『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(十七)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (十七)
その時、薬局の自動ドアが開いた。
「パパ」
驚く月絵の目線の先に、杖をついた白髪白髭の老人が立っていた。
吉水金治。
「降矢木君に相談があっただが、何やら忙しそうじゃな」
金治は薬局の中を見渡すと、好々爺然とした表情をつくった。
秋月は応接ソファから立ち上がった。
「親分さん、どうぞこちらへ」
「秋月君、親分は止めてくれよ。もうワシはただの隠居じゃよ」
「はっ、申し訳ございません」
頭を下げる秋月の肩を叩いて、金治はゆっくりした動きでソファに腰かけた。
「おや、そちらの方はどなたかな?」
金治の視線が向いただけで、畠山は青い顔をして震え上がった。
「わ、わ、わたくしは・・」
畠山が自己紹介しようと口ごもった時、秋月が傍から金治に耳打ちした。
「この男は雑誌の編集者で、月絵ちゃんをヌードモデルに勧誘しようと・・」
「あっ、秋月さん、勘弁して下さい。私はそんな恐ろしいことなど・・」
畠山はいきなり床に這いつくばると、米搗バッタのように何度も平伏して見せた。
「月絵もヌードモデルになれるぐらい色気があればのお・・残念ながらまだまだおぼこ娘じゃからなあ」
金治が笑いながら顔を向けた先では、降矢木が頭を抱えて何かぶつぶつ呟いていた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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「降矢木君に相談があっただが、何やら忙しそうじゃな」
金治は薬局の中を見渡すと、好々爺然とした表情をつくった。
秋月は応接ソファから立ち上がった。
「親分さん、どうぞこちらへ」
「秋月君、親分は止めてくれよ。もうワシはただの隠居じゃよ」
「はっ、申し訳ございません」
頭を下げる秋月の肩を叩いて、金治はゆっくりした動きでソファに腰かけた。
「おや、そちらの方はどなたかな?」
金治の視線が向いただけで、畠山は青い顔をして震え上がった。
「わ、わ、わたくしは・・」
畠山が自己紹介しようと口ごもった時、秋月が傍から金治に耳打ちした。
「この男は雑誌の編集者で、月絵ちゃんをヌードモデルに勧誘しようと・・」
「あっ、秋月さん、勘弁して下さい。私はそんな恐ろしいことなど・・」
畠山はいきなり床に這いつくばると、米搗バッタのように何度も平伏して見せた。
「月絵もヌードモデルになれるぐらい色気があればのお・・残念ながらまだまだおぼこ娘じゃからなあ」
金治が笑いながら顔を向けた先では、降矢木が頭を抱えて何かぶつぶつ呟いていた。
つづく…
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