『遠距離夫婦』・・・第十七章
『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
愛人か妻か・・・ぽっかりと夫の心に空いた隙間を埋めるのは?
第十七章
やがて妻はソファに座った男の両脚の間に正座すると、慣れた手つきでスラックスを脱がせた。
そしてトランクスも剥ぎとると、淫らな笑みを口許に湛えて男を見ながら、肉茎を手でしごき始めた。
男の肉茎は、山下など比べものにならないほど雄大だった。
聖職にありながら、妻ははしたないぐらい大口を開けて、そのグロテスクな先端をゆっくりと呑み込んだ。
山下は出窓の外で呆然とするしかなかった。
妻を咎めようとする気持ちすら萎えていた。
いよいよ妻が男に犯されようとする時、尾をだらりと下げた負け犬さながら、山下は静かに家から立ち去った。
せっかく買ったアクセサリーはどぶ川に投げ捨てた。
そしてその夜は大宮のホテルに泊まり、翌朝失意のまま一人会津に帰ってきたのだった。
熱燗がすっかり冷めていた。
和久は新しい熱燗を注文すると、まだ一年前の悪夢に放心する山下に話かけた。
「奥さんは今もその男とは続いているのですか?」
「わからない。問い質したこともないからね」
「どうして黙っているんですか? 山下さんに落ち度はないんだから、奥さんを叱りつければいいじゃないですか?」
山下はふっと苦笑いした。
「新井さんの言う通りだよ。でもね、僕が妻を責めたら、十中八九離婚すると言い出すだろう。だって今の妻にとって、夫は僕ではなくその男なんだからね」
「・・しかし」
「単身生活を六年も続けていると、帰れる居場所が欲しくなるんだよ。嘘偽りでもいいから、自分を必要としてくれる人が欲しくなるんだよ。そうでもなければこんな生活・・」
酒が回ったのか、それとも心の中で泣いているのか、山下はがっくりと肩を落として俯いた。
和久はそれ以上何も言わず、空になった山下のお猪口へ熱い徳利を静かに傾けた。
つづく・・・
『妄想の囲炉裏端・・・紅殻格子呟き日記』
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そしてトランクスも剥ぎとると、淫らな笑みを口許に湛えて男を見ながら、肉茎を手でしごき始めた。
男の肉茎は、山下など比べものにならないほど雄大だった。
聖職にありながら、妻ははしたないぐらい大口を開けて、そのグロテスクな先端をゆっくりと呑み込んだ。
山下は出窓の外で呆然とするしかなかった。
妻を咎めようとする気持ちすら萎えていた。
いよいよ妻が男に犯されようとする時、尾をだらりと下げた負け犬さながら、山下は静かに家から立ち去った。
せっかく買ったアクセサリーはどぶ川に投げ捨てた。
そしてその夜は大宮のホテルに泊まり、翌朝失意のまま一人会津に帰ってきたのだった。
熱燗がすっかり冷めていた。
和久は新しい熱燗を注文すると、まだ一年前の悪夢に放心する山下に話かけた。
「奥さんは今もその男とは続いているのですか?」
「わからない。問い質したこともないからね」
「どうして黙っているんですか? 山下さんに落ち度はないんだから、奥さんを叱りつければいいじゃないですか?」
山下はふっと苦笑いした。
「新井さんの言う通りだよ。でもね、僕が妻を責めたら、十中八九離婚すると言い出すだろう。だって今の妻にとって、夫は僕ではなくその男なんだからね」
「・・しかし」
「単身生活を六年も続けていると、帰れる居場所が欲しくなるんだよ。嘘偽りでもいいから、自分を必要としてくれる人が欲しくなるんだよ。そうでもなければこんな生活・・」
酒が回ったのか、それとも心の中で泣いているのか、山下はがっくりと肩を落として俯いた。
和久はそれ以上何も言わず、空になった山下のお猪口へ熱い徳利を静かに傾けた。
つづく・・・
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