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『追憶の白昼夢』  第一章

追憶の白昼夢

私は彩香の薬指の結婚指輪を見て改めて 
彼女が他人の妻であることを思い知らされた
嫉妬心がふつふつと湧き上がってきて…

『追憶の白昼夢』
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(一)

新横浜駅は人の波でごった返していた。

土曜日の昼食時、人気のラーメン博物館へ足を運ぶのか、それとも横浜アリーナで何かイベントでもあるのか、改札からは家族連れや恋人たちが引きも切らず溢れ出してくる。

梅雨晴れの空は早くも夏の到来を予感させるほど目映い。

気温も三十度近くまで上がり、蒸し蒸しとした暑気が肌に纏わりつく。
大胆なタンクトップ姿の少女が、胸元の白い谷間を覗かせながら行き交う。

私は陽射しと喧噪を避け、駅舎の陰で煙草に火をつけた。

(彩香と会うのも十五年ぶりか)

心落ち着かぬ私は、忙しなく紫煙を吐き出した。
赤い火玉が鼓動の高まりと同調して激しく熾る。

一家の主として妻子を養う三十七歳の私は、まるで初めて女性とデートする少年のように、そわそわと浮き足立っていた。

胸のうちで交錯する期待と不安は抑えようとしても抑え切れず、私はパチンと左手で頬をはたいてみたりした。

三日前のことだった。
中堅食品メーカーの経理課長として勤務する私宛に、一本の電話がかかってきた。

「速水課長、お電話です!」

若い女性部員に声を掛けられて、旅費精算書をチェックしていた私は、電卓を弾く手を止めた。

「誰から?」

「ナグモ様とおっしゃる方ですが…」

「ナグモ…?」

私は心当たりのない名前に首を傾げつつ、机の上の電話を指差して転送を頼んだ。

「はい、お電話替わりました」

「もしもし、哲っちゃん? 私。誰だかわかる?」

女の声だった。
聞き覚えがある。そして“哲ちゃん”いう懐かしい呼び名―。
ナグモ、南雲……。

「あっ、彩香か!」

思わず女の名を口にしてしまった私は、慌てて周囲を見回した。

幸い誰も気づかなかったらしく、皆、黙々と仕事を続けている。

「びっくりしたよ。久しぶりだな」

私は受話器を手で覆い、周囲を気にしながら小声で話した。

「お仕事中ごめんなさい。それも突然電話したりして…でも哲ちゃんが私のことを覚えててくれて嬉しいわ」

「あ、当たり前だろう。大学時代の友達を忘れるほど呆けちゃいないよ」

「ただの友達だったかしら?」

「い、いや、その、正確には昔の恋人」

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第二章

『追憶の白昼夢』

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(二)

南雲彩香との出会いは大学時代に遡る。
当時私と彼女は違う大学に通っていたが、共通のサークルに所属していた。

大学二年の春、彩香と私は互いに魅かれ恋に落ちた。
そして卒業まで二人の蜜月は続いた。

彩香は電話の向こうでクスッと笑った。

「そうね。もっと正確に言えば、十五年前から音信不通になっている昔の恋人ね。ねえ、哲ちゃん、久しぶりに昔の恋人と会いたくない?」

「えっ、あ、会うって」

彩香と話すだけでも動揺を隠せない私は、驚きの余り声を裏返らせてしまった。

「うん、実は今度の日曜日、東京で知り合いのピアノの先生の演奏会があるの。それで土曜日に上京するんだけど、もし時間が空いていたら会えないかしら?」

「…二人でか?」

多人数の同窓会ならば気も楽だが、二人きりの再会となると話は別だ。
彩香は当時結婚まで考えていた恋人である。

勿論肉体の隅々まで知り合っている間柄である。
しかも今私は妻帯者であり、彼女も他人の妻なのだ。

私が戸惑うのも無理からぬことであろう。
だが彼女の折角の誘いを無下に断るのも…という気持ちもあった。

「ねえ、駄目かしら?」

「う、うん、別に予定はないけど―」

「本当!私、朝早く会津を出るから、お昼頃には東京に着くわ。だったら新横浜で会いましょう?ねっ」

「あ、ああ」

彩香の弾んだ声に負け、ついOKしてしまった。

「嬉しい」

十五年ぶりの彩香との会話は、すっかり彼女のペースだった。
勤務時間中だろうからと、待ち合わせ場所と時間だけを決めると、彼女は早々と電話を切った。

しかし私は電話を置いた後もしばらく放心状態で、なかなか仕事が手につかなかった。
再会の約束に困惑しながらも、無意識に顔がにやけてしまう自分が不思議でならなかった。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第三章

