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小説「内助の功」第一章・・・・(紅殻格子)

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            「内助の功」   紅殻格子

 一.

本間裕一は密かに野心を抱いていた。
(社長になる)
人一倍権力欲が強い裕一は、大勢の社員達を一糸乱れず統率し、
号令一下思うがままに動かすことを夢見ていた。
 
社長を目論む裕一は、あえて業界中堅の岩井建設に活躍の舞台を求めた。
 
そして七年間に及ぶ支社営業の下積みを経て、
三年前に本丸である本社総務部へ配属された。
 
裕一は今年三十三歳、そろそろ頭角を現さなければならない歳を迎えている。
 
だがまだ会社は、埋れている裕一の才能に気づいていなかった。
 
今はまだ平社員に甘んじているが、それは世を忍ぶ仮の姿で、
転機はきっと来ると裕一は信じていた。
 
近い将来、トップから実力を認められ、一足飛びに出世の階段を登りつめる。
 
そして社長への就任を三顧の礼で乞われた裕一は、
従業員二千人を率いて岩井建設を業界トップへと導くのだ。
 
裕一は未来の自分を夢想した。
 
会社の権力を掌握した暁には、誰に遠慮することなく栄華を謳歌できる。
 
昼は脚がすらりと伸びた美人秘書にかしずかれ、
夜は艶やかな銀座の蝶の群れに集られる。
 
もしその気になれば、若い愛人を囲って瑞々しい肉体を
貪り尽くすこともできるのだ。
 
英雄色を好む――もちろん裕一も嫌いな方ではない。
 
裕一はだらしなく鼻の下を伸ばした。
 
その時。
 
「ちょっと、何ぼんやりしてんのよ」
 
刺々しくなじる声で、裕一はふと我に返った。
 
目の前には、見飽きた・・否、見慣れた女性の陰部が、
クローズアップで迫ってきていた。
 
やや黒ずんだ歪な花弁がほころび、
光沢を帯びた薄紅色の花芯が露になっている。
 
花弁の合わせ目には、桃色の真珠にも似た花芽がすでに迫り出している。
 
そして恥丘に繁茂する逆毛の向こうに、妻、早紀の怒った顔が見えた。
 
つづく・・・
                

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小説「内助の功」第二章・・・(紅殻格子)

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            「内助の功」   紅殻格子
 
妻を抱いている最中だった。
 
しかも、ベッドで大股開きの陰部を愛撫している途中で、
裕一は夢想の世界に迷い込んでしまったのだ。
 
「ご、ごめん」
 
「ごめんじゃないわ。何を考えていたか知らないけど、
レディに対して失礼よ。わかったら早く続けてよ」
 
「・・はい」
 
裕一は再び早紀の花芯に舌先を伸ばした。
 
その塩辛い味が、先ほどまでの甘い幻想を霧散させた。
 
社員二千人を動かす社長どころか、現実の裕一は、
たった一人の妻にさえ頭が上がらない男なのだ。
 
(夢のまた夢か・・)
 
実は会社でも、裕一は出世競争の脱落者だった。
 
同期の半分以上はすでに係長に昇進している。
 
本社総務部への配属も、活躍を期待されての栄転ではなく、
営業時代上司だった支社長に疎まれての左遷に違いなかった。
 
その証拠に以来三年間、本社ビルの設備管理という閑職で、
裕一は冷や飯を食わされ続けている。
 
前上司の支社長は、人事部に裕一の無能ぶりを喧伝してくれたらしい。
 
だが事実は仕事の能力と無関係で、疎まれた本当の原因は、
支社長の不倫現場を目撃したことにあった。
 
係長昇進を目前にしたある日の午後、
得意先に提出する見積書を忘れた裕一は、
営業が外回りに出払った支社へと一人戻った。
 
ところが見積書の作成を頼んだ内勤女性社員の姿もない。
 
裕一は慌てて無人の事務所を探し回った。
すると応接室から物音が聞こえた。
 
裕一がノックもせずドアを開けると、果たして彼女はそこにいた。
 
ただ彼女は、スカートを捲り上げ、ソファの上で支社長に後ろから犯されていた。
 
裕一は腐った。
 
能力がないなら諦めもつく。 だが裕一は運がなかったのだ。
もし活躍の場を与えられれば、
持てる力を振り絞って会社に貢献する自信があった。
 
だが今の裕一には、無能のレッテルを剥がしてくれる人脈がない。
 
解決できないジレンマを抱え、裕一は苦痛に満ちた毎日を送っていた。
 
つづく・・・
 
                 

