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『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(五)

『人外境の花嫁』 

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八.山奥の探索者 (五)

その時、脱衣場の扉が開き、一人の女が浴場に入って来た。

月絵は目を奪われた。

浴場を占領する皺々老婆の群にあって、そのピンと張った薄い褐色の肌は、まるでしなやかな女豹を想わせた。

小ぶりで形の良い乳房と引き締まったヒップを除けば、贅肉がないアスリートのような肢体だった。

女は髪を後ろにまとめると、月絵の隣で湯船に身を浸した。

「珍しいわね。若い女性が一人で人吉の温泉に来るなんて」

掌で湯をうなじにかける女の仕草が妙に艶めいている。

三十路を越えたばかりだろうか、 鍛え上げられた体とは不釣り合いに、話しかけてきた女の容貌には、小料理屋の若女将のような色気があった。

「あ、いえ。連れの男性がいるんです」

「うふふ、恋人と婚前旅行?」

「ち、違います。仕事のパートナーです。雑誌の取材で球磨の箕面谷というところへ行くんです」

女に婚前旅行かと問われて、月絵はここに降矢木のいないことが急に哀しくなった。

(馬鹿、馬鹿・・降矢木士朗の馬鹿)

月絵の表情にふっと影が浮かんだ時、女が思わぬことを言い出した。

「あら、私の家の近くだわ。でも箕面谷には新興宗教の道場があるのよ」

「そこへ取材に行くんです」

「私は用があって主人と人吉へ来たの。今晩ここに泊まった明朝帰るんだけど、良かったら車に乗せて行ってあげましょうか?」

女はそう言って月絵を誘うと、明日の出発時間を勝手に計算し始めた。

つづく…

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『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(四)

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八.山奥の探索者 (四)

満天の星の下、月絵は一糸纏わぬ裸身を檜の香が残る湯船に浸した。

(・・先生の馬鹿)

熱い湯に揺らめく白い肌を見ながら、月絵は悔しさにぎゅっと口唇を噛んだ。

女の意地。

降矢木の鉄面皮を剥がしてやる。

月絵は畠山に連絡を取り、天神会の本部道場へニセ取材に行こうと持ちかけた。

畠山は快諾した。

そこに麻美が監禁されているかはわからない。

降矢木の言う通り、危険な宗教団体の後継者争いに巻き込まれ、秘密を知った月絵も拉致監禁されるかもしれない。

(それならそれでいい)

天神会に囚われた月絵は、手足を荒縄できりきりと縛られ、男達の前で一枚一枚着衣を剥ぎ取られるだろう。

(先生が悪いのよ)

そして身動きがとれない月絵の裸身に、獣と化した男達は、性欲を剥き出しにして襲いかかってくるだろう。

抗う月絵を嘲笑いながら、清純な処女の陰部を土足で何日も嬲り続けるのだろう。

月絵は下腹部がジュンと潤むのを覚えた。

「いけない、いけないわ」

慌てて淫らな妄想を振り払った月絵は、明日の行程をわざとらしく頭の中で整理してみた。

今晩人吉市に入った月絵と畠山は、警察署へ出向いて、地図に載っていない箕面谷の場所を確認した。

そこは道があるかも不確かな山奥だった。

人吉市から球磨川沿いに九州山地へ入った陸の孤島である。

警察署の係官は、レンタカーを借りなければ行けないと教えてくれた。

明朝、駅前のレンタカー店へ戻ることを考えれば、ここ翠風楼を八時に出ればいいだろうと月絵は目算を立てた。

つづく…

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『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(三)

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八.山奥の探索者 (三)

