『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(十五)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (十五)
サンカの写真だった。
そこにはサンカの一家族を追ったドキュメントがあった。写真の中でサンカと呼ばれる人々は、テントのような住居に住み、箕を作ったり、焼湯と言う露天風呂に入ったりしている。
「乳房丸出しで・・焼湯?」
「畠山君、そこに注目するかね。焼湯とは川辺の窪地をテントで覆い、そこに焼いた石を入れる簡易露天風呂だよ」
明らかに厭そうな表情で、降矢木はそう畠山の愚問に答えた。
ここに疑惑があると降矢木は畠山の妄想を遮った。
「これは三角の娘さんの話だが、サンカは知り合いの一家族だけで、後はエキストラだったとも言われている。三角が前以って着物を渡して、都合がいいように彼等を演出したとも言われている」
「それってヤラセじゃないですか。三角寛が名誉のためにサンカを歪曲したのですね?」
月絵は学問への冒瀆だと憤った。
「まあ確かなことはわからないが、現在流布している超人的異民族のサンカは、ほとんどが三角の創作とするのが定説になっている」
「でも先生・・実際にインチキだとされているサンカ文字が、麻美さんの部屋にあったのは偶然でしょうか?」
「うん、昭和初期のオカルトが、現代に生き返ったみたいな話だな」
降矢木はため息をつくと、懐手をして天井を睨みつけた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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「畠山君、そこに注目するかね。焼湯とは川辺の窪地をテントで覆い、そこに焼いた石を入れる簡易露天風呂だよ」
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ここに疑惑があると降矢木は畠山の妄想を遮った。
「これは三角の娘さんの話だが、サンカは知り合いの一家族だけで、後はエキストラだったとも言われている。三角が前以って着物を渡して、都合がいいように彼等を演出したとも言われている」
「それってヤラセじゃないですか。三角寛が名誉のためにサンカを歪曲したのですね?」
月絵は学問への冒瀆だと憤った。
「まあ確かなことはわからないが、現在流布している超人的異民族のサンカは、ほとんどが三角の創作とするのが定説になっている」
「でも先生・・実際にインチキだとされているサンカ文字が、麻美さんの部屋にあったのは偶然でしょうか?」
「うん、昭和初期のオカルトが、現代に生き返ったみたいな話だな」
降矢木はため息をつくと、懐手をして天井を睨みつけた。
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