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『独りぼっちの部屋』 ・・・第十五章

『独りぼっちの部屋』
  第十五章
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ユウ君とは大学生の名前で、年下の男を呼ぶ人妻の声は妙に艶っぽかった。
どうやら人妻は、大学生が家庭教師をしている中学生の母親らしい。
娘の家庭教師に入れあげた母親が、禁じられた恋心を胸に押しかけて来たのだ。

「でも奥さん、ご主人は抱いてくれないの?」

「あん、主人なんて刺激がないし・・汚いから厭・・私、もうユウ君じゃないと感じないの・・欲しい・・」

ギシッとベッドが軋む音がした。
会話が途絶え、唾液が絡み合う音が次第に大きくなる。
ビールの缶を置いて、隆正は隣室との壁へ耳を押し当てた。

(あの夕暮れも・・)

まるでデジャヴのように、母の情事を壁越しに聞いた胸の高鳴りが蘇ってくる。
狂わんばかりに男を求める女が、啜り泣きとともに隆正の下腹部へ噛みつく。
人妻の喘ぎ声は、地味な容貌からは想像できない獣の咆哮へと変わっていった。

「好き、ユウ君が好きなの・・ああ、もっと強く抱いて・・激しく犯して!」

人妻が大学生に蹂躙されている。
生きる智慧も人生経験も豊かな女でありながら、年端も行かぬ若者に、法悦の彼岸を突き歩かされているのだ。

隣室から伝わる情事に、隆正は昂ぶる肉茎を鎮め始めた。
人妻はうわ言のように口走った。

「あうっ、ユウ君だけ、ユウ君だけよ・・私を女として愛してくれるのは・・」

「女として?」

「そうよ、ユウ君がいなかったら、私は妻として母として、夫と子供の世話をして死んでいくだけ・・でも私は女・・淫らな女よ・・私が女に戻れるのはユウ君といる時だけなの!」
つづく… 
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『独りぼっちの部屋』 ・・・第十四章

『独りぼっちの部屋』
  第十四章
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隆正は缶ビールを開けた。

(子供の頃に戻ったようだ)

さすがに台所とトイレは共用ではなかったが、この部屋は横浜のアパートを彷彿とさせた。
肩肘を張らなくていい気楽さと安堵感があった。

すっかり部屋に馴染んだ隆正は、これが身の丈に合った暮らしなのかと思い知らされた。
隆正は耳を澄ませた。

「ああん、厭よ・・隣に聞えちゃうわ・・」

「・・もっと挑発してあげれば・・お隣は侘しい単身赴任のサラリーマンだから、色っぽい喘ぎ声がおかずになるんだよ」

偶然、この懐かしいアパートには、もう一つの密かな楽しみがあった。
少年時代に暮らしたアパートと同様、安普請の壁から隣室の声が洩れ聞こえるのだ。
先ほど外廊下で会った女の声は、すでに体を弄られているのか、呼吸を荒げて艶かしさを帯びていた。

隣の大学生は、代わる代わる女を部屋へ連れ込んでいた。
まだあどけなさが残る子供っぽい顔立ちだが、相当なやり手らしく、高校生からOLまで、片手にあまる女の艶声を隆正は聞かされていた。

だが今日初めて会った人妻には隆正も驚いた。
スーパーへ行けばいくらでも見かける平凡な主婦だった。

二の腕がぷよぷよした小太りで、久しぶりの念入りな化粧だったのか、素顔がわからないほど厚く塗りたくっていた。
密やかな会話が続く。

「今日はどうやって家を出てきたの?」

「主婦仲間とランチするって・・ああ、もっと強く・・」

「由紀ちゃんは?」

「ああん・・今日は中学の部活でいないわ・・」

「じゃ、ご主人は独りぼっち?」

「やめて、主人のことなんか・・せっかくユウ君に会いに来たんだから・・」
つづく… 
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『独りぼっちの部屋』 ・・・第十三章