降矢木は冷ややかな視線を月絵に投げた。

「君はどうして直情的なんだ。よく考えてみたまえ。私が語っているのはあくまで推論の世界だ」

証拠は何一つない。

麻美を天神会が拉致したことも、麻美が乱裁道宗の娘であることも、今のところ全て降矢木の空想の産物に過ぎない。

月絵は眦を吊り上げた。

「確かに先生の推理です。でも可能性があるなら、行動すべきではないでしょうか。先生は麻美さんを助けたくないんですか? 愛している女性を見殺しにできるんですかっ?」

降矢木はふんと鼻を鳴らした。

「愛しているか否かは別として、これは秋月さんが警察に捜査依頼するのが筋だ。天神会は凶暴な一面を隠している可能性がある。素人が係わる事件ではない」

「でも、麻美さんは今もどんな酷い目に遭わされているかわからないんですよ」

「天神会が後継者として拉致したのなら、藤野さんの命に別条はないはずだ」

降矢木の言うことは正しいのだろう。

だが月絵は、好意を持つ女性がさらわれたのに、冷静すぎる降矢木の態度に女として腹が立った。

「きっと、先生は私が誰かに誘拐されても、そうして取り乱すこともなく対応されるんでしょうねっ!」

月絵はぷっとむくれて捨て台詞を吐くと、べそ顔を隠すために、足早に降矢木ファーマシーから飛び出した。

つづく…

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『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(二)

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八.山奥の探索者 (二)

仲居の助けを借りて、酔いつぶれた畠山を彼の部屋まで運ぶと、月絵は一人で浴場へ向かった。

「畠山さんったら・・一緒にきてくれるのは嬉しいけど、あれでいざと言う時に頼りになるのかしら?」

月絵はぶつぶつ独りごちながら、脱衣場で浴衣の帯を解き始めた。

二人は球磨箕面谷へ向かう途上にあった。

拉致された藤野麻美を捜しに、明日天神会の本部を訪れる予定だった。

 一昨日、乱裁道宗の正体が足立寛三とわかるや、降矢木は畠山が面識のある東京支部長に面談を申し入れた。

するとその東京支部長は、重要幹部が集まる歓喜天浴油祈祷が、急遽本部道場で開かれることになったため、しばらく東京を不在にすると断わってきた。

降矢木は推論した。

「おそらく藤野さんは、箕面谷にある本部道場で監禁されているはずだ」

「先生、それはどうして?」

「うん、歓喜天浴油祈祷は、聖天崇拝において秘法中の秘法とされている。それが急遽開かれるということは、教団内でよほど重大な動きがあるに違いない」

「・・後継者問題?」

「そうだ。もし藤野さんが乱裁道宗の娘であるならば、歓喜天浴油祈祷でお披露目されるに違いない」

月絵の降矢木を見つめる瞳が、ピンクのハートマークに変わった。

「すごい、先生・・あっ、それならすぐに麻美さんを助けに行きましょうよ!」

「それは止めた方がいい」

ハートマークになった月絵の瞳は、その一言で白抜きの小さな点に変わった。

つづく…

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『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(一)

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八.山奥の探索者 (一)

熊本県人吉市。

球磨川沿いの盆地に開けたこの街は、南九州における交通の要所で、古くは相良氏の城下町として栄えた。

今も球磨人吉地方の中核都市でありながら、往時の賑わいを偲ばせる古い街並を残している。

翠風楼。

桂太郎公爵が命名した明治創業の旅館は、北原白秋や斎藤茂吉、与謝野鉄幹晶子など、多くの文人に愛された人吉の温泉宿である。

球磨で名所は 青井さんの御門

前は蓮池 桜馬場 ヨイヤーサー

桜馬場から 薩摩瀬見れば

殿の御前に 鶴が舞う ヨイヤーサー

遠く三味線の音とともに、歯切れのよい節回しがどこか懐かしく聞こえてきた。

「あれは球磨の六調子という民謡ですわ、ええ、球磨地方の祝い唄でね、古い方は宴席があると今もよく唄われますなあ」

夕食を片づける仲居が、今夜は地元敬老会の集まりがあると教えてくれた。

浴衣姿の吉水月絵が尋ねる。

「球磨と言えば、やっぱり米焼酎ですよね。でもこの焼酎はアルコール度数が三十五度もあるんですね」

「ええ、お嬢さんにはちょっときついかもしれませんね」

「全然。オンザロックには丁度いいぐらいの度数です」

「強いんですねえ、でもお連れさんはもう酔いつぶれていらっしゃるみたいですが・・」

仲居が目を遣った先には、畠山健一が顔を真っ赤にして、息も絶え絶えの様で畳に引っくり返っていた。

つづく…

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『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(二十三)

