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『遠距離夫婦』 第一章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
愛人か妻か・・・ぽっかりと夫の心に空いた隙間を埋めるのは?

第一章

ラブホテル。
マッチ箱のように狭い部屋は、申し訳程度にテーブルとソファが置かれているだけで、その大半を巨大なダブルベッドに占領されていた。

窓がない閉ざされた空間は、据えつけのテレビ以外、外界とは一切遮断された密室になっている。
新井和久は、ベッドの縁に腰かけて煙草を燻らせた。

(人間ほど淫らな生き物はいない)

セックス専用に造られた部屋を見渡して和久は苦笑した。
金曜日の夜九時、ホテルは満室の盛況ぶりだった。

階上も階下も、そして両隣の部屋も、今や淫らな情事の真っ最中に違いない。
もし天井や壁を透明なアクリル板に変えたら、それは見事な淫乱絵巻が目の前に開けることだろう。

そんな妄想に囚われると、このホテル全体が、男と女の営みにゆさゆさと揺れているように思えた。
シャワーの音が止んだ。
和久は浴室の扉に目を遣って独り小さく呟いた。

(だがそれは人間だけに与えられた特権だ)

生殖以外で性を楽しめるのは人間だけだと言う。
ならば性の悦びを貪らないのは、神の祝福をゴミ箱へ捨てる罰当たりだ。

(それなのに・・)

ふと脳裏にセックスを拒む女の顔が過ぎった。
はっと我に返った和久は、慌てて貞操ぶったその顔を頭から掻き消した。
浴室の扉が勢いよく開いた。

「ジャーン、お待たせ!」

現れたのは、看護婦の白衣をまとった小宮美穂だった。

「ジャーンって・・その格好は・・」

「うふ、新井さんを喜ばせようと思って、友達のナースから借りてきたんだよ」

ウインクした美穂は、くるりと一回りしてモデルのようにポーズを取って見せた。
つづく・・・

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『遠距離夫婦』第二章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
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第二章

美穂は、ここ千葉県柏市の病院で働く薬剤師である。
一方和久は、医薬品卸の大手、東洋薬品に勤務している。

美穂が勤める病院は和久の担当先で、昼間は仕事で顔を突き合わせる間柄にある。
ところが夜になると、二人はこうして週末の情事を睦み会う恋人同士に変身する。

美穂は二十七歳で独身。
四十歳で妻子持ちの和久とは不倫の関係になる。

そもそもは二年前、病院の忘年会に参加した和久が、泥酔した美穂に誘われて体を重ねたのが始まりだった。
当時は酔った美穂の気まぐれかと思っていたが、以後ずっと月二回のペースで二人の密会は続いている。

美穂には正式な恋人がいる。一流商社に勤めるビジネスエリートである。
将来は彼と結婚するつもりらしいが、海外出張が多く、性的に美穂を満足させられないらしい。

性に不満を抱える美穂にとって、妻子持ちの和久は、安心して淫らな体を鎮めてくれる相手なのだった。
両手を後ろ手に組んで胸を張り、美穂は和久を挑発した。

「どう?」
「どうって・・」

和久は絶句する。
肩まで伸びた明るい茶系の髪に、ちょこんと載ったナースキャップが愛らしい。
悪戯っ子のようにくりっとした瞳とキュートな口許が、嫌でも中年男の劣情をそそる。

「もう鈍感ね。見て、下着をつけていないのよ」

不満そうに口を尖らせた美穂は、そのすらりとした肢体を和久に近づけてきた。
つづく・・・

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『遠距離夫婦』・・・第三章

   『遠距離夫婦』
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第三章

シャワーを浴びて上気した体を包む白衣は、うっすらと美穂の裸身を透かして見せていた。
迫り出した胸の膨らみには、乳暈の薄い葡萄色が微かに滲み、その頂点にポツっと突起した乳首は、直接目にするよりも淫らさを誇張している。

そして下腹部には、白衣とは対象的な黒い翳りが逆三角形に浮き出している。
聖職者の制服でも隠し切れない痴態に、和久は抑え切れない欲情を下半身に充電させていった。
淫らさに圧倒されて黙り込む和久に、美穂は首をひねった。

