小説「内助の功」第三章・・・(紅殻格子)
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「内助の功」 紅殻格子
三
再び山の神の罵声が寝室に響いた。
「裕一君! また考え事?」
「あ、ごめん」
慌てて裕一は、早紀の花芯を舐める舌先の動きを速めた。
「あん・・もうそこはいいから、早く入れてよ」
「うん」
早紀の催促に応えるべく裕一は肉茎を握ったが、
それはすっかり精気を失っていた。
懸命にしごいてもピクリとも反応しない。
「んもう、フニャチンじゃない。だらしないわね!」
業を煮やした早紀は、裕一の萎えた肉茎を鷲づかみにすると、
一気に根元まで口にくわえ込んだ。
強烈な吸い込みが肉茎を襲う。
裕一はヒクヒクと太腿を痙攣させながら、
頬を窄めて頬張る早紀の顔を見つめた。
柳眉にくりっとした円らな瞳、すっと通った鼻梁、
やや大きめだがチャーミングな口許――
間違いなく美人の部類に入る顔立ちをしている。
結婚して二年、早紀は今年三十六歳になる姉さん女房だった。
本社へ裕一が転勤した時、早紀は同じ総務部のお局様だった。
当時三十三歳だった早紀は、ボティコン・スーツを着こなす
フェロモン女王と呼ばれていた。
清楚で可愛いらしい女性が好みの裕一にとって、
早紀は初めから恋愛の対象外だった。
ところが悪魔は生贄になる子羊の好みなど無頓着だ。
歓迎会が開かれた夜、泥酔して記憶を失った裕一は、
朝起きると早紀のマンションにいた。
しかも二人とも全裸で、抱き合って寝ていたから堪らない。
哀れ裕一は、毒蜘蛛の巣に引っかかったシジミ蝶の如く、
一夜にして魔手から逃げ出す術を失った。
追い討ちをかけるようにその翌月、OLも飽きたから専業主婦になりたいと、
早紀は結婚をせがんだ。
出会いがしらの衝突事故でむち打ち症になった裕一は、
首を横に振ることができずに承諾した。
つづく・・・