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『遠距離夫婦』・・・第十一章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
愛人か妻か・・・ぽっかりと夫の心に空いた隙間を埋めるのは?

第十一章

(聖母に男は要らない)

飲んで午前様になろうが、休日ゴルフ三昧しようが、清美は何も文句を言わなくなった。
今夜もスーツに染みついた美穂の香水に気づいているはずだ。

だが嫉妬すらしない。
確かに男としては極楽だが、夫としてはその存在を無視されているようなものだった。

それは性生活にも如実に現れていた。
美穂ほどではないが、恋人時代の清美は和久に抱かれて淫らに身悶えた。

だが母になった清美は、セックスしてもほとんど感じないのか、すっかり女の淫らさを失ってしまった。
何度抱いても寝ているだけの清美に、和久も徐々にセックスする意欲を削がれていった。

男は母親に欲情できない。
ここ数年は夫婦の性交渉は絶え、典型的なセックスレスに陥っていた。
和久は、隣の和室でアイロンがけする清美に声をかけた。

「先に寝る」

「ええ、単身赴任しても家のことは心配しなくていいわよ。しっかり仕事に専念してね」

清美は不愉快なほど明るく言った。

「・・ああ」

人の気も知らないでと思わず怒鳴りたくなったが、我慢して和久は寝室のある二階へ続く階段を上がった。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十二章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
愛人か妻か・・・ぽっかりと夫の心に空いた隙間を埋めるのは?

第十二章

厳冬の会津も、若葉萌え出す遅い春を迎えて、夜の冷え込みもいくらか和らぎつつある。
ゴールデンウイーク翌週にあたる金曜日、和久は仕事を終え、コンビニ弁当片手に一人暮らしのアパートへ帰る途中だった。
澱のようにストレスが心の底に溜まっている。

「俺の言うことが聞けないのか?」

今朝も会社の朝礼で、和久は思わず所員達を前に怒鳴り散らした。
四月に会津営業所所長として赴任して以来、地元所員との間に、埋めることができない深い溝を感じていた。

所長の和久が最初にすべき仕事は、東洋薬品の営業スタイルを徹底させることだった。
だが彼等は和久を無視した。
表立って反抗こそしないが、鈍重なまでに沈黙を守り、心の中で軽蔑の眼差しをよそ者の和久へ向けていた。

会津の人間は、戊辰戦争を例に引くまでもなく、生来頑固だと言う。
いきなり新会社の方針を押しつけられる彼等の気持ちもわかる。
わかるだけに、その狭間に置かれた和久の苛立ちは想像を絶するものになっていた。

単身暮らすアパートの前に辿り着くと、和久はその古色蒼然とした安普請を見上げた。
一階と二階合わせて八部屋あり、和久の部屋は二階の角にあたる。
ふうっと和久はため息をついた。

(花の金曜日なのに・・)

街へ出れば、原色のネオンと雪国育ちの白い肌が待っているに違いない。
だが会社で孤立している和久とつき合ってくれる所員はいない。

それに金がない。
本宅と単身宅の二重生活は相当な経済負担を強いられる。
さらに和久には私立中学に通う洋和がいる。
本宅のローンも馬鹿にならない。
八方塞がりの和久は肩を落として部屋のドアを開けた。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十三章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
愛人か妻か・・・ぽっかりと夫の心に空いた隙間を埋めるのは?

第十三章

引っ越しから一ヶ月ちょっとしか経っていないのに、六畳一間の部屋は、まるでゴミ置き場さながらの様相を呈していた。
脱ぎ散らかした服、暇つぶしに買ってきた雑誌、飲んだまま置きっぱなしのペットボトルとビール缶――それらが狭い和室に散乱して足の踏み場もない。

だがゴミの賑やかさと比べて、部屋の空気はどんよりと黴臭く墓場のように沈んでいた。
重々しい空気に堪えかねた和久は携帯電話を取り出した。じっと待受画面を見つめる。

だが電話やメールが入った形跡すらない。
妻の清美から週二三回業務連絡が入る以外は、全く携帯自体が無用の長物になりつつあった。

「美穂・・」

和久はわざと声に出してその名を呼んでみた。
だがその声紋は、がらんと静寂な部屋の壁に虚しく消えて行った。

会社の規定で、帰省交通費は月一度分しか出ない。
自腹で帰ることもできるが、経済的にも苦しく、結局四月は一度も松戸へ戻れなかった。

密会する機会もなく、美穂からの電話も赴任十日で途絶えた。
ゴールデンウイークに初めて松戸へ戻った和久は、早速美穂に携帯で電話した。

だが返ってきたのは、海外旅行でしばらく留守にすると言うメッセージだけだった。
あれほど愛情を注いだ美穂だが、会津との長い道程の前に、その遠距離恋愛はいとも儚く潰えてしまったのだ。

