『遠距離夫婦』・・・第十六章
『遠距離夫婦』
※心も体も冷え切ってしまった夫婦。
そんな結婚生活にピリオドを打てとばかりに、夫は会社の転勤で単身赴任生活へ。
愛人か妻か・・・ぽっかりと夫の心に空いた隙間を埋めるのは?
第十六章
結婚十五年を迎える山下夫妻は、子供がいないせいもあり、ゴルフを共通の趣味とする仲睦まじい夫婦だった。
山下が単身となってからも、電話かメールは一日も欠かしたことがなかったと言う。
去年の春、やはり今夜と同じ週末の金曜日、翌日に予定していた取引先とのゴルフが中止になり、山下は急遽、大宮に帰省することにした。
その日が偶然、妻の四十二歳の誕生日だったからだ。
妻を驚かせてやろうと企んだ山下は、デパートで高価なアクセサリーを買い、帰るとは連絡せず、夜六時に会津発の列車に飛び乗った。
山下は、妻の驚く顔と喜ぶ顔を交互に車窓に浮かべながら、三時間弱列車に揺られて大宮に着いた。
その夜、大宮は小雨がぱらついていた。
子供のようにはしゃぐ気持ちを抑え、山下は郊外にある家の前で呼吸を整えた。
門につけられた呼び鈴を押そうとして、ふとその先にある玄関脇の傘立てに目を遣った。
そこには山下の持ち物ではない男物の傘が刺さっていた。
山下は軽い目眩を覚えた。
心臓が高鳴り、情けないほど足ががくがくと震えた。
門扉をそっと開け、山下は出窓から明かりが漏れる狭い庭先へ向かった。そして中を覗き込んだ。
カーテンの隙間越しにリビングが見える。
山下がいつも座っているソファに中年の男が腰かけていた。
男は浦和に住むゴルフ仲間だった。
彼とはたまたま練習場で知り合い、夫婦でコースへ出る時には欠かせない共通の友人になっていた。
妻は寄り添うように男の隣に座っていた。
ブラウスをはだけさせ、男に背後から乳房を弄ばれている。
もはや疑う余地もなかった。
二人の関係が一夜限りの過ちではないことは、妻の媚態から十分に見て取れた。
それどころか、男に注ぐ妻の淫らな眼差しからは、身も心も彼を主人として受け入れているのが明らかだった。
つづく・・・
『妄想の囲炉裏端・・・紅殻格子呟き日記』
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山下が単身となってからも、電話かメールは一日も欠かしたことがなかったと言う。
去年の春、やはり今夜と同じ週末の金曜日、翌日に予定していた取引先とのゴルフが中止になり、山下は急遽、大宮に帰省することにした。
その日が偶然、妻の四十二歳の誕生日だったからだ。
妻を驚かせてやろうと企んだ山下は、デパートで高価なアクセサリーを買い、帰るとは連絡せず、夜六時に会津発の列車に飛び乗った。
山下は、妻の驚く顔と喜ぶ顔を交互に車窓に浮かべながら、三時間弱列車に揺られて大宮に着いた。
その夜、大宮は小雨がぱらついていた。
子供のようにはしゃぐ気持ちを抑え、山下は郊外にある家の前で呼吸を整えた。
門につけられた呼び鈴を押そうとして、ふとその先にある玄関脇の傘立てに目を遣った。
そこには山下の持ち物ではない男物の傘が刺さっていた。
山下は軽い目眩を覚えた。
心臓が高鳴り、情けないほど足ががくがくと震えた。
門扉をそっと開け、山下は出窓から明かりが漏れる狭い庭先へ向かった。そして中を覗き込んだ。
カーテンの隙間越しにリビングが見える。
山下がいつも座っているソファに中年の男が腰かけていた。
男は浦和に住むゴルフ仲間だった。
彼とはたまたま練習場で知り合い、夫婦でコースへ出る時には欠かせない共通の友人になっていた。
妻は寄り添うように男の隣に座っていた。
ブラウスをはだけさせ、男に背後から乳房を弄ばれている。
もはや疑う余地もなかった。
二人の関係が一夜限りの過ちではないことは、妻の媚態から十分に見て取れた。
それどころか、男に注ぐ妻の淫らな眼差しからは、身も心も彼を主人として受け入れているのが明らかだった。
つづく・・・
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