半。

「ただいま」

由美子が帰ってきた。
酔っているのか、薄桃色に顔を上気させて足元が少しふらついている。

「どうだった?」

リビングのソファにもたれた由美子に、私は平静を装って声をかけた。

「うん、楽しかったわ」

由美子はふうっと大きく息を吐くと、コンサートの模様を、不自然なほど饒舌に語り始めた。 私は冗談めかして核心に迫る質問をぶつけてみた。

「清川と食事をしたんだろう? 酔わされて襲われなかったか?」


「馬鹿ねえ、そんなことがあるわけないじゃない。こんなオバサンと・・」

由美子は腹を抱えて笑った。だがその態度はどこかぎくしゃくして見えた。 私は顔から血の気が引くのを感じた。
由美子が私を裏切った瞬間だった。

実は由美子の帰宅直前、清川からメールが届いていた。そこには、タクシーの中で奥さんにキスしたと書かれていた。  私は激しい嫉妬に駆られた。  清川との痴戯そのものより、由美子が私に嘘をついたことがショックだった。

「あの子、酔っ払って私にキスしたのよ」

そうあっけらかんと言ってくれたら、私の黒い愉悦は雲散霧消していたかもしれない。 私はソファに由美子を押し倒した。

「あ、あなた、何をするの?」

抗う由美子を組み敷くと、私は荒々しくスカートを捲り上げた。そしてストッキングとショーツを剥ぎ取り、すでに硬くなっている肉茎を陰部に宛がった。

「あ、いやっ・・」

私は愛撫もせず、一気に由美子の秘芯を貫いた。

「ど、どうして・・あ、ああっ、無理よ・・いきなりなんて・・」

ところが由美子の花芯はすでに綻び、いつでも男を迎えられるように濡れていた。
久しぶりに嗅ぐ女の匂い。 私は夢中で由美子を犯した。

「ゆ、由美子・・」

だがすぐに堪え切れなくなった私は、十数回腰を動かしただけで、あっけなく射精してしまったのだった。

つづく・・・

 

 
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小説 「妄想の仮面」 第十章・・・

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十.妻の独白(四)

あの夜以来、清川君の言葉が私の耳にこびりついて離れません。

「でも私にとって奥さんは妻でも母でもありません。一人の女であるだけです」

まるで密教の陀羅尼を唱えるかのように、その呪文は体の中を駆け巡って行きます。

 (一人の女・・)

すると不思議なことに、今まで意識していなかった私の中で、別の人格が心臓の鼓動を刻み始めたのです。

(清川君が好き)

それが私に住みついてしまった女の第一声でした。          私は途惑いました。

平日の午前中、主人と愛美を家から送り出すと、決まって女の私が現れるようになったからです。
家事をする途中、ふと洗面台の鏡を覗き込んでみました。
清川君に奪われた口唇。
まだ彼の口唇の感触が残っています。

(いけないわ・・そんな関係は許されないのに・・)

でもそんな心とは裏腹に、下腹部がじんと痺れて、全身が燃えるように熱く火照ってきます。 恥ずかしいことです。
ブラに触れている乳首が、キュンと敏感に立ってきます。                                 そしてショーツの中も、むずむずして湿ってくるのがわかりました。

「あ、ああん・・」

勝手に指がショーツの中へ滑り込んでいきます。                                      もうぐしょぐしょです。子供を産んだ四十歳間近のオバサンが、朝から自慰に耽っているのです。 洗面台で立ったまま、私は小さく彼の名前を呼びました。

「き、清川君・・」

その禁断の六文字を口にしただけで、私の中の女は狂ったように暴れ出します。
痛いほど尖ってしまった乳首を摘むと、淫らな電流が体中を走り抜け、ギュッと子宮を鷲づかみされた悦びが押し寄せてきます。                                 ショーツに忍び込んだ中指も、第二間接まで愛液に浸りながら、                                       はしたなく大きくなったクリトリスを無心に弄んでいます。

「ああっ、欲しい・・あ、あなたが欲しいのよぉ・・」

うわ言のように喘ぎながら、私は立ったまま体を硬直させていました。
ふらつく足取りでリビングに戻った私は、全身の力が抜けたようにソファへもたれ込みました。

(このままでは狂ってしまう・・)

私は怖くなりました。
まだ下腹部の奥が疼いています。
男は、年を取ってから色に狂うと身を持ち崩すと言います。                                それは女も同じでしょう。                           いえ、今は女の方が危ないかもしれません。

今夜は清川君が家へ遊びに来ます。
私はソファに座ったまま、あの夜以来となる清川君に、どう接したらいいのか思い悩んでいました。

つづく・・・

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紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

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だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
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