(寂しい)

会津へ来て独り言が増えた和久だが、出かかったその言葉はかろうじて心の中に呑み込んだ。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十四章

   『遠距離夫婦』
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そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
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第十四章

その時、玄関のドアを叩く音がした。

「新井さん、いる?」

和久がドアを開けると、隣室の山下秀樹が立っていた。

「今日は帰りが早いね。久しぶりに飲みに行かないか?」

「え、ええ」

買ってきたコンビニ弁当が気になったが、和久は会津でただ一人しかいない友達の誘いを断れなかった。
山下は、和久より五つ年上の四十五歳で、関東食糧という食品会社の会津支店に勤務している。
家は大宮にあり、子供はいないが、奥さんが小学校で教鞭をとっているため、和久と同じ単身生活を強いられている。

会津暮らしはすでに六年に及び、一人暮らしのイロハを教えてくれる先生でもあった。
居酒屋に着くと、二人は安いつまみで熱燗を飲み始めた。

「新井さん、単身生活には慣れたかい?」

「四月は無我夢中で気づかなかったんですが、ちょっと余裕ができると、一人暮らしの虚しさばかり感じてしまって・・」

「独りぼっちの自分と向き合う時期か」

山下は、単身赴任のわりにぶくぶくと太った体を丸め、小さなお猪口の縁を舐めるように口を窄めた。

「山下さんは単身が長いですけど、一人暮らしの寂しさも慣れてしまうものですか?」

「う~ん、慣れると言うより、六年も家を離れていると、この会津にしか居場所がなくなってしまうんだな」

「・・・・」
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十五章

   『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
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第十五章

和久はそうかもしれないと思った。
まだ単身一ヶ月半だが、ゴールデンウイークで松戸に戻った時、どこか他人の家にいるような居心地の悪さを感じた。

それは和久がいてもいなくても、清美と洋和の生活には何の差し障りもないからだ。
つまり必要とされない人間は、そこにいなければならない理由がないのだ。

(一体俺は・・?)

清美が聖母に変身した時から、和久は家庭での居場所を失っていた。
単身前はその寂しさを美穂で誤魔化していたのだ。

ところがこうして独りになると、会社も家庭も美穂も、和久を必要となどしていないことを改めて実感させられる。
和久はぐっとお猪口を空にした。

「お、飲みっぷりがいいね」

「ここにしか居場所がないって、山下さんが言った意味がよくわかりますよ」

「ほう、わかってくれるか。でも新井さんはまだ幸せな方だと思うよ。俺なんか居場所がないと言うより、居場所を奪われてしまったんだからね」

「それはどういうことですか?」

和久は赤ら顔の山下に尋ねた。

「妻が浮気しているんだよ」

賑やかな居酒屋で、二人の座るテーブルだけが凍りついた。
普段は陽気な山下の顔が深い苦悩の色に滲んでいる。

「新井さんに話しても仕方ないんだが、一人で心の中にしまっておくのも苦しくてね。恥をさらすようだが、反面教師として聞いてくれるかな」

そう前置きすると、山下は煙草に火をつけてぽつりぽつりと話し始めた。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十六章

   『遠距離夫婦』
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第十六章

結婚十五年を迎える山下夫妻は、子供がいないせいもあり、ゴルフを共通の趣味とする仲睦まじい夫婦だった。
山下が単身となってからも、電話かメールは一日も欠かしたことがなかったと言う。

去年の春、やはり今夜と同じ週末の金曜日、翌日に予定していた取引先とのゴルフが中止になり、山下は急遽、大宮に帰省することにした。
その日が偶然、妻の四十二歳の誕生日だったからだ。

妻を驚かせてやろうと企んだ山下は、デパートで高価なアクセサリーを買い、帰るとは連絡せず、夜六時に会津発の列車に飛び乗った。
山下は、妻の驚く顔と喜ぶ顔を交互に車窓に浮かべながら、三時間弱列車に揺られて大宮に着いた。