『独りぼっちの部屋』
  第十三章

そこはがらんとした六畳間だった。
ぽつんとテレビが置かれている以外、家財道具は何一つなかった。

日焼けして毛羽立った畳、煙草のヤニで茶色くなった壁紙、そして埃を被った蛍光灯の笠が、古びた部屋をいっそううらぶれさせている。
木枠でできた窓の外には、錆びついた鉄の手すりがあり、前の住人が残した丸い物干しハンガーが風に揺れていた。
部屋に入ると、ここ数日締め切っていたせいか、澱んだ黴臭い空気が鼻をついた。

(ああ、落ち着くなあ・・)

窓を開け放って初夏の風を入れると、隆正は六畳間の真ん中で大の字に寝転んだ。
そしてべこべこに歪んだ天井板を見上げて、ほっと安堵のため息を吐いた。

この部屋は、小枝子に内緒で借りている隠れ家だった。
一ヶ月前、帰宅拒否症気味だった隆正は、吐き気がして一つ手前の駅で電車を下りた。

帰らなければと焦れば焦るほど、足は古河家から遠ざかって行く。
ふらふらと商店街まで辿り着いた隆正は、このアパートに居住者募集の張り紙が貼ってあるのを見つけた。

密かに隆正は部屋を借りる契約を不動産屋と結んだ。
家賃は小遣いで賄えた。
近くの電器屋でテレビを買い、単身赴任者を装ってアパートに紛れ込んだ。

古河家から近いため、隆正は小枝子にばれないよう細心の注意を払った。
接待と偽って会社の帰りに立ち寄ったり、今日のように休日出勤と偽って訪れたりした。

ところがこの部屋へ来ても、隆正は特に何かをするわけではなかった。
テレビを見たり、雑誌を読んだり、昼寝をしたり、そんな無為な時間を過ごすことで、隆正は古河家で暮らすストレスを癒していた。
つづく… 
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『独りぼっちの部屋』 ・・・第十二章

『独りぼっちの部屋』
  第十二章
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古河家が建つ高台のお屋敷町から、三十分ほどゆるやかな坂道を下ると、半ば暗渠になった汚いどぶ川が流れている。
東京都T区F町。
その細長い谷地に沿って、小さな店が立て込んだ昔ながらの商店街がある。

土曜日の昼下がり、隆正は肉屋から漂うコロッケの匂いを嗅ぎながら、酒屋で買ったビール缶を片手に、懐かしい佇まいを残した店先を冷やかしていた。
金物屋、瀬戸物屋、豆腐屋、お茶屋、帽子屋など、今ではあまり見かけない商店が軒を連ねている。

そして裏通りには、庭のない狭小住宅と木造トタン外装のアパートが群をなし、人が一人通れるぐらいの路地が入り組んでいた。
その雑然とした風景は、かつて住んでいた横浜の下町にどこかよく似ていた。

隆正は一軒のアパートに足を踏み入れた。
骨董品級の木造二階建てで、安っぽい外づけの鉄階段が二階へ通じている。

カンカンと音を立てて隆正は階段を上がった。
二階の外通路には扉が二つ並んでいる。隆正が手前の201号室を開けようとした時、誰かが階段を上がってくる音がした。
ラフなジーンズ姿の若い男と中年の女だった。

「こんにちは」

男はニヤッと笑って隆正に挨拶した。
202号室に住む大学生だった。
女も男の背中に隠れて軽く会釈した。

「やあ、今日はいい天気だね」

隆正はありきたりな挨拶を返しながら、連れている女の様子を窺った。
三十代後半ぐらいだろうか、地味な容貌と出で立ちで、左手の薬指に結婚指輪を嵌めている。
だが隆正はそれ以上のことは詮索せず、鍵を開けて201号室に入った。
つづく… 
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『独りぼっちの部屋』 ・・・第十一章

『独りぼっちの部屋』
  第十一章

小枝子の裸身に魅力がないからではない。
子供を産んでいない肢体は、若い頃と変わらぬ曲線美を保っていた。

小ぶりだが正円錐形に近い乳房には、薄桃色の上品な乳首がつんと上を向いている。
ウエストの鋭角な括れから、きゅっと引き締まったヒップへと続くフォルムは、豊穣でありながら流れるように滑らかだった。
そして贅肉のついていない純白の下腹部には、淡く繊細な逆毛が、気品のあるコントラストを鮮やかに描いていた。

