小説「内助の功」第五章・・・(紅殻格子)
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「内助の功」 紅殻格子
五
バスルーム。
裕一と早紀は、お互いの体を洗うと、狭いバスタブに抱き合って浸かった。
「ねえ。何か元気ないじゃない、裕一君」
早紀は、未練がましく萎えた肉茎を弄びながら尋ねた。
「うん、ちょっと仕事がね・・」
俯いたまま裕一は沈黙した。
ポチャと天井から水滴が落ちて、湯に小さな波紋を作った。
「仕事?」
肉茎を触る早紀の手が止まった。
裕一は真剣に転職を考えていた。
まだ若く野心が強い裕一にとって、閑職に甘んじるのは屈辱に他ならなかった。
その原因が、不倫現場を見られた支社長の讒言ならば尚更だ。
支社長の人格も問題だが、そんな人物を重職に就けている会社にも非はある。
早紀の黒目が落ち着きなく揺れた。
「早紀・・実は、会社を辞めようと・・」
「あっ、そうだ」
突然早紀は裕一の言葉を遮った。
「あのね、今日横浜へ行ったの。そこで私すごいもの見ちゃったんだ。
何だと思う?」
「そんなことはどうでもいい。俺は・・」
「岩井社長の奥さんが、浮気している現場を見ちゃったのよ」
「・・え?」
裕一は早紀の顔を見つめた。
岩井建設の社長、岩井源三は立志伝中の人物である。
一代で岩井建設を業界中堅にまで押し上げ、
今なお六十歳にして、政界と財界に大きな発言力を持っている。
裕一にとっても、社長は尊敬と憧れの人物だった。
先妻を亡くした社長は半年前、本社の秘書室で働いていた雨宮美紀と結婚した。
社長の再婚は、会社だけでなく世間を驚かせた。
それは美紀が裕一と同い年の三十三歳で、
社長とは親子ほど年が離れていたからだった。
口さがない社員達は、露骨に財産目当てだと美紀を蔑んだ。
それでも社長は若い妻を溺愛した。
美紀は結婚しても変わらず社長秘書を続け、
社内でも二人の熱愛ぶりは、周囲の重役陣を呆れさせるほどだった。
裕一は訝しげに早紀を見た。
「本当?」
「本当だってば。ご近所の奥さん達と、港のホテルへランチに行ったのよ。
そうしたらそのフロントに雨宮さんがいたの。
三十歳ぐらいの男と腕を組んで、部屋の鍵を受け取っていたわ」
総務部にいた早紀は、もちろん結婚前から美紀を知っている。
「他人の空似じゃないの?」
「ううん。だって彼女、私の顔を見たら吃驚して慌てて顔を伏せたもの」
「・・しかしなあ」
「信じてよ」
早紀はぎゅっと肉茎を握った。
「あいたっ! わかった、わかったよ。信じるよ」
「宜しい・・あら、また大きくなってきたみたい・・ウフッ、もう一回できそうよ」
早紀は湯から上がると、バスタブに両手をついてヒップを突き出した。
(やれやれ)
豊かな尻の谷間下で、剥き出しになった陰部がぷっくりと膨らんでいる。
すっかり会社を辞めると言いそびれた裕一は、
まだ湯が滴る花芯へゆっくりと口を近づけた。
つづく・・・