『追憶の白昼夢』

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(三)

(そろそろ時間だな)

一層高まっていく緊張に、私は再び煙草が吸いたくなった。
しかし煙草は空で、仕方なくポケットの小銭入れを探した。

ズボンのポケットに手を入れると、結婚指輪が冷たく触れた。
家を出る時、私はいつもは左手の薬指が定位置となっている指輪を指から外していたのである。

ふと家で待つ妻の顔が瞼に浮かんだ。
妻は私より二つ年下の三十五歳、小学校三年になる娘の世話と、日々の家事に追われる専業主婦である。

容姿は彩香の足元にも及ばないが、絵に描いたような良妻賢母で、ありきたりだが幸福な家庭生活を支えてくれている。

(どうして彩香と会う約束をしてしまったのだろう!)

私は改めて自分に問い質した。

妻子に休日出勤と偽って昔の恋人と会う疚しさが、私の心を曇らせているのは事実である。

愛妻と愛娘に嘘をついて、大切な家族との休日をないがしろにするのは本意ではない。
やはり彩香と再会すべきでないのだろうか。

そう考える一方で、家族への思いやりなど自己弁護に過ぎず、罪悪感に苛まれようが、彼女と再会する魅力に坑えない自分もいた。

それは青春時代へのノスタルジーなのか、それとも勝手に想像を膨らます劣情の仕業なのか、私にはわからなかった。

(しかし彩香はなぜ、突然会いたいと電話してきたのだろう?)

私は自分の心中もさることながら、それにもまして彩香の目的が気になった。

女が唐突に昔の恋人に再会したいと電話してくるには、それ相応の理由があるだろう。
一体何が彼女をそうさせたのか?

その時、
「ごめんなさい。哲ちゃん、待った?」

と不意に背後から声をかけられ、私は慌てて振り返った。

彩香が立っていた。

「あ、いや、別にその…」

予想外の方角からの彩香の登場に、私は無様にもしどろもどろになってしまった。

「ちょっと早めにきちゃったから、そこのブティックで時間を潰していたの。どうかしたの?そんな怖い顔をして」

彩香は微笑みを湛えながら、人懐っこい大きな瞳で私の顔を覗き込んだ。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第四章

『追憶の白昼夢』

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(四)

「……」

私は言葉を失った。

彩香は十五年前と変わっていなかった。
私と同じ年だから今年三十七歳になるはずである。

しかし目の前の彼女は、昔つきあっていた頃のままだった。
生来のあどけない童顔故か、懐かしさがそう感じさせるのか、私は幻覚を見る思いだった。

「哲ちゃん、私、おばさんになっちゃったでしょう?」

そう言うと彼女ははにかんで俯いた。

鮮やかな翡翠色のノースリーブシャツに、スリットの入った同色のタイトスカート。
小柄だが体の線だけはスレンダーだった昔と違って、魅力的なラインを作っていた。

「い、いや、全く昔と変わらないよ」

「本当、お世辞でも嬉しいわ」

世辞ではなく本心だった。
十五年の歳月が一瞬のうちに滅して、過去にタイムスリップしたような錯覚に私は陥っていた。

彩香と別れてから今日までの出来事、就職・結婚・娘の誕生等々、蓄積された記憶の襞は消え、私は若々しい大学生の頃に戻り始めていた。

「どこへ行きたい?」

「そうねぇ、昔よくデートした海に行きたいわ」

彩香も過去を彷徨っているのか、うっとりした瞳で私の腕を抱きかかえてきた。
ボリュームのある胸が押し付けられた。

彼女の胸の感触にとまどいながら、私は彩香の瞳を盗み見た。
彩香の瞳は一般的な日本人と比べると色素が薄く、透き通るような鳶色をしている。

かつてその鳶色の瞳は、見る者の邪心を浄化するほど純粋で澄み切っていた。
しかし今、腕に縋っている彩香の瞳には、男心をそそる成熟した女のフェロモンにも似た情炎が、確かに点っている。

(やはり昔の彩香とは違う…)

その怪しい情炎が、逆に辛うじて過去に引き戻されそうになる私の理性を保ち、現実世界に繋ぎ止めた。

(なぜ彼女は電話をしてきたのだろうか?)

