『あやかしの肌』・・・第五章
『あやかしの肌』
第五章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
辰二は三十七歳、神田の銭湯『竹の湯』で三助をしている。
そもそも三助の由来は、釜焚きと番台、そして流しという三つの仕事をこなすからだと言われている。
三助は主人に次ぐ番頭格の地位で、勤め上げた者には、新たな銭湯をのれん分けできる資格が与えられる。
午後三時の営業時間前で、破風と呼ばれる曲線の庇を正面に据えた入り口に、まだのれんはかかっていなかった。
辰二は硝子戸を開けた。
左右に木札鍵の下駄箱が並び、その先に男湯と女湯ののれんがかかっている。
男湯から中へ入ると、女湯との境に番台があり、磨き上げられた板床の広い脱衣所が見渡せた。
高い天井からぶら下がる大きな扇風機。
女湯との仕切りに嵌められた大鏡。
片隅に積み上げられた脱衣籠。
フルーツ牛乳やコーヒー牛乳が並ぶ冷蔵ショーケース。
正面ガラス戸の向こうが、富士山のペンキ絵が描かれた大きな浴室になっている。
白いタイル貼りの空間には、赤青の温水と冷水が出る蛇口が六列並び、深浅二つの浴槽が奥に設えてあった。
主人の飯島盛吉がペンキ絵の裏にある釜場から出て来た。
「ただいま戻りました」
「おうタツか、お帰り。久しぶりの田舎はどうだった?」
「ええ、兄貴は元気そうでした。三日も休みを頂いてご迷惑をおかけしました」
辰二は丁寧に挨拶しながら、そっと浴槽に手を入れて湯加減をみた。
八百屋の老婆が愚痴をこぼした通り、薪をけちっているのかややぬるかった。
つづく・・・
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辰二は硝子戸を開けた。
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男湯から中へ入ると、女湯との境に番台があり、磨き上げられた板床の広い脱衣所が見渡せた。
高い天井からぶら下がる大きな扇風機。
女湯との仕切りに嵌められた大鏡。
片隅に積み上げられた脱衣籠。
フルーツ牛乳やコーヒー牛乳が並ぶ冷蔵ショーケース。
正面ガラス戸の向こうが、富士山のペンキ絵が描かれた大きな浴室になっている。
白いタイル貼りの空間には、赤青の温水と冷水が出る蛇口が六列並び、深浅二つの浴槽が奥に設えてあった。
主人の飯島盛吉がペンキ絵の裏にある釜場から出て来た。
「ただいま戻りました」
「おうタツか、お帰り。久しぶりの田舎はどうだった?」
「ええ、兄貴は元気そうでした。三日も休みを頂いてご迷惑をおかけしました」
辰二は丁寧に挨拶しながら、そっと浴槽に手を入れて湯加減をみた。
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