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「男の居場所」 第十一章・・・(紅殻格子)

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            「男の居場所」

十一・

洒落たアンティークな内装の部屋だった。
中央には豪華なダブルベットが置かれ、その横にパステルカラーのソファが並べられている。

一見普通のホテルにも見えるが、この部屋には窓がなく、世間から切り離された密室となっていた。
水上はソファでタバコを吹かしながら、シャワーの音が漏れる浴室の方を見ていた。

(まさかラブホテルとは・・・)

全く予想外の事態に、水上は慌てふためいた。
ただホテルの前で男が尻込みするわけにもいかず、美奈のなすがままにこの部屋までついて来たのだった。

美奈の真意はわからなかった。
勿論フク料理のお礼などではあるまい。
淫乱癖とも思えない。

ならば何故、恋愛の対象にもならない水上を誘ったのだろうか。
水上の頭は空回りするばかりだった。
シャワーの音が止み、ピンクのバスローブをまとった美奈が現れた。

「次長、寒いからバスタブにお湯を入れておいたわ。早く入らないと冷めちゃいますよ」

美奈は水上の戸惑いなど気にせず、ベッドに腰をかけて長い脚を組んだ。
丈の短い裾から桃色に上気した太股が覗く。

「あ、ああ」

その目が潰れんばかりの眩しい若さに、水上は慌てて浴室へ逃げ込んだ。
バスタブに浸かっても、水上の心は千々に乱れていた。

立ち込める湯気に微かな美奈の肌の匂いを、タイル表面に残った水滴に美奈の肌の弾力を、想った。
ぶるっと首を振った。

(やはりこれは悪夢かもしれない)

水上は崩れかけた理性を必死に取り戻そうとした。
据え膳食わぬは男の恥だが、石橋を叩いても渡らない勇気も必要だ。

(美奈の真意を聞いてからでも遅くはない)

水上は妄想を断ち切り、バスタブから出ようと立ち上がった。
その時、不意に浴室のドアが開いた。

美奈が全裸で立っていた。
水上の不埒な想像を裏切らない、若くしなやかな肢体だった。

小振りだが美しい半球を保つ乳房と、その頂点を飾る薄桃色の可憐な乳首。
全身に洗練された美しさを添えるウエストのくびれ。
脂肪の薄い下腹部を僅かに覆う柔らかそうな翳り。

それら一つ一つでも見事なパーツが、長くスリムな両脚の上で、完成された調和美を生み出している。
水上は慌てて目を逸らし、バスタブの中にしゃがみ込んだ。

「次長、背中を流してあげる」

美奈は水上の狼狽を知ってか知らずか、何事もないようにボディソープを手にした。

「さ、澤田君。こ、これは・・・」

水上の声が惨めにも裏返った。

「いいから早く出て」

美奈はバスタブに隠れる水上の手を取り、強引に引っ張り出そうとする。
目の前で美奈の淡い翳りが揺れる。

「し、しかし・・・」

「女に恥をかかせないで」

その一言が、水上のとまどいを覆い隠した。
操り人形のように立ち上がると、美奈が用意した椅子に崩れるように座り込んだ。
美奈は水上の背中を丹念に洗い始めた。

「次長はきっと私のことをふしだらな女だと軽蔑しているでしょう?」

美奈は水上の背中を擦りながら、普段の活発さがない暗い声で話した。

「両親は私が生まれるとすぐに離婚したの。だから私、父の顔も知らないし、父の愛情を受けたことがないの」

「・・・・・・・・・」

「だから甘えられる年上の男性に憧れてしまうの・・・変かな?」

美奈は背中から覆い被さり、肩越しから水上の頬にキスをした。

「い、いや・・・変ではないが・・・」

背中に密着した美奈の弾力ある乳房が、ソープのぬめりでゴムマリのように動く。

「抱いてくれないの?」

「・・・そ、それは・・・でも君の将来を考えると、そういう行為をしなくても、食事をしたりするだけでも・・・」

美奈は背後から手を伸ばし、既に硬直している水上の肉茎を握った。

「ほら、もう大きくなっている。次長がいくら格好つけても、ここは正直に私を抱きたいと言っているもん」

「・・・・・・・」

美奈は赤面する水上をバスタブの縁に座らせると、短い両脚の間に正座して肉茎を指で上下にしごき始めた。

「血のつながりがあっても、父は平気で私を捨てたわ。恐いの・・・こうして裸で愛し合っていないと、次長がどこかへ行ってしまうような気がして・・・」

美奈の桜貝のような口唇が、水上の肉茎を包み込んだ。
ゆっくりとその先端から根元までくわえこんでいく。
ねっとりと絡みつく舌が、理性を眠らせ劣情を煽り立てる。

「ねえ、ベッドに行こう」

丸く突き出した腹の下から、美奈が潤んだ瞳で誘った。
水上は夢遊病者のように、形のいい白い尻の後について浴室を出た。

つづく・・・

・・・・・・ お知らせ ・・・・・

『色褪せぬ薔薇』携帯小説サイトにて配信中です。

『色褪せぬ薔薇』 作品紹介・・・・
(電子書籍「遊スタ」より引用)
※ 来年60歳になる秀明は住宅用建材メーカーの重役で、25年前は仙台支社にて営業をしていた。単身赴任で仙台にやってきた秀明は、やがて同僚の葉子と社内不倫の関係を持つようになり、夜毎、互いに体を貪り合い、熱い情事を繰り返した。 だが、秀明が東京の本社へと戻ったことをきっかけに、ふたりは別れ離れになってしまう。 久しぶりに、仙台を訪れた秀明は、彼女に会うことにするが、そこで部下から知らされた葉子の衝撃的な事実とは? 
愛に包まれた感動のエピローグに乞うご期待!※

閲覧方法・・・

「どこでも読書」
「どこでも読書」TOP上段にあります総合検索にて「小説」→ジャンル「ハードロマン」↓「色褪せぬ薔薇」と検索いただくか?もしくは著者名にて「降矢木士朗」(ふりやぎしろう)と検索いただければご覧頂けます。

電子書籍「遊スタ」←携帯電話でご覧頂いている方は、そのままクリックでお入りいだだけます。

パソコンでご覧頂いている方には、大変、申し訳ありませんが
電子書籍「遊スタ」は携帯電話からでないと入れません。
お手数ですが携帯電話にて「遊スタ」→カテゴリ「官能小説」→「色褪せぬ薔薇」と検索してください。

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

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