私は再び自問しながら、車を停めてある駐車場へと向かった。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第五章

『追憶の白昼夢』

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(五)

港北から第三京浜に乗り、横浜新道を使って横浜横須賀道路に入る。
渋滞もなく、三十分も走ると横須賀に着いた。

車はインターを出て、葉山へ向けてしばらく山路を走った。
そして長いトンネルを抜けると、突然目の前に相模湾が開けた。

「まあ、綺麗!」

彩香は眩しさに目を細めた。

フロントガラスの全面に広がる無数の光の粒子をちりばめた群青色の海が、遥か彼方に緩やかな水平線を描いている。

その無辺のキャンバスには、散在する小磯と松林、遠くに白い帆を張る数艇のヨットが、上品な筆遣いで添えられている。

彩香と私を乗せた車は、古より避寒地として別荘の多い佐島を通り、城ケ島へと国道を南下した。
城ケ島はマグロの水揚げ港として有名な三崎の対岸の島で、三浦半島の最南端に位置している。

北原白秋の『城ケ島の雨』の詩碑も残る景勝地である。
私達は車を降りて磯伝い散策を始めた。

「ああ、懐かしい。この海の匂い、あの頃と変わらないわ…」

彩香は波打ち際に立つと、磯の香りを大きく吸い込んだ。
海を渡る潮風が、背中まで届く緩やかにウェーブした髪をそよがせる。

「ねえ、覚えてる?デートでここに初めて来た時のことを。あの頃は二人とも学生で車なんかなくて、電車とバスを乗り継いで来たじゃない」

「ああ、確か横浜から二時間ぐらいかかったよな」

「うん、帰りの電車の中で哲ちゃんが囁いてくれた一言が今でも忘れられないわ。お前を一生離さないって…その夜、初めて二人は結ばれたのよ」

彩香は私の腕をきつく抱いた。
柔らかい乳房の感触が、熱く衣服越しに伝わってくる。

「あ、あの頃は、お互いに、若かったしな」

私は困惑の余り、上の空で相槌を打った。
彩香が私の腕を強く抱えるのは、昔つきあっていた頃からの癖だった。

大学時代―。

私たちは同じサークルの仲間だった。
そのサークルはテニスやスキーのような軟派なものではなく、養護施設の子供たちと交流を持つボランティア・サークルだった。

従ってそこに集う仲間は、当時の大学生にありがちな無気力で軽い人間ではなく、真面目な社会と向き合おうとする者が多かった。

中でも彩香はひときわ熱心に活動していた。
親のいない子供たちにいつも母親の如く優しく接していた。

しかもなぜ地味なボランティア・サークルに入ってきたのか皆が訝しがるほど、彩香は美しかった。
アンティークの西洋人形にも似た円らな瞳が、周囲の男たちの恋心を誘った。

当時彼女に言い寄る輩も数多くいたらしい。
しかしサークルに熱中していたからか、はたまた女として幼すぎたのか、彼女は男たちの求愛を全く受けつけなかった。

そして『男嫌い』とか『鋼の処女』とか、陰で渾名されるようになった。
無論、当時他ならぬ私も彼女に密かに憧れていた。
しかし二枚目でもない私は、とても彼女に想いを打ち明ける勇気など持ち合わせていなかった。

ところが会津から上京して一人暮らしする彩香のアパートが、偶然にも私の家の近くにあり、サークル活動のある日にはよく二人で帰る機会に恵まれた。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第六章

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(六)