その夜、大宮は小雨がぱらついていた。
子供のようにはしゃぐ気持ちを抑え、山下は郊外にある家の前で呼吸を整えた。

門につけられた呼び鈴を押そうとして、ふとその先にある玄関脇の傘立てに目を遣った。
そこには山下の持ち物ではない男物の傘が刺さっていた。

山下は軽い目眩を覚えた。
心臓が高鳴り、情けないほど足ががくがくと震えた。
門扉をそっと開け、山下は出窓から明かりが漏れる狭い庭先へ向かった。そして中を覗き込んだ。

カーテンの隙間越しにリビングが見える。
山下がいつも座っているソファに中年の男が腰かけていた。

男は浦和に住むゴルフ仲間だった。
彼とはたまたま練習場で知り合い、夫婦でコースへ出る時には欠かせない共通の友人になっていた。

妻は寄り添うように男の隣に座っていた。
ブラウスをはだけさせ、男に背後から乳房を弄ばれている。

もはや疑う余地もなかった。
二人の関係が一夜限りの過ちではないことは、妻の媚態から十分に見て取れた。
それどころか、男に注ぐ妻の淫らな眼差しからは、身も心も彼を主人として受け入れているのが明らかだった。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十七章

   『遠距離夫婦』
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第十七章

やがて妻はソファに座った男の両脚の間に正座すると、慣れた手つきでスラックスを脱がせた。
そしてトランクスも剥ぎとると、淫らな笑みを口許に湛えて男を見ながら、肉茎を手でしごき始めた。

男の肉茎は、山下など比べものにならないほど雄大だった。
聖職にありながら、妻ははしたないぐらい大口を開けて、そのグロテスクな先端をゆっくりと呑み込んだ。

山下は出窓の外で呆然とするしかなかった。
妻を咎めようとする気持ちすら萎えていた。

いよいよ妻が男に犯されようとする時、尾をだらりと下げた負け犬さながら、山下は静かに家から立ち去った。
せっかく買ったアクセサリーはどぶ川に投げ捨てた。
そしてその夜は大宮のホテルに泊まり、翌朝失意のまま一人会津に帰ってきたのだった。

熱燗がすっかり冷めていた。
和久は新しい熱燗を注文すると、まだ一年前の悪夢に放心する山下に話かけた。

「奥さんは今もその男とは続いているのですか?」

「わからない。問い質したこともないからね」

「どうして黙っているんですか? 山下さんに落ち度はないんだから、奥さんを叱りつければいいじゃないですか?」

山下はふっと苦笑いした。

「新井さんの言う通りだよ。でもね、僕が妻を責めたら、十中八九離婚すると言い出すだろう。だって今の妻にとって、夫は僕ではなくその男なんだからね」

「・・しかし」

「単身生活を六年も続けていると、帰れる居場所が欲しくなるんだよ。嘘偽りでもいいから、自分を必要としてくれる人が欲しくなるんだよ。そうでもなければこんな生活・・」

酒が回ったのか、それとも心の中で泣いているのか、山下はがっくりと肩を落として俯いた。
和久はそれ以上何も言わず、空になった山下のお猪口へ熱い徳利を静かに傾けた。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十八章

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第十八章

閉店後、へべれけの山下をアパートの隣室へ送り届けた和久は、ざっとシャワーを浴びて万年床に潜り込んだ。
隣室との壁から山下が鼻をすする音が聞こえてくる。

(山下さん、泣いているのか)

和久は胸を締めつけられるような思いがした。
山下の惨めな姿は、決して他人事ではなかった。

愛妻家の山下ですら、遠く離れてしまえば妻に安々と裏切られるのだ。
事実、あれほど愛した美穂はもういない。
距離の重さに和久はため息をついた。

(きっと清美も・・)

和久の心中に黒い疑惑がむくむくと湧き起こった。
それは子供が生まれてから見せた清美の豹変だった。
あれほど甘えたがりだった清美が、和久を必要としていなくなった裏には、何か理由がなくてはならない。

清美の背後に男の影がちらついた。
豹変は和久よりも愛する男ができたからに違いない。
だとすれば洋和が生まれた十年以上前から、清美は和久に隠れて不倫していたことになる。