「あれ? コスプレはイマイチだった?」

「い、いや・・すごく興奮するよ」

和久は美穂をベッドに押し倒すと、逸る心で白衣の前合わせをはだけさせた。

「だめぇ、そんなに乱暴にしたら・・借り物なんだから・・」

小ぶりだか形のいい乳房が露になった。
崩れのない半球は、プツプツと粟粒立った乳暈と、キュンと起った乳首を頂いている。
そしてうっすらと浮き出した肋骨と、鋭角にくびれたウエストが、女豹のようにシャープなボディラインを描いている。

「あん・・今夜の新井さん、いつもより激しい・・」

綺麗に整えられた逆毛を露にされた美穂は、少し怯えたような瞳で和久を見上げ、バスローブの股間に手を伸ばしてきた。

「あ、もうカチカチになっている」

美穂は小悪魔の笑みを口許に浮かべ、和久の頭を両腕で絡めて乳房の谷間へ引き寄せた。
弾力のある膨らみが和久の両頬を圧迫し、ムスクのような甘い肌の香が鼻腔に溢れる。
つづく・・・

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『遠距離夫婦』・・・第四章

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第四章

和久は乳首にむしゃぶりついた。
乳首を中心として円を描くように、粟立った乳暈を舌先で丹念に解していく。

「あ、あん・・」

小刻みに乳首を舌先で弾きながら、右手を再び下腹部へと這わせていく。
だぶついた贅肉がない臍のあたりは、しなやかな腹筋が掌に触れてくる。

「いやん」

くすぐったいのか美穂が体をよじると、ぴったりと閉じていたスラリと長い両脚が僅かに開いた。
和久はその隙をついて、逆毛の奥に息づく淫花へ指先を忍び込ませた。

「ああっ」

敏感な淫芽を捉えられた美穂は、ブリッジするように上半身を弓なりに反らした。

「美穂も今夜はいつもより濡れているみたいだよ」

「だめ、脱がして。借り物だから染みがついたら困るの・・」

仰向けに寝たまま、白衣の前をはだけさせている美穂は、淫蜜が花弁から滴り落ちるのを心配した。

「どれ、調べてやる」

和久は乳房を離すと、両脚をM字型に開かせて覗きこんだ。
黒い逆毛の下、まだ初々しさを残す小さ目な花弁が、林檎の芯に似た形を造っている。

上の合わせ目には、薄桃色の淫芽が半ば顔を出し、下の合わせ目には、白濁した淫蜜が今にもこぼれそうに溜まっていた。
和久は淫芽を舌で嬲りながら、美穂の淫らさをいたぶった。

「我慢しないと愛液がこぼれちゃうぞ」

「ああん・・我慢なんかできない・・」

「いやらしい女だ」

「仕方ないのよ・・ああっ・・感じちゃうんだから・・」
つづく・・・

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『遠距離夫婦』・・・第五章

   『遠距離夫婦』
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第五章

和久は逆毛越しに美穂の顔を見た。
もう白衣の染みなどどうでも良くなったのか、眉間に皺を寄せてうっとりと瞳を閉じ、口唇を半開きにして淫悦の前にひれ伏している。
和久はその喘ぎ顔に女の本性を思った。

(いくら聖なる衣で包んでも、一皮剥けば淫らな生き物だ)

だが軽蔑しているわけではない。
女が淫らだからこそ、男も飽きることない淫欲を抱き続けられるのだ。

和久は美穂を四つん這いにさせ、丸い染みが広がる白衣をお尻から捲くって脱がせた。
肩から背中、そしてウエストにかけて弓状にしなった肢体は、生命力がみなぎった若い獣の雌そのものだった。

「新井さん、早くぅ・・」

美穂はじれったそうに高く突き出したヒップを小さく揺すった。
柔らかな丸みを帯びた球面は、青みの残る白桃のような清楚さに包まれている。

だがその谷間には、淫蜜でぐしょぐしょになったグロテスクな淫花が見え隠れしている。
和久はバスローブを脱ぎ捨てると、美穂の背後から覆い被さった。
そして鋼と化した肉茎を、ドロドロに溶けた美穂の蜜壷へ押し入れた。

