『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(十二)
『人外境の花嫁』
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八.山奥の探索者 (十二)
月絵は菜穂とその主人を慌てて捜した。
「長旅御苦労様だったわね」
あろうことか、菜穂とその猿面の主人は若者達の輪の中心にいた。
「ど、どうして、菜穂さん」
怯えた表情で月絵が尋ねると、菜穂はさも愉快そうに大きな笑い声をあげた。
「全くお気楽で呑気なお嬢様だね。この子猿とあたしは天神会の幹部さ。あんた達が箕面谷へ行くと聞いて、温泉宿で待ち伏せしていたんだよ」
「ま、待ち伏せ・・嘘よ、あの翠風楼で初めて会ったはずでしょう?」
動揺する月絵を菜穂は嘲笑った。
「あんた達、人吉に着いた時、警察署で箕面谷への生き方を確認していたわよね?」
「・・まさか、警察署が?」
「天神会を訪れようとするよそ者は全員チェックされているのさ。鉄道の売店、高速道路のサービスエリア、レンタカーの店員からバスの運転手に至るまで、人吉での行動はすべて監視されているってことさ」
天神会の組織は、全国の各都市に情報網を構築していると言う。
特にお膝元の人吉市では、警察や消防などの行政機関にも信者を潜り込ませているらしい。
月絵はあっと声を漏らした。
警察にまで浸透する天神会の組織力に、月絵はただ唖然とするしかなかった。
菜穂が手を上げた。
「雑誌の取材ぐらいなら許してあげたけど、横浜でさらわれた女性を取り返しに来たとなると、このまま帰すわけにはいかないわね」
すると若者達の輪が狭まり、車酔いの畠山はいとも簡単に捕らえられてしまった。
「あ、厭っ!」
そして月絵には、子猿と呼ばれる猿面の男が背後から抱きついて来た。
物凄い力である。
空手初段の月絵でも身動きできない。
「クックッ、これは思った通りの上玉だ。たっぷりと俺のチンポで仕込んでやるからな」
男はニヤッと笑うと、じゅるっと唾を呑み込んで舌舐めずりした。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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怯えた表情で月絵が尋ねると、菜穂はさも愉快そうに大きな笑い声をあげた。
「全くお気楽で呑気なお嬢様だね。この子猿とあたしは天神会の幹部さ。あんた達が箕面谷へ行くと聞いて、温泉宿で待ち伏せしていたんだよ」
「ま、待ち伏せ・・嘘よ、あの翠風楼で初めて会ったはずでしょう?」
動揺する月絵を菜穂は嘲笑った。
「あんた達、人吉に着いた時、警察署で箕面谷への生き方を確認していたわよね?」
「・・まさか、警察署が?」
「天神会を訪れようとするよそ者は全員チェックされているのさ。鉄道の売店、高速道路のサービスエリア、レンタカーの店員からバスの運転手に至るまで、人吉での行動はすべて監視されているってことさ」
天神会の組織は、全国の各都市に情報網を構築していると言う。
特にお膝元の人吉市では、警察や消防などの行政機関にも信者を潜り込ませているらしい。
月絵はあっと声を漏らした。
警察にまで浸透する天神会の組織力に、月絵はただ唖然とするしかなかった。
菜穂が手を上げた。
「雑誌の取材ぐらいなら許してあげたけど、横浜でさらわれた女性を取り返しに来たとなると、このまま帰すわけにはいかないわね」
すると若者達の輪が狭まり、車酔いの畠山はいとも簡単に捕らえられてしまった。
「あ、厭っ!」
そして月絵には、子猿と呼ばれる猿面の男が背後から抱きついて来た。
物凄い力である。
空手初段の月絵でも身動きできない。
「クックッ、これは思った通りの上玉だ。たっぷりと俺のチンポで仕込んでやるからな」
男はニヤッと笑うと、じゅるっと唾を呑み込んで舌舐めずりした。
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