(畜生! 俺は山下さん以下じゃないか)

和久は布団を被って必死に目を瞑った。
だが黒い影の男に抱かれる清美の姿は、なかなか脳裏から消えなかった。

黒い影の男に組み敷かれる清美。
真っ白な両脚を男の肩に担がれ、剥き出しの陰部を巨茎で貫かれている。
押し寄せる悦びに、乳房を激しく揺らし、髪を振り乱して錯乱する清美。

(ああ、清美・・)

確かに夫婦仲は悪い。
だが美穂を失っても、これほどまでに嫉妬の炎に焼かれることはなかった。
一緒に住んでいたら気づかなかった感情を、和久は遠く離れて初めて知らされた。

消えたとばかり思っていた清美への愛情は、熾き火のように静かに燃え続けていたのだ。
その夜、和久は悶々する体を持てあまし、なかなか眠りにつくことができなかった。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第十九章

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第十九章

ドアを叩く音がする。
二日酔いの頭が、寺の鐘を間近で撞かれたような衝撃に揺れる。

カーテンを開けると、目映い陽射しが目に突き刺さって痛い。
時計はもう十時を回っている。

「はい、はい」

どうせ宅急便か何かだろうと、和久はジャージ姿のまま、覚束ない足取りで玄関のドアを開けた。
そこには妻の清美が立っていた。

「え? どうして・・」

唖然とする和久を尻目に、清美はきょろきょろと部屋の中を覗き込んだ。

「一人なの?」

不意の問いかけに、和久は清美が突然会津へ訪ねて来た理由を理解した。

「ふん、抜き打ち検査か?」

昨夜悶々とした清美への恋情は一瞬に瓦解した。
換わって頭をもたげたのは、離婚を有利に進めるため、浮気の証拠を探しに来たのではという疑心だった。

「ち、違うわ。昨日の夜連絡したけど、あなたの携帯がつながらなかったのよ」

清美はちょっと怒った表情を見せ、勝手に部屋へ上がり込んできた。
そう言われて和久は、昨夜携帯を部屋に置きっ放しにして、山下と飲みに行ったことを思い出した。
部屋の片隅へ和久を追いやると、清美は忙しく動き回って掃除を始めた。

「洋和はどうしたんだ?」

「あなたの実家へ行きました。今晩泊まって明日の夜帰って来るって」

「あいつも名古屋へ一人で遊びに行ける年になったのか」

「ええ、もう親離れね。中学に入ったら全然私の言うことなんか聞かないわ」

清美は流しで洗いものをしながら寂しそうに答えた。
つづく・・・ 
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『遠距離夫婦』・・・第二十章

   『遠距離夫婦』
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第二十章

和久は珍しくおしゃれした妻の後姿に見入った。
新緑の五月に相応しい若葉色の七分袖のセーターと、細身に締まったグレーのパンツが、ふくよかなボディラインを描き出している。
ちょっと皮肉っぽく和久は言葉を投げた。

「洋和に相手にされないから、仕方なく会津へ来たわけか」

「そ、そうじゃないわよ。たまには掃除に来ないと、ほら、ゴミ捨て場みたいじゃない」

慌てて否定したが、清美の中で母親という役割が揺らいでいるのを和久は知った。

「でも黙って会津まで来て、この部屋に女がいたらどうするつもりだったんだ?」

「その時は・・」

清美は振り向いて和久を睨みつけ、流しから洗ったばかりの包丁を握って見せた。

「ぶ、物騒だな」

「・・本当に浮気しているの?」

和久の答えを待つ清美の瞳が落ち着きなく揺れた。
嫉妬する清美を意外に思いながらも、和久は思わせぶりな素振りで話を継いだ。

「どうかな?」

「でも女がいるならこんなに部屋が散らかるわけないわ」

「別に部屋へ連れ込むとは限らないぞ。昨夜ホテルで会っていたかもしれないじゃないか」

「・・知らない」

ぷいっとむくれた清美が眩しく見えた。
肩にかかるブラウンの髪が豊かなウエーブを描いている。

若かりし頃の童顔は、三十六になって成熟した大人の艶を帯び、今が盛りとその華やかさを放散している。
和久は十年以上も一緒に暮らしていながら、妻の顔などほとんど見ていなかった自分に気がついた。
つづく・・・ 
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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
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