『人外境の花嫁』十一.人外境の怨讐者(十五)
『人外境の花嫁』
十一.人外境の怨讐者(十五)
十四年ぶりの再会だった。
寛三は集落の空き家にタエを住まわせ、有機農法を手伝わせた。
古い顔馴染みもいるタエは、自然と部落の生活に慣れていった。
大阪で水商売していたタエは、少女の頃の愛らしさに加えて年相応の色気を身につけていた。
山奥ではお目にかかれない艶っぽい姿に、男達は色めき立ち女達は冷ややかな視線を向けた。
共同体を仕切る寛三とて、タエの存在に無関心ではいられなかった。
逆に、少女に惹かれてサンカの群れに入った寛三が、誰よりもタエに執心しないわけがなかった。
しかも当時の居候ではなく、寛三は長として定住したサンカを束ねているのである。
結婚はしていたが、タエを愛人として囲う力量は十分に兼ね備えていた。
寛三とタエが結ばれのに時間はかからなかった。
農作業の習得を口実に、寛三はタエの家を何度も訪ねた。
久しい孤閨に堪えられぬタエは、寛三が妻帯者であることを承知で体を委ねた。
少女時代の筋肉質な肢体は、うっすらと脂が乗って柔らかな曲線を描いていた。
青く固かった乳房は豊潤に熟して、生殖力を宿す小豆色の乳首が艶めかしかった。
そして小さく締まった小鹿のような尻は、爪を立てて鷲づかみにしたくなるほど、男の征服欲を掻き立てる淫肉に変わっていた。
二人は十四年の渇きを癒すように毎夜密かに密会を重ねた。
男と女の情交は熱く燃え盛った。
だがその激しさが行き着く先には、男と女が背負わねばならない宿命が待っていた。
つづく…
theme : 官能小説・エロノベル
genre : アダルト