小説「内助の功」第十章・・・(紅殻格子)
※小説を読まれる方へ・・・
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております ※ 主であるはずの裕一は、裏返った声でマッサージ師みたいな台詞を口走った。
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております ※
「内助の功」 紅殻格子
十
裕一は目眩に襲われた。
太陽が燦々と目映い昼下がり、透き通るほど青白い女の裸身は、
見る者を生々しい淫靡な幻惑に陥れる。
「寝室へご案内しましょうか」
裕一の途惑いを見透かした美紀は、
口唇の端に悪魔のような笑みを浮かべて言った。
そして踵を返すと、小さいがプリプリと弾力があるヒップを振りながら、
リビングの扉を開けて寝室へ向かった。
奈良時代の道鏡宜しく、美紀の肉体を耽溺させて会社の実権を握る野望は、
半ば成功したと言っても良かった。
だが裕一は首をひねらざるを得なかった。
結果的には計画通りなのだが、脅されて性奴隷となるはずの美紀に、
いつの間にか裕一の方が従わされていた。
(まるで早紀と一緒にいるみたいだ)
脳裏に早紀の顔が浮かんだ。
鬼のような形相だった。
裕一は慌てて妻の鬼相を掻き消すと、よろよろと美紀の後を追った。
寝室はアンティークな造りだった。
二十畳ほどの広さがある部屋は、壁一面にクローゼットの扉が並び、
豪華なダブルベッドが中央に設えてある。
そのベッドの上に、美紀はスリムな裸身を横たえていた。
仰向けで手足をピンと伸ばした美紀は、能面のように瞳を閉じて無表情だった。
その美の威厳に打たれた裕一は、
あたふたとベッドに上がって裸身の横に正座した。
「そ、それでは、始めますかな」
つづく・・・