「男の居場所」第十章・・・(紅殻格子)
※ 小説を読まれる方へ・・・
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております
「男の居場所」
十・
一週間後の金曜日の夜、水上は『河福』の座敷に美奈と差し向かいでいた。
最近はエスニック料理も増えてきた福岡だが、やはり冬の味覚と言えばトラフグの玄妙な味わいだ。
鮮やかな大輪の刺身、唐揚から鍋、そして雑炊へと、フグは変幻自在に振る舞い、食べる者を魅惑して止まない。
水上の向かいで美奈は上機嫌だ。 今夜の出で立ちは少し大人っぽい。
コートを脱いだ美奈は、ダークレッドのキャミソールに、黒いカーディガンを羽織っていた。
そしてコーディネートされた黒のストレッチパンツが、非の打ちどころがないボディラインをくっきりと浮かび上がらせている。
「美味しい!でもこんなに食べたら太っちゃう。ほら、水上次長も飲んでばかりいないで、食べて食べて」
「ああ、食べているよ」
しかし今夜の水上は、極上のフグもヒラメも味の区別がつかなかった。
あの朝の約束は美奈の冗談だと思い、水上は連絡のメールなど出さなかった。
すると逆に美奈から、「訴えてやる」とだけ書かれたメールが届いた。
慌てた水上は店を予約するから人数を教えてくれ、とメールを送った。
付き添いの友人が一緒だと思ったからだ。
しかし意外にも「私だけではご不満?」という返信が来たのだった。
美奈と二人きりの座敷に水上は戸惑った。
(たかが女子社員1人に・・・)
そう考えれば考えるほど、水上の気持ちはかえって昂ぶっていく。
(彼女を女として意識しているのか)
五十にならんとする男が、娘と年の近い女に恋心を抱くのは、恥ずべき犯罪行為だ。
しかも情けないことに、水上の一方的な片思いだ。
しかし一度火がついた感情は、消そうとすればするほど燃え広がっていく。
無邪気にフグ料理をつつく美奈は、そんな水上の罪悪感もお構いなしに、にこにこと笑いながら話し掛けてくる。
しかし心の安全弁を失った水上は、ただ酒を呷って自分をごまかすことしかできなかった。
食事が終って店の外に出ると、雪がちらちらと風に舞っていた。
「次長、寒いと思ったら雪ですよ」
美奈は首をすくめ、両の掌に白い息を吹きかけている。
「ああ、風邪をひかないうちに帰ろう」
水上は混雑する雑踏を縫うように、地下鉄の駅へ歩き出した。
突然、水上は腕を背後から抱きかかえられた。
振り返ると、あの活発な美奈が寂しそうな瞳で水上を見つめている。
「もう帰っちゃうの?」
びっくりするくらい、甘くて舌たらずな言い方だった。
「・・・あ、ああ・・・これ以上若い娘を連れ回すわけにもいかないだろう」
「でも、今夜ご馳走してもらったお礼をしてないし・・・」
美奈は抱えた腕を胸にぐっと押しつけた。
水上は飛び上がらんばかりに驚いた。
グラマーではないが、柔らかな乳房の感触には、有無を言わせぬ魔力が潜んでいる。
「ねえ、行こう」
水上を見つめる美奈の瞳が、街のネオンに反射してぼうっと赤く染まっていた。
つづく・・・
・・・・・・ お知らせ ・・・・・
『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。
『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※
閲覧方法・・・
「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。
電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。
パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。
[妄想の囲炉裏端]~掲示板~
~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点
更新記事は新着順に表示されますので小説を最初から順追って
お読みになりたい方は、左のカテゴリー(各小説)を選択していただければ
第一章からお読みいただけるようになっております
「男の居場所」
十・
一週間後の金曜日の夜、水上は『河福』の座敷に美奈と差し向かいでいた。
最近はエスニック料理も増えてきた福岡だが、やはり冬の味覚と言えばトラフグの玄妙な味わいだ。
鮮やかな大輪の刺身、唐揚から鍋、そして雑炊へと、フグは変幻自在に振る舞い、食べる者を魅惑して止まない。
水上の向かいで美奈は上機嫌だ。 今夜の出で立ちは少し大人っぽい。
コートを脱いだ美奈は、ダークレッドのキャミソールに、黒いカーディガンを羽織っていた。
そしてコーディネートされた黒のストレッチパンツが、非の打ちどころがないボディラインをくっきりと浮かび上がらせている。
「美味しい!でもこんなに食べたら太っちゃう。ほら、水上次長も飲んでばかりいないで、食べて食べて」
「ああ、食べているよ」
しかし今夜の水上は、極上のフグもヒラメも味の区別がつかなかった。
あの朝の約束は美奈の冗談だと思い、水上は連絡のメールなど出さなかった。
すると逆に美奈から、「訴えてやる」とだけ書かれたメールが届いた。
慌てた水上は店を予約するから人数を教えてくれ、とメールを送った。
付き添いの友人が一緒だと思ったからだ。
しかし意外にも「私だけではご不満?」という返信が来たのだった。
美奈と二人きりの座敷に水上は戸惑った。
(たかが女子社員1人に・・・)
そう考えれば考えるほど、水上の気持ちはかえって昂ぶっていく。
(彼女を女として意識しているのか)
五十にならんとする男が、娘と年の近い女に恋心を抱くのは、恥ずべき犯罪行為だ。
しかも情けないことに、水上の一方的な片思いだ。
しかし一度火がついた感情は、消そうとすればするほど燃え広がっていく。
無邪気にフグ料理をつつく美奈は、そんな水上の罪悪感もお構いなしに、にこにこと笑いながら話し掛けてくる。
しかし心の安全弁を失った水上は、ただ酒を呷って自分をごまかすことしかできなかった。
食事が終って店の外に出ると、雪がちらちらと風に舞っていた。
「次長、寒いと思ったら雪ですよ」
美奈は首をすくめ、両の掌に白い息を吹きかけている。
「ああ、風邪をひかないうちに帰ろう」
水上は混雑する雑踏を縫うように、地下鉄の駅へ歩き出した。
突然、水上は腕を背後から抱きかかえられた。
振り返ると、あの活発な美奈が寂しそうな瞳で水上を見つめている。
「もう帰っちゃうの?」
びっくりするくらい、甘くて舌たらずな言い方だった。
「・・・あ、ああ・・・これ以上若い娘を連れ回すわけにもいかないだろう」
「でも、今夜ご馳走してもらったお礼をしてないし・・・」
美奈は抱えた腕を胸にぐっと押しつけた。
水上は飛び上がらんばかりに驚いた。
グラマーではないが、柔らかな乳房の感触には、有無を言わせぬ魔力が潜んでいる。
「ねえ、行こう」
水上を見つめる美奈の瞳が、街のネオンに反射してぼうっと赤く染まっていた。
つづく・・・
・・・・・・ お知らせ ・・・・・
『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。
『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※
閲覧方法・・・
「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。
電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。
パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。
[妄想の囲炉裏端]~掲示板~
~にほんブログ村 恋愛小説~(愛欲)
~FC2 人妻・熟女官能~
~愛と官能の美学~
~女たちの性書~
~人気ブログランキング 愛と性~
BlogPeople「芸術・文学/読書中毒」
BlogPeople「恋愛・セックス/大人の話」
エッチな告白体験談ブログ
読み物交差点