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小説「内助の功」第三章・・・(紅殻格子)

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 三

 再び山の神の罵声が寝室に響いた。
 
「裕一君! また考え事?」
 
「あ、ごめん」
 
慌てて裕一は、早紀の花芯を舐める舌先の動きを速めた。
 
「あん・・もうそこはいいから、早く入れてよ」
 
「うん」
 
早紀の催促に応えるべく裕一は肉茎を握ったが、
それはすっかり精気を失っていた。
 
懸命にしごいてもピクリとも反応しない。
 
「んもう、フニャチンじゃない。だらしないわね!」
 
業を煮やした早紀は、裕一の萎えた肉茎を鷲づかみにすると、
一気に根元まで口にくわえ込んだ。
 
強烈な吸い込みが肉茎を襲う。
裕一はヒクヒクと太腿を痙攣させながら、
頬を窄めて頬張る早紀の顔を見つめた。
 
柳眉にくりっとした円らな瞳、すっと通った鼻梁、
やや大きめだがチャーミングな口許――
間違いなく美人の部類に入る顔立ちをしている。
 
結婚して二年、早紀は今年三十六歳になる姉さん女房だった。
 
本社へ裕一が転勤した時、早紀は同じ総務部のお局様だった。
 
当時三十三歳だった早紀は、ボティコン・スーツを着こなす
フェロモン女王と呼ばれていた。
 
清楚で可愛いらしい女性が好みの裕一にとって、
早紀は初めから恋愛の対象外だった。
 
ところが悪魔は生贄になる子羊の好みなど無頓着だ。
 
歓迎会が開かれた夜、泥酔して記憶を失った裕一は、
朝起きると早紀のマンションにいた。
しかも二人とも全裸で、抱き合って寝ていたから堪らない。
 
哀れ裕一は、毒蜘蛛の巣に引っかかったシジミ蝶の如く、
一夜にして魔手から逃げ出す術を失った。
 
追い討ちをかけるようにその翌月、OLも飽きたから専業主婦になりたいと、
早紀は結婚をせがんだ。
 
出会いがしらの衝突事故でむち打ち症になった裕一は、
首を横に振ることができずに承諾した。
つづく・・・
                        

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小説「内助の功」第四章・・・(紅殻格子)

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            「内助の功」   紅殻格子

 四

 
目の前で大きな尻が揺れる。
 
ベッドで仰向けに寝る裕一の上で、早紀は逆さ向きで四つん這いに跨り、
髪を振り乱して肉茎を懸命にくわえた。
 
(いいところもあるんだが・・)
 
豊穣で真っ白い尻を高々と掲げ、ゆさゆさと砲弾型の乳房を揺らす早紀を見て、
裕一はそう思い直した。
 
決して悪妻ではない。
 
頭が良くて機転の利く早紀は、家事が得意で何事も要領よくこなす。
 
加えて明るく活発な性格故に、裕一の両親にも可愛がられ、
近所の奥様連中の評判もいい。
 
そして姉さん女房らしく、裕一にも甲斐甲斐しく世話をやいて尽くしてくれる。
 
年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せと言う。
確かに世話好きの女は、男にとって楽と言えば楽だ。
 
