『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(十)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (十)
そもそもサンカとは、山窩、山家、散家とも書かれ、地域によってテンバ、ポンス、オゲ、カワハラコジキ、カンジン等、まちまちの名前で呼ばれる。
サンカの生活形態については、民俗学者の後藤興善が、『又鬼と山窩』の中で次のように記述している。
「彼等は、定住して農を業とせず、山裾や川原に小屋を掛け、テントを張って、箕、籠、簓、風車などの竹細工をなし、下駄或いは棕櫚箒などを作り、河川の魚を漁し、山の自然薯を掘り、猟もし、その手細工品や獲物を近くの村や町に売り鬻いで生活してゐる」
また、同じく柳田國男は、『イタカ及びサンカ』という著作で触れている。
「若し、夫れ漂泊するサンカに至りては、旅人、若し少しく注意すれば、瘻々途上にて遭遇することを知るなるべし。衣類など著しく普通民より不潔にして、眼光の農夫に比して遥に鋭き者、妻を伴ひ小児を負ひ、大なる風呂敷に二貫目内外と思はるる小荷物を包み、足拵へなどは随分甲斐々々しきが、さも用事ありげに急ぎ足にて我々とすれちがふことあり。これ大抵は、サンカ也」
降矢木の暗誦を聞きながら、月絵は小首を傾げた。
「柳田國男って言ったら、民俗学の第一人者じゃないですか・・でも柳田國男が著作を残しているのに、あまりサンカのことは世間に知られていませんね」
「そうだね、月絵君。眼光の鋭き者と言う件などは、『遠野物語』に登場する山人を思わせるじゃないか」
月絵の指摘に対して、降矢木は嬉しそうに微笑んだ。
つづく…
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「彼等は、定住して農を業とせず、山裾や川原に小屋を掛け、テントを張って、箕、籠、簓、風車などの竹細工をなし、下駄或いは棕櫚箒などを作り、河川の魚を漁し、山の自然薯を掘り、猟もし、その手細工品や獲物を近くの村や町に売り鬻いで生活してゐる」
また、同じく柳田國男は、『イタカ及びサンカ』という著作で触れている。
「若し、夫れ漂泊するサンカに至りては、旅人、若し少しく注意すれば、瘻々途上にて遭遇することを知るなるべし。衣類など著しく普通民より不潔にして、眼光の農夫に比して遥に鋭き者、妻を伴ひ小児を負ひ、大なる風呂敷に二貫目内外と思はるる小荷物を包み、足拵へなどは随分甲斐々々しきが、さも用事ありげに急ぎ足にて我々とすれちがふことあり。これ大抵は、サンカ也」
降矢木の暗誦を聞きながら、月絵は小首を傾げた。
「柳田國男って言ったら、民俗学の第一人者じゃないですか・・でも柳田國男が著作を残しているのに、あまりサンカのことは世間に知られていませんね」
「そうだね、月絵君。眼光の鋭き者と言う件などは、『遠野物語』に登場する山人を思わせるじゃないか」
月絵の指摘に対して、降矢木は嬉しそうに微笑んだ。
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