『人外境の花嫁』八.山奥の探索者(十四)
『人外境の花嫁』
FC2 Blog Ranking
八.山奥の探索者 (十四)
尋常な集団ではない。
もし降矢木の名前を出せば、本気で殺しに行きかねないと月絵は恐れた。
(先生、ごめんなさい)
月絵は悪戯をして叱られた子供のような心境になった。
意地になって降矢木の制止を無視し、箕面谷へ来たのは月絵の自業自得である。
しかも畠山を巻き添えにし、降矢木にまで危険が及ぶとなれば、我が身を犠牲にしてでも防がなければならない。
月絵は菜穂に答えた。
「麻美さんを天神会が誘拐したと推理したのは私です。畠山さんは何も関係ありません。畠山さんだけでも、ここから帰してあげてくれませんか?」
畠山はぶるぶると顔を横に振った。
「月絵ちゃん、理由はどうあれ、君だけをここに残すわけには男としてできないよ」
「畠山さん・・」
「君の・・想いはわかっているつもりだ。そのためにも、僕はどんなことがあっても君を守らなければならない」
畠山は子猿に尻を蹴飛ばされながらも、真剣な表情で月絵に訴えた。
菜穂はふんと鼻で笑った。
「おやおや、心に沁み入る人情噺がこんなところで聞けるとはねえ。でも落語はここまでさ。あんた達二人はもちろん、他にも天神会を脅かすような人間がいるのなら、今すぐにでもこの世から抹殺してやるからさ」
「・・・・」
「ふふ、すぐに話したくなるさ。洗脳って言葉を知っているかしら。天神会では体覚醒と言うんだけど、この道場へ足を踏み入れて、
天神会に服従しなかった人間はいないのさ」
不気味に笑う菜穂に、月絵はぞっと背筋が冷たくなった。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
にほんブログ村
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
FC2 Blog Ranking
八.山奥の探索者 (十四)
尋常な集団ではない。
もし降矢木の名前を出せば、本気で殺しに行きかねないと月絵は恐れた。
(先生、ごめんなさい)
月絵は悪戯をして叱られた子供のような心境になった。
意地になって降矢木の制止を無視し、箕面谷へ来たのは月絵の自業自得である。
しかも畠山を巻き添えにし、降矢木にまで危険が及ぶとなれば、我が身を犠牲にしてでも防がなければならない。
月絵は菜穂に答えた。
「麻美さんを天神会が誘拐したと推理したのは私です。畠山さんは何も関係ありません。畠山さんだけでも、ここから帰してあげてくれませんか?」
畠山はぶるぶると顔を横に振った。
「月絵ちゃん、理由はどうあれ、君だけをここに残すわけには男としてできないよ」
「畠山さん・・」
「君の・・想いはわかっているつもりだ。そのためにも、僕はどんなことがあっても君を守らなければならない」
畠山は子猿に尻を蹴飛ばされながらも、真剣な表情で月絵に訴えた。
菜穂はふんと鼻で笑った。
「おやおや、心に沁み入る人情噺がこんなところで聞けるとはねえ。でも落語はここまでさ。あんた達二人はもちろん、他にも天神会を脅かすような人間がいるのなら、今すぐにでもこの世から抹殺してやるからさ」
「・・・・」
「ふふ、すぐに話したくなるさ。洗脳って言葉を知っているかしら。天神会では体覚醒と言うんだけど、この道場へ足を踏み入れて、
天神会に服従しなかった人間はいないのさ」
不気味に笑う菜穂に、月絵はぞっと背筋が冷たくなった。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
にほんブログ村
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。