二年生になったばかりの春の夜、サークルのコンパで帰りが遅くなり、いつものように私は彩香をアパートまで送っていくことになった。

彩香も私もかなり酔っていた。

「いつも遠回りさせてごめんね。速水君だって迷惑でしょう?」

「そんなことないよ。男は美人と一緒に歩いているだけで楽しいものさ」

酔っているからか、普段は言えないこんな軽口も飛び出す。

薄暗い街燈の続く人通りのない夜道を歩きながら、二人は他愛もない会話を紡いでいった。
青白い街燈を過ぎるたびに、二人の寄り添う影が伸びては闇に消えていく。

「速水君…」

彩香はやがてぽつんと呟くと歩みを止めた。
そして何か思い詰めたように俯いてしまった。

「どうしたの?具合でも悪いの?」

彩香は黙ったまま小さく首を振った。

「速水君…去年の夏の合宿で、私がある先輩からしつこくからまれたのを覚えてる?」

「ああ、あれ。もう半年も前の話だよ」

「あの時、速水君が止めに入ってくれたでしょう」

「うん、酔うと人が変わるんだよね。昼間はいい先輩なんだけどな」

「あ、あのね、その時ね、その、すごく嬉しかったの…で、でも速水君って、誰にでも優しいから…その、こうして送って貰うのだって、他の女の子にも、そうかなって思ったり、でも、ずっと、す、好きで―」

地面を向いたまま口ごもる彩香の肩をそっと抱きしめた。
彩香は小刻みに震えている。
私が信じられないまま、今度は自分の想いを打ち明けると、彩香は黙って頷いた。

「男嫌いだとばかり思っていたよ」

「私は誰にでもついて行くような女じゃないだけよ」

緊張が解けたのか、彩香がようやく笑顔を見せた。
二人が初めて結ばれたのは、彩香が言った通り、城ケ島でデートしたその夜のことだった。

告白から一週間後の週末だった。
ファミリーレストランで夕食を済ませた私達は、彼女のアパートでのんびりと強行軍の疲れを癒すことにした。

「ねえ、哲ちゃん」

彩香は、つきあうようになってから呼び始めた名で、私を呼んだ。

「帰りの電車の中で言ったこと、覚えてる?」

彩香は壁に凭れてテレビを見ていた私の隣に座って聞いた。

「何?」

「もう忘れたの?酷いわ、やっぱり口からでまかせだったのね」

彩香は私の足をつねると、頬を膨らませて拗ねてみせた。

「痛っ、覚えてるよ。一生、その何だよ、離したくないって…」

と私が口籠ると、彩香は急に抱きついて口唇を重ねてきた。

息遣いが荒い。もじもじと体を摺り寄せてくる。告白の夜から、キスは何度となく交わしていた。
だが私は、まだ処女だという彼女と一線を越えるタイミングと勇気がなかった。

おとなしい彼女の思いがけない行動に驚いたが、いとおしさがこみあげてきて、私は彼女を抱き締めると、優しくベッドに押し倒した。

「哲ちゃんのお嫁さんにしてくれる?」

彩香はうわ言のように何度も何度も繰り返した。
私は無言で頷きながら、彼女のTシャツをゆっくりと捲り上げた。

「恥ずかしい…」

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第七章

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(七)

彩香は両手で顔を覆うと、消え入りそうな声を出した。

白磁と見紛うほど透明感のある肌が、閃光を見た後のように、私の網膜を熱く焦がす。
脂肪が薄く鋭角的に括れたウエストと、野に咲く菫のように控え目な縦長の臍。

胸の小高い膨らみを隠す淡いピンクのブラジャーが、彼女の清らかさを物語っていた。
私は恐る恐るブラジャーに手をかけた。
乙女を守り続けてきた戒めが外れるや否や、小振りだか形の良い乳房が震え出た。

「いや…」

彩香は小さく叫んだ。

「綺麗だよ」

私は彼女の耳元でそう囁くと、再び口唇を重ねた。
彩香は上気して喘ぎながら、執拗に舌を絡ませてくる。

私は彼女に口唇を委ねたまま、そっと掌を乳房に這わせた。
まだ異性の愛撫を知らぬ蒼く固い膨らみの頂点で、淡い桜色の小さな蕾がツンと屹立している。

「あん」

未成熟の蒼さを残す胸の谷間に、私は顔を埋めた。
ミルクのような甘酸っぱい肌の匂いが、鼻腔の隅々まで広がる。
大理石のような滑らかな彩香の両の乳房を、私は夢中で舌で辿った。