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七.迷宮の案内者 (二十三)

一同無言で顔を見合わせた。

そこで畠山がぽつりと呟くように言った。

「これは密かに教えてもらった情報ですが、天神会は現在、後継者選びで分裂の危機にあるそうですよ」

「何っ、詳しく話したまえ」

身を乗り出した降矢木に、思わず畠山は吃驚して上半身を反らせた。

乱裁道宗は今年八十一歳になる。

ところが教団が急に拡大したため、次代乱裁を名乗る後継者が決まっていないと言う。

現在、四天王と呼ばれる教団の実力者は、東京、名古屋、大阪、福岡の主要支部を管轄している。

それぞれ四十代の若さで、もし後継指名されなければ、天神会を割って分派独立する可能性が強いらしい。

「だから乱裁に後継者となる子供でもいればよかったのでしょうが・・」

そう言いかけて、畠山ははっと掌で口を押さえた。

降矢木はにやっと笑った。

「そう、もし乱裁道宗が足立寛三であれば、麻美さんは彼の近親者、否、娘に当たる可能性も否定はできない」

だが金治が横から口を挟んだ。

「だが寛三兄貴には、香具師の頃に別れた妻と娘がおった」

「天神会が何かサンカと関連があるならば、その後継者はサンカの血を引く者である方がいい。畠山君、そのホームページに乱裁道宗の写真は掲示されていないのかね?」

「あ、あります」

畠山はノートバソコンの画面を金治の目の前で開いた。

乱裁道宗。

仙人のような白髪白髭の老人。

目を凝らした金治の表情が強張った。

「・・寛三兄貴だ。年は取っているが、若い頃の兄貴の面影が残っている」

絞り出すような金治の言葉に、周囲の四人はしばらく誰もが口を噤んでいた。

つづく…

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『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(二十二)

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七.迷宮の案内者 (二十二)

降矢木も僅かに寂しげな表情を見せた。

「日本から闇が無くなったということだ」

「闇ですか?」

「そう。文明の進歩は、この国から人外の異界を干上がらせてしまった。平安時代、都の外は鬼が棲む闇の領域だった。そこは人間の知性が届かぬ異界であり、恐怖と畏敬が常に隣り合わせで存在していた」

「ええ、確かに現代は情報手段の発達で、日本全体が同じ価値観を共有していますね」

「文明がもたらすものは画一化だ。多様性は自律的に排除され、他人と同じであることが無意識に強制される」

降矢木の言葉は厳しい。

文明に刷り込まれた価値観は、本来自由で多様化すべき人間を一つの型に嵌め込んでしまうのである。

「異質なものは世の中に潰される。サンカの漂泊生活然り、水上生活者も、乞食という職業もね」

「・・他人と同じであることが、幸せの必要最低条件だと・・」

「そうだ。だからサンカは戸籍もなく漂泊していられなくなった。溶け込みと言って、定住することを選んだのだよ。漂泊生活で、学校へも通わない子供の将来が、この国では許されないと悟ったのかもしれないね」

むろんプラスチック製品に押されて、竹細工の箕が売れなくなったこともあるが、世相が異界人を許すゆとりがなくなったのかもしれない。

つづく…

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『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(二十一)

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七.迷宮の案内者 (二十一)

