『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(二十)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (二十)
畠山はパソコンでインターネットを検索し始めた。
「先月、我が社で『日本の宗教結社』という雑誌を出版しました。ちょっとカルトがかった内容ですが、その際に天神会と名乗る団体を取材したんです」
「何、天神会じゃと・・わしが降矢木君に相談しようと思った連中じゃないか」
驚いた金治は、ホームレス狩りの高校生が何者かに襲われた事件と、最近横浜でホームレスに慈善活動をする天神会について掻い摘んで話した。
畠山はホームページをクリックしながら、天神会について説明を始めた。
「天神会のホームページを見ると、熊本県球磨郡箕面谷に本部道場があります」
「み、箕面谷にじゃと・・」
昭和六十年に設立された天神会は、弱者救済の功徳によって、現世利益が叶うとする新興宗教団体だった。
本尊には聖天様と親しまれる歓喜天を祀り、公称では五千人の会員を擁している。
自営農場の農作物を使った炊き出しなど、全国でホームレスの保護活動を積極的に行っていた。
「代表者は乱裁道宗・・アヤタチミチムネと読むようですが・・」
「何、乱裁道宗だって?」
興味深そうに畠山の話を聞いていた降矢木が、立ち上がって『サンカ研究』のページを捲った。
「三角寛によれば、乱裁道宗は全国サンカ集団の最高権威者だったと言う」
「えっ、すると天神会を主宰する乱裁は、サンカの親分だということですか?」
月絵の問いかけに、降矢木はサンカ社会の始祖伝承を語り始めた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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畠山はホームページをクリックしながら、天神会について説明を始めた。
「天神会のホームページを見ると、熊本県球磨郡箕面谷に本部道場があります」
「み、箕面谷にじゃと・・」
昭和六十年に設立された天神会は、弱者救済の功徳によって、現世利益が叶うとする新興宗教団体だった。
本尊には聖天様と親しまれる歓喜天を祀り、公称では五千人の会員を擁している。
自営農場の農作物を使った炊き出しなど、全国でホームレスの保護活動を積極的に行っていた。
「代表者は乱裁道宗・・アヤタチミチムネと読むようですが・・」
「何、乱裁道宗だって?」
興味深そうに畠山の話を聞いていた降矢木が、立ち上がって『サンカ研究』のページを捲った。
「三角寛によれば、乱裁道宗は全国サンカ集団の最高権威者だったと言う」
「えっ、すると天神会を主宰する乱裁は、サンカの親分だということですか?」
月絵の問いかけに、降矢木はサンカ社会の始祖伝承を語り始めた。
つづく…
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