『真夜中のセールストーク』第一章・・・(紅殻格子)
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております
『真夜中のセールストーク』
一.
港の見える丘公園。
外人墓地。
元町。
横浜山手には、全国に名を馳せる観光スポットが数多ある。
港を見下ろす丘に建つ教会や洋館に、訪れた者の多くは、ロマンチックなイメージを横浜に重ねるだろう。
だが元々横浜は港湾都市である。
山手の丘を一歩下りると、古めかしい雑然とした街並みが現れる。
網の目のように狭い路地が交錯し、庭のない狭小住宅や安アパートが軒を連ねている。
本牧界隈。
山手の丘が横浜の表玄関だとすれば、ここ丘の下にひしめく雑居区は、横浜の勝手口に譬えられるかもしれない。
今でこそ巨大なショッピングモールが威容を誇る本牧も、その昔はチャブヤと呼ばれる娼館が並び、汗だくのランニング姿が闊歩した港湾労働者の街だった。
結城美帆は、家が密集する狭い路地に車を走らせながら、瀟洒な洋館とはかけ離れた下町の街並みに目を遣った。
(これが本当の横浜なのね)
埼玉で生まれ育った美帆は、薬科大学に通っていた頃、デートで何度か横浜へ来たことがあった。
煌びやかでお洒落な街しか頭になかった美帆は、ここで仕事をするようになってから、軒先に油まみれの作業着が干してある横浜を知った。
煙を吐く銭湯の煙突、今も量り売りをする商店街、酒屋の中に設えられた立ち飲みのカウンター、行列ができそうもない薄汚い食堂――初めは幻滅と落胆を感じた美帆だったが、何度も仕事で足を運ぶうちに、下町らしい庶民的な雰囲気に惹かれるようになっていた。
やがて美帆の眼前に巨大な建物が現れた。
地上五階と高層ではないが、臥竜がごとき威圧感を巨躯に湛えている。
そして戦国時代の城下町さながら、その建物は周辺の民家を睥睨するようにそびえていた。
みなと総合病院。
地域医療の中核を担うこの病院は、内科外科を始め診療科数二十、ベッド数三百を誇る医療法人である。ここ本牧では唯一の総合病院で、戦後間もない頃に開設されて以来、地域の住民からは絶大な信頼を勝ち得ていた。
そこに勤務する医師や看護師も、まるで聖職者のように、患者達から尊敬の念で崇められていた。
美帆は駐車場に車を停めて時間を確認した。十二時半。
重い黒鞄を手に病院へ入ると、会計待ちの患者がまだホールにごった返していた。
美帆は薬局の薬剤師に軽く会釈をして、足早に近くの化粧室へ駆け込んだ。
つづく・・・
・・・・・・ お知らせ ・・・・・
『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。
『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※
『 閲 覧 方 法』
♪NEW♪
「色褪せぬ薔薇」新たな携帯電子書店▼禁断愛▲ ヒミツ文庫でも配信になりました。
▼禁断愛▲ ヒミツ文庫こちらの電子書店は、女が感じる官能エロス満載です。
「色褪せぬ薔薇」 只今、トップ記事にて掲載されています(*^_^*)
「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。
電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。
パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。
[妄想の囲炉裏端]~掲示板~
~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点