だがそれも度を過ぎると、大きい尻に敷かれる重圧感が苦痛となる。
 
どちらかと言うと、裕一は家庭のことでも自分が差配しないと気がすまない性質だ。
 
ところが早紀は、相談なしに大事なことも独断で決めてしまう。
 
今住んでいるマンションにしても、裕一が知らない間に、
早紀が勝手に不動産屋と契約したものだった。
 
そんな不満とは関係なく、裕一の肉茎はむくむくと膨張させられていた。
 
早紀の巧みな舌技の前では、粗末な一物の反抗など、
赤子の手をひねるが如く鎮圧されてしまう。
 
「やっと硬くなってきたわ」
 
早紀はキラリと円らな瞳を輝かせると、そのまま仰向けの裕一に馬乗りとなった。
 
荒ぶる女神が降臨した。
 
直立した裕一の供物を煮えたぎった花奥に収めると、
女神は肩まで伸びた黒髪を振り乱して歓喜の踊りを始めた。
 
「あ、ああっ!」
 
体の奥底から沸き上がる悦楽に翻弄された美神は、
うっとりと瞳を閉じつつも、苦しげに眉間に皺を寄せている。
 
淫らに笑む半開きの口唇からは、
憑き物が乗り移った巫女のように喘ぎ声がほとばしる。
 
「いいっ、いいのよ。きて、お願い。もっと下から突いて・・」
 
裕一の上で白い裸身が乱舞する。
 
ぎゅっと凝縮して粟立った乳暈を頂く乳房が、
上下左右へ千切れんばかりに弾む。
 
そしてうっすらと脂が乗った下腹部が、男心を誘うようにふるふると震える。
 
「ああ、もういっちゃう・・」
 
早紀は裕一の上でリズミカルに跳ね、
後ろへ仰け反る姿勢で絶頂へと登りつめていく。
 
ねっとりとして軟らかかった熱い花奥が、密度と粘度を増し、
肉茎を包み込んで精を搾り取ろうとする。
 
「さ、早紀」
 
「ゆ、裕一君・・いくぅ!」
 
早紀はガクガクと動きを止めると、火照った体を覆い被せてきた。
裕一は熱く汗ばんだ体を抱き受けながら、花奥へと勢いよく精を吐き出した。
 
つづく・・・
                 

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小説「内助の功」第五章・・・(紅殻格子)

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バスルーム。
 
裕一と早紀は、お互いの体を洗うと、狭いバスタブに抱き合って浸かった。
 
「ねえ。何か元気ないじゃない、裕一君」
早紀は、未練がましく萎えた肉茎を弄びながら尋ねた。
 
「うん、ちょっと仕事がね・・」
 
俯いたまま裕一は沈黙した。
ポチャと天井から水滴が落ちて、湯に小さな波紋を作った。
 
「仕事?」
 
肉茎を触る早紀の手が止まった。
裕一は真剣に転職を考えていた。
 
まだ若く野心が強い裕一にとって、閑職に甘んじるのは屈辱に他ならなかった。
 
その原因が、不倫現場を見られた支社長の讒言ならば尚更だ。
 
支社長の人格も問題だが、そんな人物を重職に就けている会社にも非はある。
 
早紀の黒目が落ち着きなく揺れた。
 
「早紀・・実は、会社を辞めようと・・」
 
「あっ、そうだ」
 
突然早紀は裕一の言葉を遮った。
 
「あのね、今日横浜へ行ったの。そこで私すごいもの見ちゃったんだ。
 何だと思う?」
 
「そんなことはどうでもいい。俺は・・」
 
「岩井社長の奥さんが、浮気している現場を見ちゃったのよ」
 
「・・え?」
 
裕一は早紀の顔を見つめた。
 
岩井建設の社長、岩井源三は立志伝中の人物である。
 
一代で岩井建設を業界中堅にまで押し上げ、
今なお六十歳にして、政界と財界に大きな発言力を持っている。
 
裕一にとっても、社長は尊敬と憧れの人物だった。
 
先妻を亡くした社長は半年前、本社の秘書室で働いていた雨宮美紀と結婚した。
 
社長の再婚は、会社だけでなく世間を驚かせた。
 
それは美紀が裕一と同い年の三十三歳で、
社長とは親子ほど年が離れていたからだった。
 
口さがない社員達は、露骨に財産目当てだと美紀を蔑んだ。
 
それでも社長は若い妻を溺愛した。
 
美紀は結婚しても変わらず社長秘書を続け、
社内でも二人の熱愛ぶりは、周囲の重役陣を呆れさせるほどだった。
 
裕一は訝しげに早紀を見た。
 
「本当?」
 
「本当だってば。ご近所の奥さん達と、港のホテルへランチに行ったのよ。
 そうしたらそのフロントに雨宮さんがいたの。
 三十歳ぐらいの男と腕を組んで、部屋の鍵を受け取っていたわ」
 