「ああっ、くる・・入ってくるぅ・・」

美穂はぶるっと全身を震わせると、自分からぐいぐいとヒップを押しつけてきた。
和久は尻肉を鷲づかみにして、妖しい結合部を上から見ながら、ゆっくり肉茎を出し入れさせた。

「気持ちいいか?」

「いいっ・・すごくいいの・・ああん、気持ちいいよぉ・・」
つづく・・・

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『遠距離夫婦』・・・第六章

   『遠距離夫婦』
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第六章

ナースキャップがずり落ちるほど、美穂は髪を振り乱して艶声を上げた。
こぢんまりして初々しかった花弁は、毒々しい食虫植物へと進化して肉茎の根元まで呑み込んでいる。

(この淫らさが俺には必要なんだ)

美穂は見栄や羞恥をかなぐり捨て、獣の淫性剥き出しに男を呑み込んでいる。
貪欲に男を求めて縋りつく女こそが、和久の愛情を炎のように激しく掻き立てるのだ。
美穂の願いを叶えるべく、和久は肉茎の動きを速めた。

「あっ、あっ、ああん」

そのテンポに合わせて美穂の全身が反応する。
和久は、揺れる乳房へ手を回して包むように鷲づかみにする。

「ああ、だめ・・い、いっちゃう・・もういっちゃう・・」

犯されている尻だけ高々と突き出し、美穂は顔から上半身をベッドへうつ伏した。

「ううっ・・いくっ、いくうぅぅ・・」

美穂は絶叫とともに、禁花をピクピクと痙攣させ、蜜壷で肉茎をぎゅっと締めつけてきた。
和久も堪らず肉茎を抜くと、熱いほとばしりを美穂の尻めがけて放出した。
つづく・・・
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『遠距離夫婦』・・・第七章

   『遠距離夫婦』
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第七章

昼間はよく渋滞する国道6号線も、深夜になれば、トラック以外の車は疎らにしか走っていない。
美穂を送った帰りで、時間はもう十一時半を過ぎている。

柏から自宅のある松戸へと、和久は運転する車のスピードを上げた。
前を走るトラックのテールランプへ目を遣りながら、ラブホテルで美穂と交わした会話を思い返した。
情事の余韻を楽しむように、ベッドで美穂の裸身を撫でながら、和久は我が身に降って湧いた出来事を切り出した。

「え、新井さん転勤しちゃうの?」

美穂はくりっとした瞳をさらに大きく見開いた。

「ああ、四月一日づけだけど、今日所長から内示があった」

「でも転勤先は千葉か東京ぐらいでしょう? 毎日顔を合わせるのは無理でも、週末には愛し合えるんでしょう?」

顔を覗き込む美穂に和久は首を振った。

「会津若松だ」

「え? 会津って、福島県の・・」

美穂はポカンとした表情で和久の顔を見つめた。
医薬品卸業界は戦国時代の真っ只中にある。
かつては県単位ごとに小さな地場卸が乱立していたが、合従連衡を繰り返すことで、今や数社の巨大卸に集約されようとしている。

関東に強い商圏を持つ東洋薬品もその一社で、全国制覇をもくろみ、年初に東北の地場卸を傘下に収めたばかりだった。
その吸収合併に伴う異動で、和久は会津営業所へ、所長として赴任することになったのだ。

現在は柏営業所の副所長であるから、表向きは栄転になる。
だが実際は、会津営業所は吸収した東北地場卸の拠点であり、そこにいる部下は皆、吸収に不満を募らせる社員ばかりなのだ。

つまり和久は単身敵地へ切り込むようなもので、現場での軋轢は必至だった。
出世するのは嬉しいが、正直なところ割に合わない異動だと和久は思った。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第八章