「哲ちゃん、哲ちゃん…」

彩香は瞳を閉じて私の名を呼びながら、体を震わせている。
切なげにもじもじする真っ白な太股が、スカートの乱れから覗く。

私はすっと彼女の丸いヒップを撫でて腰を浮かせると、邪魔なスカートを剥ぎ取った。
贅肉のない、若くしなやかな彩香の下股が露になった。

「ダメ、ダメよ、怖いの」

小さな純白のショーツ一枚を残すだけになった彩香は、必死で抗おうと両脚に力を込める。
痛々しい処女の羞恥を解す余裕もない私は、半ば強引な手つきで、彼女の聖域を覆う最後の布切れをむしり取った。

真っ白な裸身の中央に、仄かな翳りが浮かび上がった。
その楚々とした柔らかい手触りに感激しつつ、ゆっくりと閉じられた両脚を押し開いて顔を近づけた。

「そ、そこは、ダメなの。きたないから…」

「そんなことないよ。綺麗だよ」

「嘘よ、だって私、一度だけ鏡で見たことあるの。綺麗じゃなかったもん…死んでしまいたいくらい…」

彩香は顔をそむけた。
薄い草叢の下には、幼女のように初々しい秘所が息づいていた。
艶やかに花開いた成熟した女の花弁とは違い、ふっくらとした両の肉壁に閉ざされた蕾の風情がある幼花だった。

しかしその深いクレパスからは熱く透明な愛液が滲み出て、既に男を迎え入れる準備が整っている。
私は秘肉を優しく開くと、小さな鋭敏な突起を舌先で舐め上げた。

「ああ、いや、哲ちゃん、きたないよお、ダメ、ダメ、あうう…」

彩香は私の舌の動きに合わせて、切なげに身を捩じった。
内股が小刻みに痙攣している。
私はすでに熱く屹立したものを握ると、濡れそぼった花芯にあてがった。

「哲ちゃん、恐い」

彩香は体を強張らせ瞳を閉じた。
私はまだ男に踏みにじられたことのない聖洞に、ゆっくりと分け入った。

固く狭い処女の花芯がきつく締めつける。彩香は歯を食いしばり痛みを堪えている。
その初な彼女の表情に、私は一層深い愛情を感じた。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第八章

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(八)

「何にやにやしてるの?」

城ケ島から横浜へ戻る車の中で、彩香は不審そうに尋ねた。

「いや、別に」

私はラジオのボリュームを落とした。

「嘘、今の哲ちゃんの顔は、何かエッチなことを考えてる時の顔だわ」

「ほう、鋭いな。実はさっき君が海で話していた、初めての夜のことを思い出していたんだよ」

私が少し意地悪気にそう言うと、彩香は

「嫌だ、恥ずかしいわ」

と、とたんに頬を赤く染め、窓の外へと目を逸らした。

しかしその声には、どこか鼻にかかる甘えた響きがあった。
翡翠色のタイトスカートから覗く組んだ両脚が、艶めかしく眩しい。

顔立ちこそ昔と変わらない彼女だが、その内側は芳醇に成熟しているのだろうか。
むっちりと豊かに迫り上がった胸の膨らみが、目に見えない変貌を予感させた。

「こうしているとあの頃のままだな」

「本当、哲ちゃんの横にいると、私も二十歳の頃に戻っていくみたい」

「楽しかったな」

「うん、嫌いになって別れたわけじゃないもの。だからあの頃の気持ちのままこうして話せるんだわ」

彩香は会津の旧家の一人娘、そして私も一人っ子だった。
大学を卒業すると、彩香は東京での就職も許されず、実家につれ戻され、ピアノの教師となった。

私は人生を呪った。
しかし私とて親と就職の内定を投げ捨てて、南雲家の婿養子に入る決断はできなかった。

こうして遠距離で、しかも結婚という目標達成が難しくなった二人は、次第に離れていき、やがて連絡をとることもなくなっていった。

彩香が地元の公務員を婿養子に迎えたと大学時代の共通の友人から聞いたのは、私が結婚した翌年のことだった。

車からランドマークタワーが遠くに見え始めた頃、西の空は茜色の雲の緑を彩り始めていた。
私たちは高速道路を降りると、山手の丘にある洒落たイタリア料理の店に車を停めた。