三角寛は、その実地調査記録とも言うべき『山窩物語』の中で、サンカの大親分である乱裁道宗について述べている。

そもそも道宗は、平安時代中期、関白藤原道隆が下賤な女に産ませた隠し子だった。

神罰を恐れた道隆は、八歳の道宗を丹波の山奥へ捨てさせた。

その際に多くの家臣が道宗とともに山へ入ったと言う。

道宗は乱裁の姓を名乗り、家臣達と共に山奥に住む民の首長となった。

サンカの持つ箕つくりや薬草の知識、猟、セブリでの移動生活などは、乱裁道宗が創始者であり、サンカは独自の生活スタイルを
構築して発展した。

彼等は厳格な身分制度をつくり、乱裁道宗を頂点とした組織は全国の山奥に住むサンカへ分散していった。

爾来、全国サンカの統領は、乱裁道宗とか丹波道宗などと称され、歴史の陰で脈々と世襲制で受け継がれていくのである。

秋月は感心してうなった。

「壮大な話だねえ」

「まあ、三角寛が考えたのか、誰かの入れ知恵だったのかはわかりませんが、恐ろしいほどの妄想力だと思いますね。


ただサンカの始祖を乱裁道宗だとすると、神代文字と似たサンカ文字の由来は怪しくなるのですがね」

そう言うと、降矢木はやや皮肉っぽい表情で笑った。

月絵が訊ねた。

「でも先生、すると天神会は名を替えたサンカの集団かもしれませんね」

「いや、サンカの漂泊生活は、昭和四十年代には観察されなくなっている」

「えっ、それならサンカはどこへ行ってしまったんですか?」

山奥の獣道を家族で歩くサンカを思い浮かべながら、月絵はどこか切ない気持で降矢木に確かめた。

つづく…

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『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(二十)

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七.迷宮の案内者 (二十)

畠山はパソコンでインターネットを検索し始めた。

「先月、我が社で『日本の宗教結社』という雑誌を出版しました。ちょっとカルトがかった内容ですが、その際に天神会と名乗る団体を取材したんです」

「何、天神会じゃと・・わしが降矢木君に相談しようと思った連中じゃないか」

驚いた金治は、ホームレス狩りの高校生が何者かに襲われた事件と、最近横浜でホームレスに慈善活動をする天神会について掻い摘んで話した。

畠山はホームページをクリックしながら、天神会について説明を始めた。

「天神会のホームページを見ると、熊本県球磨郡箕面谷に本部道場があります」

「み、箕面谷にじゃと・・」

昭和六十年に設立された天神会は、弱者救済の功徳によって、現世利益が叶うとする新興宗教団体だった。

本尊には聖天様と親しまれる歓喜天を祀り、公称では五千人の会員を擁している。

自営農場の農作物を使った炊き出しなど、全国でホームレスの保護活動を積極的に行っていた。

「代表者は乱裁道宗・・アヤタチミチムネと読むようですが・・」

「何、乱裁道宗だって?」

興味深そうに畠山の話を聞いていた降矢木が、立ち上がって『サンカ研究』のページを捲った。

「三角寛によれば、乱裁道宗は全国サンカ集団の最高権威者だったと言う」

「えっ、すると天神会を主宰する乱裁は、サンカの親分だということですか?」

月絵の問いかけに、降矢木はサンカ社会の始祖伝承を語り始めた。

つづく…

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『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(十九)

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七.迷宮の案内者 (十九)

降矢木が金治に質問した。

「ミソククリの少女と出逢った場所が、球磨郡箕面谷だったのですね?」

「確かそう川嶋が言っておったわ。箕面谷には、かつては一木集落と呼ばれた山深い部落があった。そこは西山親分の故郷で、縁日に現れた少女に寛三兄貴は惚れてしまったようだったと」

「だとすれば、横浜から失踪した寛三さんが箕面谷のサンカの一群に加わった可能性も考えられますね」

長年修羅場を潜って来た金治も、余りの偶然と歴史の巡り合わせにしばし呆然としていた。

降矢木が自分の頭を整理した。

「昭和三十年頃、吉水さんの兄貴分にあたる足立寛三が、横浜での香具師を辞めて失踪した。その後どうなったかわからないが、昭和四十八年、麻美さんの母親と思われる大阪在住の女性に手紙を送った。それはサンカ文字で球磨郡箕面谷と書かれており、足立寛三が興味を抱いたサンカの少女がいた場所と同定できる」

月絵が反論した。

「でもパパが知っている足立寛三さんが、麻美さんの母親と知り合いであったとしても、それが今回の誘拐事件とどう関連してくるんですか?」

「ふん、むろん関係はないさ」

「だったらサンカ云々より、麻美さんの交友関係にトラブルがあったと考えるのが正しいのではないですか?」

「・・・・」

沈黙する降矢木を尻目に、畠山が鞄から取り出したノートパソコンを開いた。

つづく…

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
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