「男の居場所」 第九章・・・(紅殻格子)
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「男の居場所」
九・
社内でも美奈は人気がある。
特にオジサンたちにはアイドル的な存在だ。
それは容姿が申し分ないことに加えて、最近の若い子には珍しく、気さくに話し相手になってくれるからだった。
家で自分の娘が何も話してくれない不満を、会社で美奈に癒してもらっているようなものだ。
自然、会社でも美奈が行くところ、むさくるしいオジサンたちの輪ができる。
まるでその光景は、心貧しき者たちが降臨した女神に、救いを求めて祈っているようにも見えた。
それまで澱のように沈んでいた心の影が、鮮やかに晴れ渡っていくのを水上は感じた。
「ああ、そうさ。会社にグラマーな女の子がいないから、中洲で目の保養をしなければならないんだよ」
美奈ははっとして自分の胸を見下ろした。
「ひどい!どうせ私はグラマーじゃありませんよ」
ぷっと頬を膨らませた美奈が、持っていたバックで水上の背中を叩いた。
「おいおい、こんな道の真ん中で……」
水上は口元を緩ませながら、美奈のバックから逃げ回った。
「水上次長、今の発言はセクハラです。人事部に訴えてやるから」
「いや、澤田君、俺が悪かった。反省しているから見逃してくれ」
「ダメ、一度傷ついた乙女心は、そう簡単には治せないんですからね」
美奈は水上を置いて足早で歩いていく。
「わかった、夕食でもご馳走するから」
美奈の足取りが少しゆっくりになった。
「……何をご馳走してくれますか?」
「ラーメンかモツ鍋でいいか?」
再び美奈は歩くスピードを上げた。
「やっぱり訴えてやる」
「う、嘘だよ。何でも好きなものを食べさせてやる」
美奈はぴたっと足を止めると、にんまりと笑って振り返った。
「じゃあ、『河福』で許してあげます」
「……参った」
『河福』は福岡でも指折りの高級フグ料理店だ。
フルコースならば、軽く一人二万円はかかる。
「このくらいで済めば安いものですよ。後でデートする日をメール下さいね。それでは今日も元気に仕事しましょ!」
気がつくと、もう会社は目の前だった。
美奈は水上にウインクすると、早足でオフィスのあるビルに入って行った。
美奈の後ろ姿を目で追いながら、(フン、侘しい中年をからかいやがって)と水上は無理にそう決めつけた。
そうしなければ、羽根が生えたように心が舞い上がってしまいそうだった。
いつの間にか出社拒否症候群など霧散し、美奈と会った時と同じ胸を張った姿勢で、水上は堂々とオフィスのドアを開けた。
つづく・・・・
・・・・・・ お知らせ ・・・・・
『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。
『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※
閲覧方法・・・
「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。
電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。
パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。
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九・
社内でも美奈は人気がある。
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家で自分の娘が何も話してくれない不満を、会社で美奈に癒してもらっているようなものだ。
自然、会社でも美奈が行くところ、むさくるしいオジサンたちの輪ができる。
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それまで澱のように沈んでいた心の影が、鮮やかに晴れ渡っていくのを水上は感じた。
「ああ、そうさ。会社にグラマーな女の子がいないから、中洲で目の保養をしなければならないんだよ」
美奈ははっとして自分の胸を見下ろした。
「ひどい!どうせ私はグラマーじゃありませんよ」
ぷっと頬を膨らませた美奈が、持っていたバックで水上の背中を叩いた。
「おいおい、こんな道の真ん中で……」
水上は口元を緩ませながら、美奈のバックから逃げ回った。
「水上次長、今の発言はセクハラです。人事部に訴えてやるから」
「いや、澤田君、俺が悪かった。反省しているから見逃してくれ」
「ダメ、一度傷ついた乙女心は、そう簡単には治せないんですからね」
美奈は水上を置いて足早で歩いていく。
「わかった、夕食でもご馳走するから」
美奈の足取りが少しゆっくりになった。
「……何をご馳走してくれますか?」
「ラーメンかモツ鍋でいいか?」
再び美奈は歩くスピードを上げた。
「やっぱり訴えてやる」
「う、嘘だよ。何でも好きなものを食べさせてやる」
美奈はぴたっと足を止めると、にんまりと笑って振り返った。
「じゃあ、『河福』で許してあげます」
「……参った」
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フルコースならば、軽く一人二万円はかかる。
「このくらいで済めば安いものですよ。後でデートする日をメール下さいね。それでは今日も元気に仕事しましょ!」
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美奈は水上にウインクすると、早足でオフィスのあるビルに入って行った。
美奈の後ろ姿を目で追いながら、(フン、侘しい中年をからかいやがって)と水上は無理にそう決めつけた。
そうしなければ、羽根が生えたように心が舞い上がってしまいそうだった。
いつの間にか出社拒否症候群など霧散し、美奈と会った時と同じ胸を張った姿勢で、水上は堂々とオフィスのドアを開けた。
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※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは?
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