『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(七)
『人外境の花嫁』
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六.伏魔殿の監禁者 (七)
マジックミラーで仕切られた一階から三階を見学して、麻美とミーア、そして支部長と子猿は四階中央の居室へ戻った。
一切窓がないフロアである。
外界から遮断された空間に、八人の上位階級者が集まってきた。
「麻美様、お会いできて光栄です」
「麻美様、お待ちしておりました」
いろいろな色の儀礼服を着た老若男女が、深々と麻美に頭を下げて挨拶していく。
麻美は彼等をぼんやりと見送った。
(何故私が・・)
母を失ってから、天涯孤独で生きてきた麻美である。
商売で肌を重ねた男達を思い返しても、アヤタチなどと名乗る者に出逢ったことはない。
ふと降矢木の顔が脳裏に浮かんだ。
(母が持っていた絵文字を先生に解読してもらおうと思っていたのに・・)
その時、麻美は幼い頃に母が語った一言を思い出した。
『きっと父ちゃんは、お前を優しく迎えてくれるだろうよ』
麻美は直感的にアヤタチが父ではないかと考えた。
麻美が着ている儀礼服は、最上階位の一つ下にあたる十二階位らしい。
そのアヤタチと親子でもなければ、いきなりそんな高い階位をよそ者に与えたりしないだろう。
未だに父の名前も所在もわからない。
降矢木に解読を依頼した封書の差出人は足立寛三だった。
だが寛三が麻美の父親であるかはわからない。
母の話では、父が生きていれば相当な高齢であり、深い山奥の村で暮らしているはずだった。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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外界から遮断された空間に、八人の上位階級者が集まってきた。
「麻美様、お会いできて光栄です」
「麻美様、お待ちしておりました」
いろいろな色の儀礼服を着た老若男女が、深々と麻美に頭を下げて挨拶していく。
麻美は彼等をぼんやりと見送った。
(何故私が・・)
母を失ってから、天涯孤独で生きてきた麻美である。
商売で肌を重ねた男達を思い返しても、アヤタチなどと名乗る者に出逢ったことはない。
ふと降矢木の顔が脳裏に浮かんだ。
(母が持っていた絵文字を先生に解読してもらおうと思っていたのに・・)
その時、麻美は幼い頃に母が語った一言を思い出した。
『きっと父ちゃんは、お前を優しく迎えてくれるだろうよ』
麻美は直感的にアヤタチが父ではないかと考えた。
麻美が着ている儀礼服は、最上階位の一つ下にあたる十二階位らしい。
そのアヤタチと親子でもなければ、いきなりそんな高い階位をよそ者に与えたりしないだろう。
未だに父の名前も所在もわからない。
降矢木に解読を依頼した封書の差出人は足立寛三だった。
だが寛三が麻美の父親であるかはわからない。
母の話では、父が生きていれば相当な高齢であり、深い山奥の村で暮らしているはずだった。
つづく…
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