窓際のテーブルからは、オレンジ色の照明に浮かんだ港が一望できる。
ベイ・ブリッジを飾る青白いライトの明滅が、夜の港町に幻想的は雰囲気を与えている。

「このお店も昔のままね。でもこの窓から見える景色は、昔の方がずっとムードがあったわ」

「そうかな?」

「うん、だってあの頃、哲ちゃんと一緒なら何でもロマンチックに見えたもの」

彩香はそう言うと、焼き立ての香ばしいピッツァ・マルゲリータに手を伸ばした。

彼女の薬指の結婚指輪が目についた。
半ば恋人時代に戻った錯覚に陥っていた私は、改めて彩香が他人の妻であることを思い知らされた。

心地よい白昼夢から無理矢理覚醒させられた不快感が、欝々と全身に拡がっていく。
初めから十分過ぎるほどわかっていたことだったが、行き場のない嫉妬心がふつふつと湧き上がってくる。

私はワインを呷った。

「相変わらずピアノを教えているのか?」

「ええ、今、生徒は三十人。上は高校生から下は幼稚園まで、悩み相談と保育所が一緒になったみたいよ。ゆっくりできるのは、午前中に自分がレッスンする時だけ」

「どこで教えているの?」

「実家の近くにマンションを借りて住んでいるんだけれど、そのひと部屋を教室にしているの。窓から鶴ヶ城の天守閣がよく見えるわ」

私は煙草に火をつけると、軽さを心がけて切り出してみた。

「ご主人はどんな人」

その刹那、彩香の表情が曇ったのを私は見逃さなかった。

「そうね、優しい男性よ。私より五つも年上だから、落ち着いてて何でも言うことを聞いてくれるわ」

「子供は?」

「まだ。もう私も『マル高』だから最後のチャンスなんだけど、彼はあまりこだわっていないみたい」

彩香は他人事のようにそっけなく答えて、再び窓の外に広がる夜景を眺めた。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第九章

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(九)

その後はありふれたお互いの仕事の話や、共通の友人の噂話が続いた。
しかし私が本当に聞きたかった核心は、喉元まで出かかっていたものの、最後まで言葉にできなかった。

(彩香、お前は今、幸せなのか?)

それが私の心にわだかまっている疑問だった。

恋愛に関してよく世間で言われることがある。
男は過去の女を一生引き摺り続けるが、女は現在恋愛している男しか目に見えなくなると言う。

その法則が正しいとすれば、結婚した女が昔つきあっていた男に会いたいと連絡してくるのは、その女が不幸であるからに他ならない。

今日一日彩香と共にいても、自分から夫や家庭のことを話そうとしなかった。
いや、どちらかと言えば避けようとする素振りが見えた。

しかし先ほど強引に話を切り出した印象では、亭主は彼女の言いなりの従順な男で、暴力や博打、女遊びをして妻を顧みないタイプではないようだ。

(亭主を愛していないのか)