総務部にいた早紀は、もちろん結婚前から美紀を知っている。
 
「他人の空似じゃないの?」
 
「ううん。だって彼女、私の顔を見たら吃驚して慌てて顔を伏せたもの」
 
「・・しかしなあ」
 
「信じてよ」
 
早紀はぎゅっと肉茎を握った。
 
「あいたっ! わかった、わかったよ。信じるよ」
 
「宜しい・・あら、また大きくなってきたみたい・・ウフッ、もう一回できそうよ」
 
早紀は湯から上がると、バスタブに両手をついてヒップを突き出した。
 
(やれやれ)
 
豊かな尻の谷間下で、剥き出しになった陰部がぷっくりと膨らんでいる。
 
すっかり会社を辞めると言いそびれた裕一は、
まだ湯が滴る花芯へゆっくりと口を近づけた。
 
つづく・・・           

 

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小説「内助の功」第六章・・・(紅殻格子)

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東京都心のホテル。
そのバンケット・ルームでは、約三百人を集めた盛大なパーティーが催されていた。
 
『岩井源三の還暦を祝う会』
 
広い宴会場に屯する客の中には、顔に見覚えがある政治家や経営者、
芸能人が多く混じっていた。
 
裕一は華やかな会場の中、手持ち無沙汰な表情で壁際に立っていた。
 
社長個人の還暦祝いだが、内実は岩井建設の本社総務部が運営しており、
裕一も手伝いとして借り出されていた。
 
晴れがましい壇上では、小柄だが恰幅のいい社長と新妻美紀が、
揃って著名人達の祝辞を受けている。
 
普段は社長秘書として制服姿の美紀だが、今夜は薄い藤色の着物に身を包み、
淑やかな美しさを会場に添えていた。
 
社長が白羽の矢を立てただけあって、美紀は細面の美人で、
和服が似合う純日本的な顔立ちをしている。
 
そして華奢にも見える細身からは、
繊細で奥ゆかしい大和撫子の風情を漂わせていた。
 
宴が歓談に入るのを見計らって、裕一は宴会場から外へ出た。
帰り客のタクシーを手配する仕事があるからだった。
 
階下にあるフロントの前まで来た時、裕一は不意に背後から声をかけられた。
つづく・・・
        

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小説「内助の功」第七章・・・(紅殻格子)

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美紀だった。
 
漆黒の髪を後ろに結った美紀は、近くで見ると頬にうっすらと紅を点して艶かしい。
 
「本間さん」 涼やかな目元は憂いに満ちていた。
 
「は、はい。何かご用ですか?」
 
「いえ、その、本間さんの奥様は、総務部にいらっしゃった星野早紀さんですよね」
 
確かに早紀の旧姓は星野である。
 
「ええ、そうですが・・」
 
雲の上の社長夫人からの質問に、平社員の裕一はやや訝しそうに答えた。
 
「あ、あの・・奥様、何か私のことを話していらっしゃいましたか?」
 
もじもじと決まり悪そうな仕草で、美紀はやっとそれだけを裕一に尋ねた。
 
裕一は、はっと三日前に聞いた早紀の話を思い出した。
 
『岩井社長の奥さんが、浮気している現場を見ちゃったのよ』
 
どうやら早紀の言っていたことは本当らしい。
 
美紀は不倫現場を見られたことを気に病み、
わざわざ一兵卒の裕一に妻の様子を確認に来たのだろう。
 
裕一の頭は猛回転を始めた。
 
不倫が表沙汰になることを美紀は恐れている。
この秘密を握っている限り、社長夫人は裕一の思うがままだ。
 
しかも社長は美紀の言いなりだと言われている。
ならば夫人を裏から操れば、会社での出世は約束されたようなものではないか。
 
(それどころか) 裕一は生唾を飲んだ。
和服の襟から、雪のように白い美紀のうなじが覗いている。
 
もし裕一が望めば、このたおやかな貴婦人の裸身をも、
好きなように嬲ることもできるのだ。
 
裕一の野心がかっと燃え上がった。
 
(一世一代の悪人を演じてやる)
 
