『真夜中のセールストーク』第二章・・・(紅殻格子)
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『真夜中のセールストーク』
二・
鏡の前に立った美帆は、ダークブラウンに染めたレイヤーの髪を掻き上げ、鏡に映る自分の顔を見入った。
くりくりと活発に動く円らな瞳、欧米人にも劣らない高い鼻梁、はきはきとした物言いをする口許――モデルとしてでも通用する現代的な美人である。
長身を包むダークグレイのスーツは、豊かな乳房に押し上げられ、胸元がはちきれんばかりに隆起している。
そして膝上のタイトスカートは、大きめな形のいいヒップでパンパンに張っていた。
結婚して三年、今年三十路の大台に乗った美帆だが、その容色は二十代の頃と比べて衰えることがなかった。
かえって人妻らしいふくよかな艶が加わり、熟した果実のように甘い芳香を発散していた。
誰もが羨む容姿だが、美帆は密かにコンプレックスを抱いていた。
女王様。
周囲の男達は美帆を陰でそう呼んだ。
気の強い性格と大柄で豊満なボディが、黒革のコスチューム姿を想像とさせるのだろう。
もちろん美帆にそんな趣味はないが、鞭で叩いてみたい男はたくさんいた。
美帆は大きく深呼吸した。
(さあ、今日も頑張らなきゃ)
そう自分に言い聞かせると、重い黒鞄によろめきながら化粧室を飛び出した。
美帆は、SAファーマという外資系製薬企業のMR(エムアール)である。
MRとは医薬情報担当者の英略で、医薬品の効能や副作用を医師に正しく伝えるのが仕事である。
人命に係わる医薬品だけに、MRの活動は社会的な責務に他ならない。
ところがその実態は、自社の医薬品を医師に処方させる製薬会社の営業マンだった。
世間にはあまり馴染みのない職業だが、病院で根気強く観察していると、忍者のように暗躍するMRの姿を目にすることができる。
トレードマークは紺のスーツと大きな黒い鞄で、彼等は薬を売り込むために、待合室の隅や廊下で医師を待ち伏せしている。
美帆は三階にある医局へと向かった。
一般病院の医局とは医師の詰め所のことである。
診察を終えた医師が休憩しているこの時間、MRにとって医局はまさに主戦場へと変わる。
美帆は医局の扉を開けた。
窓から港が見渡せる明るい大部屋には、中央のテレビを囲うようにソファが置かれ、新聞や雑誌があちこちに散らかっている。
十人ほどいる白衣姿の医師達は、テレビを見たり雑誌を読んだりして、思い思いに激務の疲れを癒している。
すでに他社のMRが十人ほど医局に詰めていた。MRがこの病院に強いか弱いかは、医局でのポジション取りですぐにわかる。
強いMRは医師とソファに座って親しげに会話できるが、弱いMRは声をかけることもできずに壁の華となっている。
総じてMRの立場は弱い。
例えば高血圧をとっても、その治療薬は掃いて捨てるほどある。
画期的な新薬でもない限り、多忙な医師は自ら薬の話など聞きたがらない。
薬の宣伝ができるまでには、何度も足を運んで、顔と名前を覚えてもらわなければならないのだ。
つづく・・・。
・・・・・・ お知らせ ・・・・・
『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。
『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※
『閲覧方法』
♪NEW♪
「色褪せぬ薔薇」新たな携帯電子書店▼禁断愛▲ ヒミツ文庫でも配信になりました。
▼禁断愛▲ ヒミツ文庫こちらの電子書店は、女が感じる官能エロス満載です。
「色褪せぬ薔薇」 只今、トップ記事にて掲載されています(*^_^*)
「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。
電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。
パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。
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二・
鏡の前に立った美帆は、ダークブラウンに染めたレイヤーの髪を掻き上げ、鏡に映る自分の顔を見入った。
くりくりと活発に動く円らな瞳、欧米人にも劣らない高い鼻梁、はきはきとした物言いをする口許――モデルとしてでも通用する現代的な美人である。
長身を包むダークグレイのスーツは、豊かな乳房に押し上げられ、胸元がはちきれんばかりに隆起している。
そして膝上のタイトスカートは、大きめな形のいいヒップでパンパンに張っていた。
結婚して三年、今年三十路の大台に乗った美帆だが、その容色は二十代の頃と比べて衰えることがなかった。
かえって人妻らしいふくよかな艶が加わり、熟した果実のように甘い芳香を発散していた。
誰もが羨む容姿だが、美帆は密かにコンプレックスを抱いていた。
女王様。
周囲の男達は美帆を陰でそう呼んだ。
気の強い性格と大柄で豊満なボディが、黒革のコスチューム姿を想像とさせるのだろう。
もちろん美帆にそんな趣味はないが、鞭で叩いてみたい男はたくさんいた。
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美帆は医局の扉を開けた。
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十人ほどいる白衣姿の医師達は、テレビを見たり雑誌を読んだりして、思い思いに激務の疲れを癒している。
すでに他社のMRが十人ほど医局に詰めていた。MRがこの病院に強いか弱いかは、医局でのポジション取りですぐにわかる。
強いMRは医師とソファに座って親しげに会話できるが、弱いMRは声をかけることもできずに壁の華となっている。
総じてMRの立場は弱い。
例えば高血圧をとっても、その治療薬は掃いて捨てるほどある。
画期的な新薬でもない限り、多忙な医師は自ら薬の話など聞きたがらない。
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※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※
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