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第八章

呆然としていた美穂が和久に抱きついてきた。

「寂しい・・離れたくないよ・・」

和久も美穂の体を引き寄せた。弾力のある乳房が和久の胸板にひしゃげる。

「今つきあっている彼より、新井さんの方が体の相性だっていいのに・・悔しい・・」

再び美穂は、和久の萎びた肉茎を手でしごき始めた。

「あ、でも新井さん子供いるから、単身赴任でしょう?」

「う~ん、たぶんそうなるだろうな」

「月二回ぐらいは帰省できるでしょう? 新井さんが戻って来る週は、予定を入れないで待っているわ。それに帰って来られない週は、私が遊びに行っちゃうもん。新井さんのアパートでずっと二人きりでいられるんだよ」

「逆に会える回数が増えるか・・それは気づかなかったよ」

「うふっ、私、偉いでしょう。ご褒美にもう一回して」

美穂はそう言うと、仰向けの和久に覆い被さってきた。
そして二人は再び泥沼のような愛欲に溺れていったのだった。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第九章

   『遠距離夫婦』
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第九章

松戸市に入った。
和久は甘ったるい回想に浸りながら、国道6号線から外れて静かな新興住宅街へと車を走らせた。

松戸駅からバスで十分以上かかるこの住宅地に、一昨年、和久はローンを組んで家を買った。
猫の額ほどの庭しかない三十八坪の小さな家だ。
コニファーの鉢植えが置かれた玄関を開けて家に入ると、妻の清美がパジャマ姿で出迎えた。

「お帰りなさい」

どこか冷たい口調が不愉快に聞こえる。
清美の出迎えを無視して、和久はスーツからパジャマへ着替え始めた。

清美は三十六歳、専業主婦である。
十五年前、和久が千葉営業所にいた頃、同じ職場で清美は事務職として働いていた。

当時清美は商業高校を卒業して三年、まだ初々しい二十一歳だった。
二人は自然と恋に落ちた。

そして社内結婚したのを境に、清美は会社を辞めて家庭に入ったのだった。
着替えを終えた和久は、リビングのソファにふんぞり返り、お茶を運んできた清美へつっけんどんに言った。

「四月から会津若松へ転勤だ」

そうでなくとも冷え切った家庭が完全に凍りついた。

「あ、会津へ、転勤・・?」

いつもは冷静で感情を表に出さない清美だが、さすがに動揺を隠せず、黒目が落ち着きなく揺れている。
和久は妻の気持ちを察して冷笑を口許に浮かべた。

「お前の心の中はわかっているよ。単身赴任で会津へ行けと言うのだろう?」

「・・そうしてもらうしかないわ」

「ふん、お前は俺がいなくなった方が嬉しいんだろう?」

「そ、そんな・・仕方ないでしょう、洋和がいるんだから」
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
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第十章
開き直った清美にうんざりして和久はテレビを点けた。
賑やかなスポーツニュースが、凍りついた部屋に虚しく流れる。

(冷たい女だ)

和久は腹立たしさを懸命に堪えた。
確かに新井家には会津へ引っ越せない事情がある。

それは今年、一人息子の洋和が東京の有名私立中学に合格したことだった。
遊びたいのを我慢して進学塾に通い、血が滲む努力をして勝ち得た合格だ。

父親の都合で洋和の将来を踏みにじるわけにはいかない。
むろん和久も最初から単身で行く覚悟はできている。

だが嘘でもいいから一緒に行きたいと、夫を想う言葉があっても罰は当たらない。
和久は煙草をくわえて昔を思い返した。

(結婚した頃は清美も可愛かった)

背が低くてあどけない童顔の清美は、美人と言うよりも可愛らしいタイプで、何ごとも和久に頼って甘える女だった。
ところが洋和が生まれると、清美の性格はガラリと変わった。

母親になったのだ。
甘えたがりで可愛い女はすっかり影を潜め、隙もないほどしっかりとした母親に変身した。
一切和久に甘えず、家事と育児は全て自分で取りし切るようになった。

だが変身は度を越えていた。
清美は夫である和久を全く必要としなくなったのだ。
つづく・・・ 
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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
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