どうせ辞めようと思っていた会社だ。
失敗したところで裕一に未練はない。
 
裕一はコホンと咳払いした。
 
「妻から聞きました。横浜のホテルでのことですよね」
 
「・・・・」
 
美紀は顔を硬直させて押し黙った。その仕草が不倫の事実を物語っている。
 
「もし奥様のことで、社長がスキャンダルに巻き込まれることにでもなれば、
それは一個人の問題では済まなくなります。
岩井建設に勤める二千人の従業員が、路頭に迷う可能性を孕む大問題です」
 
「そ、そんな・・」
 
「いえ、大げさではありません。社長が余計な一言をマスコミに喋っただけで、
会社が潰れてしまう時代です。
ですから私は会社のために、時期を見て社長にこのことを忠告するつもりです」
 
「や、やめて」
 
すがるような瞳で裕一を見上げた。
 
「しかし災いの芽は事前に摘みませんと」
 
美紀はおどおどと瞳を揺らしながら、小声で問いかけた。
 
「いくら払えば許してもらえるの?」
 
裕一はふんっと鼻で笑ってから凄んだ。
 
「奥さん、世の中全てが金で解決するわけじゃないんだよ。
 不愉快だな。話はこれで終わりにしよう」
 
「ま、待って・・ごめんなさい・・私、どうすれば・・」
 
美紀は泣きそうな顔でスーツの裾をつかんだ。
 
「そうだな・・一度二人きりで話ができる場所を用意してもらおうか」
 
「・・わ、わかりました」
 
「あまりここで話をしていても怪しまれるから、決まったらメールで連絡をくれ」
 
「はい」
 
宴会場での華やかさは、すっかり美紀から消えていた。
奴隷となることを誓った女の恨めしさだけが、
美紀の体から青白い焔を燃え上がらせていた。
 
美紀は頭を下げて会場へ戻って行った。
裕一は、その和服に包まれた柳腰を見ながら、一人にんまりとほくそ笑んだ。
つづく・・・

 

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小説「内助の功」第八章・・・(紅殻格子)

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            「内助の功」   紅殻格子
 
伊豆。
初夏の陽射しが降り注ぐ海岸沿いの道を、
裕一は窓を全開にして車を走らせていた。
 
街中を離れて磯の香りが強くなると、
小さな入り江に面した豪勢なリゾート・マンションが見えてきた。
 
「ここが約束の場所か」
 
高まる緊張を誤魔化すように、裕一はわざと大きな声で自分に言い聞かせた。
 
岩井社長の還暦パーティーの翌日、会社のパソコンに美紀からメールが届いた。
 
都心のホテルでは人目につきやすいので、社長が北海道へ出張する休日、
この別荘で会いたいと書かれていた。
 
裕一に異存はなかった。早紀にはゴルフだと嘘をついて早朝家を出た裕一は、
途中時間を潰して昼過ぎ伊豆に入ったのだった。
 
裕一は用意してきたサングラスをかけ、周囲に気を配りながら、
指定された部屋の呼び鈴を押した。
 
女の声がして細めにドアが開いた。
 
「お入り下さい」
 
淡いブルー色のワンピースに身を包んだ美紀が、
伏し目がちに裕一を招き入れた。
 
しばらく裕一は玄関に立ったまま、マンションの中の様子を窺った。
 
「お、奥さん一人だろうね」
 
「ええ。そうでなければ、わざわざ伊豆までお呼びする必要はありませんわ」
 
裕一はそれも道理だと思い、案内されたリビングへ歩みを進めた。
 
三十畳近くあるリビングは開放的で、白を基調にした部屋は、
ソファやテーブル、家具調度がセンス良く配されている。
 
そして大きく開いた窓の外には、群青色の海原が全面に広がっていた。
 
裕一はもつれた足取りで、ソファへ崩れるように腰かけた。
心拍数はゆうに百を超えているだろう。
 
(いよいよだ)
つづく・・・

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小説「内助の功」第九章・・・(紅殻格子)

