『姦 計』 第二章
『姦 計』
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(二)
片岡はブランデーグラスを仄かな光を放つインテリア・ライトに翳した。
琥珀色の透明液が、柔らかで豊穣な輝きを醸している。
(俺が勝か、梅野が勝つか…だ)
グラスをつかむ指先に力が入る。
安倍支社長は明言しなかったが、多分次期支社長候補に上げられているのは、一課を率いる片倉と、二課を率いる梅野武幸だろう。
横浜支社で次の世代を担うような人材は、この同期入社の二人以外にいないからだ。
その時、仄暗い寝室に一条の光が差し込んだ。
「お待たせ」
黒のミニスリップ一枚で、妻の綾子が現れた。
ウェーブのかかった背まである黒髪に、悪戯っぽい輝きを失わない瞳、高く上品な鼻粱と薄めで艶のある口唇―ロシアン・ブルーという猫を想わせる、キュートだが高貴な美しい顔立ちをしている。
さらに、たわわなバストの丸み、躍動感溢れるウエストの括れ、キュッと引き締まったヒップのせり上がり―見事に調和のとれた体の線が、背後からの照明でセクシーに浮き出している。
子供を産んでいないことを差し引いても、とても三十二歳には見えない張りのある肢体だ。
「友達にメールを打っていたら遅くなっちゃった」
専業主婦の綾子は、最近パソコンに凝っていて、同世代のメール友達との交流に忙しいようだ。
綾子は夫を挑発するように、自慢のボディラインを強調するポーズをとって見せた。
「うふふ、この下着、セクシーでしょう?」
艶笑を湛えた綾子は、子猫のような身のこなしでベッドに滑り込んで来た。
片倉はそんな妻の媚態に煩わしさを覚えつつ、
(綾子と結婚したのも、元はと言えば梅野とのライバル争いが原因だったな―)
と心の中で自虐的に呟いた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る
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片岡はブランデーグラスを仄かな光を放つインテリア・ライトに翳した。
琥珀色の透明液が、柔らかで豊穣な輝きを醸している。
(俺が勝か、梅野が勝つか…だ)
グラスをつかむ指先に力が入る。
安倍支社長は明言しなかったが、多分次期支社長候補に上げられているのは、一課を率いる片倉と、二課を率いる梅野武幸だろう。
横浜支社で次の世代を担うような人材は、この同期入社の二人以外にいないからだ。
その時、仄暗い寝室に一条の光が差し込んだ。
「お待たせ」
黒のミニスリップ一枚で、妻の綾子が現れた。
ウェーブのかかった背まである黒髪に、悪戯っぽい輝きを失わない瞳、高く上品な鼻粱と薄めで艶のある口唇―ロシアン・ブルーという猫を想わせる、キュートだが高貴な美しい顔立ちをしている。
さらに、たわわなバストの丸み、躍動感溢れるウエストの括れ、キュッと引き締まったヒップのせり上がり―見事に調和のとれた体の線が、背後からの照明でセクシーに浮き出している。
子供を産んでいないことを差し引いても、とても三十二歳には見えない張りのある肢体だ。
「友達にメールを打っていたら遅くなっちゃった」
専業主婦の綾子は、最近パソコンに凝っていて、同世代のメール友達との交流に忙しいようだ。
綾子は夫を挑発するように、自慢のボディラインを強調するポーズをとって見せた。
「うふふ、この下着、セクシーでしょう?」
艶笑を湛えた綾子は、子猫のような身のこなしでベッドに滑り込んで来た。
片倉はそんな妻の媚態に煩わしさを覚えつつ、
(綾子と結婚したのも、元はと言えば梅野とのライバル争いが原因だったな―)
と心の中で自虐的に呟いた。
つづく…
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