私は彩香の心中を推し測った。
家を継がなければならない彩香は、地元の公務員と、婿養子に入るという条件だけで結婚を決めてしまったのではないか。

熱烈な恋愛とは無縁に、無難な男を選んでしまったのではないか。
その愛してもいない男との生活の欝積から、電話で私に救いを求めてきたのであろうか。

私は彩香がもし不幸な結婚生活を送っているのなら、黙って見過ごすことはできないと思った。
妻子を捨てて、彩香とやり直すことはできない。

しかし非力ではあるが、彩香の心を癒すために出来うる限りのことをしてやりたい―。
私は密かにそう心に誓った。

山手のイタリア料理店を出た時、すでに時計は八時を回っていた。
土曜日の夜、山手の丘の上をくねる道に、人通りが絶えることはない。

特に外人墓地や港の見える丘公園辺りには、若いカップルが多くたむろしていた。
「飲酒運転は危ないわよ」

車がカーブの急な谷戸坂から元町へ向かうと、助手席の彩香が心配そうに言った。

「大丈夫だよ。そんなに飲んでないから」

「嘘。だってワイン一本空けちゃったじゃないの」

「ワイン一本ぐらい平気だよ。若い頃は一升瓶一本飲んでも、けろっとしてたさ」

「馬鹿、もう若くないの」

そう言うと、彩香は私の膝の上に手を置いた。

「ねえ、ホテルで休んでいったら?」

私は急ブレーキを踏みそうになった。
私の膝の上に置かれた彩香の掌が、そっと撫でるように太股へ動いた。

「いいでしょう?」

艶かしく甘い鼻声が、私の理性を激しく揺さぶった。
彩香と再会する前から、私はこうなることを夢想していた。

彩香もそれを望んでいる。
平凡な日常から逃避して、懐かしい十五年前の夢に浸っていたいのだ。

卒業とともに封じ込めた夢の小箱だけが、今の彼女の救いなのだ。

「彩香…」

私は足に置かれた彩香の掌を強く握った。
二人を乗せた車は、みなとみらいのホテルへ向けて夜の横浜を走り抜けた。

つづく…

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『追憶の白昼夢』 第十章

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(十)

ホテルの高層階にある部屋の窓には、まるで地上に星を撒き散らしたような夜景が一面に広がっていた。
私はバス・ローブ姿で窓の外を眺めた。

磨かれた窓ガラスには、下界で暮らす何十万という人の群れと、天上の神殿のような瀟洒なホテルの寝室が、外と内、二重に映って見えた。

バス・ルームの扉がゆっくりと開いた。
溢れ出す蒸気を纏って、バス・ローブをはおった彩香が現れた。

濡れ羽色のしっとりと光沢のある髪、胸の合わせから僅かに覗く豊かな谷間、太腿まで露になったすらりと伸びた両脚は、まるでギリシア神話に登場する女神のように美しかった。

「哲ちゃん、見て…」

彩香はバス・ローブを脱ぎ捨てると、一糸纏わぬ裸体を曝け出した。

「お、おい、外から丸見えだぞ」

慌ててカーテンを閉めようとする私を制して、彩香は窓ガラスに裸体をくっつけるようにして外を見下ろした。

「いいじゃないの。どうせ見えやしないわ。それに別に見えたって構わないわ」

「しかし…」

「この部屋は密室なの。現実から遥か離れた二人だけの夢の国よ」

彩香は下界を見下ろしたまま宣言した。

柔らかな弧を描くウエストから、白桃のように形のよい豊穣な尻が突き出している。
窓に映った張りのある乳房と、淡い叢が艶めかしく揺れる。

「哲ちゃん、私の体、十五年前と変わったかしら?」

彩香は両手を頭の後ろで組み、大胆にポーズを取った。
子供を産んでいない体は、どこも崩れてはいなかった。

敢えてその変化を注意深く観察すれば、若い頃と比べて乳房が豊かになり、その頂点の位置が心持ち垂れただろうか。

それと下腹部から腰にかけて脂肪が薄くつき、スリムだった下肢が幾分むっちりした感じがする。
しかしそれは年をとって肉体が衰えたのではなく、熟した果実がその糖度を増すように、女盛りが全身に溢れだしているのである。

男の視線を弾き返すほど眩しく清純だった肢体は、十五年の歳月を経て、男の視線を魅いて止まぬ妖艶な肉体へと変貌を遂げていた。

「ああ、色気が出てきたよ」

「そう?ありがとう。ねえ、哲ちゃんも見せて」

彩香は私を窓際に立たせると、バス・ローブをゆっくりと脱がせた。

「うふふ、もうこんなに…昔と変わらないわ…」

彩香は私の一点を見つめたまま瞳を輝かせると、片膝を立てて跪いた。
そして恭しく両手を添えて瞳を閉じると、肉茎の先を口に含んだ。

自在に動き回る舌先と窄まった口唇が私の硬直を翻弄する。
ちらちらと立て膝の合間から神秘の深谷が見え隠れする。

(やはり十五年前の彩香ではない)

私は歳月を改めて実感した。
新横浜で会ってすぐに感じた彼女の瞳の妖しさは思い過ごしではなかった。

肉体の成熟はさることながら、私を口姦する目の前の女、記憶の中で永遠に微笑み続ける彩香を侵食し出していた。

勿論この性技を初めて教えたのは私だが、当時ぎこちなく口にするのが精一杯で、単なる服従の儀礼に過ぎなかった。
しかし今は男の悦ぶこつを全て知り尽くし、その舌技は当時とは比べものにならない。

性に対して羞恥心の塊だった彼女が、ここまで大胆に振る舞うとは予想だにしなかった。


つづく…

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紅殻格子 

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紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

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