『喝采』・・・(第七章)
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第七章
格式高い名門ホテル。
バスローブをまとっただけの美咲は、湯上りで上気した肌のまま、浴室を出てリビングルームの扉を開いた。
一泊十万円は下らないスイート。
大きな窓からは、星屑を散りばめたような都会の夜が一望できる。
その王侯貴族の部屋に、やはりバスローブ姿の男が、ソファにもたれてワイングラスを傾けていた。
逸見岳、四十五歳――創業家の若き御曹司は、三年前から関東製薬の社長に就任し、年商七千億円を越える関東製薬グ
ループ総帥の地位あった。
美咲は逸見の隣に座った。
「関東製薬の取締役会は明日でしょう?」
「ああ、今夜から明後日の夜まで東京にいる」
逸見はこのホテルを東京の定宿にしていた。
関東製薬の本社は東京にあるが、逸見は生まれ育った大阪の豪邸に妻子を置いている。
関東製薬は、東京に本社部門と営業本部、大阪に研究所と工場を分散しており、逸見は月の三分の二を大阪で、残りを東京で過ごす生活を送っていた。
不意に部屋のチャイムが鳴った。
「秘書が明日の資料を持ってきたんだろう」
逸見はバスローブのまま、部屋の入り口へ早足で向かった。
美咲がちらっと覗くと、まだ若い女性秘書が逸見に資料を説明していた。
秘書は美咲に気づくと、逸見の肩越しにキッと睨みつけてきた。
秘書を帰した逸見は、美咲のグラスにワインを注いだ。
「あの子、新しい秘書?」
「ああ、前の秘書が辞めてしまってね。今時の若い娘はコミュニケーションが難しいよ」
「まあ、そうね。私も苦労しているもの。でも珍しいわね。今まで役員会の前日に、私を呼んだことはなかったでしょう。てっきり明日の夜かと思っていたわ」
「羽田からここへ来る車の中で、お前が出演しているテレビを観て急に抱きたくなったんだよ」
「いやねえ・・」
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
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「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第七章
格式高い名門ホテル。
バスローブをまとっただけの美咲は、湯上りで上気した肌のまま、浴室を出てリビングルームの扉を開いた。
一泊十万円は下らないスイート。
大きな窓からは、星屑を散りばめたような都会の夜が一望できる。
その王侯貴族の部屋に、やはりバスローブ姿の男が、ソファにもたれてワイングラスを傾けていた。
逸見岳、四十五歳――創業家の若き御曹司は、三年前から関東製薬の社長に就任し、年商七千億円を越える関東製薬グ
ループ総帥の地位あった。
美咲は逸見の隣に座った。
「関東製薬の取締役会は明日でしょう?」
「ああ、今夜から明後日の夜まで東京にいる」
逸見はこのホテルを東京の定宿にしていた。
関東製薬の本社は東京にあるが、逸見は生まれ育った大阪の豪邸に妻子を置いている。
関東製薬は、東京に本社部門と営業本部、大阪に研究所と工場を分散しており、逸見は月の三分の二を大阪で、残りを東京で過ごす生活を送っていた。
不意に部屋のチャイムが鳴った。
「秘書が明日の資料を持ってきたんだろう」
逸見はバスローブのまま、部屋の入り口へ早足で向かった。
美咲がちらっと覗くと、まだ若い女性秘書が逸見に資料を説明していた。
秘書は美咲に気づくと、逸見の肩越しにキッと睨みつけてきた。
秘書を帰した逸見は、美咲のグラスにワインを注いだ。
「あの子、新しい秘書?」
「ああ、前の秘書が辞めてしまってね。今時の若い娘はコミュニケーションが難しいよ」
「まあ、そうね。私も苦労しているもの。でも珍しいわね。今まで役員会の前日に、私を呼んだことはなかったでしょう。てっきり明日の夜かと思っていたわ」
「羽田からここへ来る車の中で、お前が出演しているテレビを観て急に抱きたくなったんだよ」
「いやねえ・・」
つづく・・・
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