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            「内助の功」   紅殻格子
 
裕一は野心家だが悪人ではない。
むしろ小心者の部類に入る。
 
あまりにも急テンポな展開に、裕一は不安を隠せなかった。
 
美紀は運んできた紅茶をテーブルに置き、
立ったまま裕一を見下ろして話し始めた。
 
「本間さん、率直に言います。奥様が見られた通り、私、主人を裏切りました」
 
「・・はあ」
 
裕一は唖然として美紀を見返した。
 
還暦パーティーの夜は、泣き顔で動揺していた美紀だったが、
今日はすっかり開き直ってしまっている。
 
(いざとなったら、女の方が男より度胸が据わるものだ)
 
外見は手弱女の美紀も、一皮剥けば、早紀と同じく生命力逞しい女なのだ。
 
美紀は毅然として続けた。
 
「この秘密を守って戴くために、私はどうしたらいいんですか?」
 
「ど、どうって・・それは、その・・」
 
じわじわと嬲るつもりで来た裕一は、
逆に美紀に先手を取られて思わず口ごもった。
 
「はっきり言って下さい。この間はお金じゃないと仰いましたね。
では何がお望みなんですか?」
 
「それは、その・・奥様の・・体を・・」
 裕一は自分でもわかるほど顔を赤らめ、もにょもにょとかろうじて小声で答えた。
 
「わかりました」
 
美紀はぎゅっと口唇を噛み締めて頷くと、ブラウスのボタンに指をかけた。
 
「あ、いや、そんなに急がなくても」
 
脅迫者の裕一がおろおろと途惑うほど、美紀は敢然と着衣を脱ぎ始めた。
 
窓の外に広がる海を背景に、下着姿のビーナスは、
その乳色の美肌を惜しげもなく晒した。
 
和服姿から想像した通り、強く抱けば折れてしまうほど、
華奢なボディ・ラインをしている。
 
裕一と同い年のはずだが、女子高生のように瑞々しい肢体を維持していた。
 
美紀は後ろ手でブラのホックを外した。
 
小ぶりだが形の良い乳房には、愛らしい桃紅色の乳首が、
ツンと澄まして上を向いている。
 
その滑らかな丸みは、白磁のように上品な光沢を湛えていた。
 
躊躇うことなく美紀は、ポカンと口を空けた裕一に横を向き、
ほっそりとした腰に絡むショーツを下ろした。
 
引き締まった小高い半球がつるりと現れた。
 
そして三十路らしからぬ贅肉のない下腹部には、淡く消え入れそうな翳りが、
逆に肌の白さを鮮やかに浮き立たせている。
つづく・・・
                  

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小説「内助の功」第十章・・・(紅殻格子)

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            「内助の功」   紅殻格子
 
 
裕一は目眩に襲われた。
 
太陽が燦々と目映い昼下がり、透き通るほど青白い女の裸身は、
見る者を生々しい淫靡な幻惑に陥れる。
 
「寝室へご案内しましょうか」
 
裕一の途惑いを見透かした美紀は、
口唇の端に悪魔のような笑みを浮かべて言った。
 
そして踵を返すと、小さいがプリプリと弾力があるヒップを振りながら、
リビングの扉を開けて寝室へ向かった。
 
奈良時代の道鏡宜しく、美紀の肉体を耽溺させて会社の実権を握る野望は、
半ば成功したと言っても良かった。
 
だが裕一は首をひねらざるを得なかった。
 
結果的には計画通りなのだが、脅されて性奴隷となるはずの美紀に、
いつの間にか裕一の方が従わされていた。
 
(まるで早紀と一緒にいるみたいだ)
 
脳裏に早紀の顔が浮かんだ。
鬼のような形相だった。
裕一は慌てて妻の鬼相を掻き消すと、よろよろと美紀の後を追った。
 
寝室はアンティークな造りだった。
二十畳ほどの広さがある部屋は、壁一面にクローゼットの扉が並び、
豪華なダブルベッドが中央に設えてある。
 
そのベッドの上に、美紀はスリムな裸身を横たえていた。
仰向けで手足をピンと伸ばした美紀は、能面のように瞳を閉じて無表情だった。
 
その美の威厳に打たれた裕一は、
あたふたとベッドに上がって裸身の横に正座した。
 
「そ、それでは、始めますかな」
 
主であるはずの裕一は、裏返った声でマッサージ師みたいな台詞を口走った。
 
 
つづく・・・
                  

theme : エログ
genre : アダルト

プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
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