小説「内助の功」第九章・・・(紅殻格子)
※小説を読まれる方へ・・・
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております ※
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております ※
「内助の功」 紅殻格子
九
裕一は野心家だが悪人ではない。
むしろ小心者の部類に入る。
あまりにも急テンポな展開に、裕一は不安を隠せなかった。
美紀は運んできた紅茶をテーブルに置き、
立ったまま裕一を見下ろして話し始めた。
「本間さん、率直に言います。奥様が見られた通り、私、主人を裏切りました」
「・・はあ」
裕一は唖然として美紀を見返した。
還暦パーティーの夜は、泣き顔で動揺していた美紀だったが、
今日はすっかり開き直ってしまっている。
(いざとなったら、女の方が男より度胸が据わるものだ)
外見は手弱女の美紀も、一皮剥けば、早紀と同じく生命力逞しい女なのだ。
美紀は毅然として続けた。
「この秘密を守って戴くために、私はどうしたらいいんですか?」
「ど、どうって・・それは、その・・」
じわじわと嬲るつもりで来た裕一は、
逆に美紀に先手を取られて思わず口ごもった。
「はっきり言って下さい。この間はお金じゃないと仰いましたね。
では何がお望みなんですか?」
「それは、その・・奥様の・・体を・・」
裕一は自分でもわかるほど顔を赤らめ、もにょもにょとかろうじて小声で答えた。
「わかりました」
美紀はぎゅっと口唇を噛み締めて頷くと、ブラウスのボタンに指をかけた。
「あ、いや、そんなに急がなくても」
脅迫者の裕一がおろおろと途惑うほど、美紀は敢然と着衣を脱ぎ始めた。
窓の外に広がる海を背景に、下着姿のビーナスは、
その乳色の美肌を惜しげもなく晒した。
和服姿から想像した通り、強く抱けば折れてしまうほど、
華奢なボディ・ラインをしている。
裕一と同い年のはずだが、女子高生のように瑞々しい肢体を維持していた。
美紀は後ろ手でブラのホックを外した。
小ぶりだが形の良い乳房には、愛らしい桃紅色の乳首が、
ツンと澄まして上を向いている。
その滑らかな丸みは、白磁のように上品な光沢を湛えていた。
躊躇うことなく美紀は、ポカンと口を空けた裕一に横を向き、
ほっそりとした腰に絡むショーツを下ろした。
引き締まった小高い半球がつるりと現れた。
そして三十路らしからぬ贅肉のない下腹部には、淡く消え入れそうな翳りが、
逆に肌の白さを鮮やかに浮き立たせている。
つづく・・・