隆正はバルコニーから庭を見下ろした。
白い裸形の女神像が、その均整のとれた肢体を惜しげもなく日の光に晒している。

隆正はその裸身を小枝子に重ねた。
完璧な肢体を誇るヴィーナス像に、淫らな性欲を抱く男がいるだろうか。

小枝子の美しい肢体が放つ気品は、隆正に劣情を催す隙さえ与えようとしなかった。
淫欲を抱くこと自体が罪悪感に思えてならなかった。

だがいくら上品な美身でも、小枝子が淫らに身悶えてくれれば、隆正の劣情は燃え盛るに違いない。
ところが小枝子は美しいマネキンだった。
いくら激しく愛撫を施しても、決してシーツを乱して歓喜することはなかった。

しかしそれは矛盾でしかない。
隆正は淫らではない小枝子を望んで結婚したのだ。
隆正は心の中で懊悩した。

(あの日の母のように・・)

聖母に潜んでいた淫らな性が、今も隆正の肉体に強烈な爪痕を残していた。
少年の日に知った悪魔こそが、今も隆正を魅惑して止まずにいるのだ。

壁から聞こえる卑猥な悪魔の喘ぎ。
その淫らさを恐れて小枝子を選んだが、隆正が本当に求めているのは、実は淫らな悪魔との交接だったのかもしれない。

初夏の緑が隆正の鼻腔を満たした。
豪邸と美しい妻。
だがその裏には、劣等感と満たされぬ淫欲があった。
隆正は日々追い詰められていく恐怖を感じていた。

(俺の居場所は・・)

隆正はねっとりと首筋に汗をかいているのに気づいた。
庭をわたる爽やかな薫風が、不自然な造り物めいて感じられた。

あの猫の小便臭い路地裏が懐かしかった。
隆正が振り返ると、そこには潤んだ瞳を悲しげに投げかける小枝子がいた。
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『独りぼっちの部屋』 …第十章

『独りぼっちの部屋』
  第十章
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デザートにさしかかった時、不意に義母が小枝子に尋ねた。

「ところであなた、今年何歳になるの?」

「来月の誕生日で三十八歳よ」

「あら、もうそんな歳だったの? そろそろ子供のことを考えないと手遅れになるわね」

「お母様・・」

小枝子は義母の言葉を遮ろうとした。だが義母は、構わず眼鏡の奥から鋭い目線を隆正に投げかけた。

「隆正さん、困りますよ。あなた達の代でこの古河の血を絶やしたら」

「・・は、はあ。ご心配をおかけします」

隆正はまたナイフとフォークを置いて頭を下げた。
そんな夫を庇うように、小枝子は母親へ声を荒げて抗弁した。

「お母様、せっかくのランチなのに、隆正さんを責めるのは止めて下さい。子供をつくるかどうかは、私達夫婦のプライベートな問題です」

義母は不満な顔を隆正に向けたまま、それ以上は何も言おうとしなかった。
義父は口を閉ざして無関心を装っていたが、そのポーカーフェイスは、同じ境遇の隆正を哀れんでいるようにも見えた。

跡継ぎの話は、毎週繰り返される隆正への拷問だった。
江戸時代、『嫁して三年子なきは去る』と、石女の嫁は虐げられてきた。

跡継ぎを見届けたい親の感情は、時代が移っても変わらない。
男に生まれた隆正だが、名家へ婿養子で入っただけに、小枝子以上に子孫へのプレッシャーを感じていた。
気まずい昼食が終わると、隆正と小枝子は二階自室のリビングへ戻った。

「あなた、ごめんなさい」

「い、いや・・君が謝る必要はない。お義母さんの気持ちはもっともなことだよ」

それだけ呟くと、ソファで俯く小枝子を置いて、隆正は太陽が燦々と降り注ぐバルコニーへ出た。
隆正も小枝子も不妊症ではない。

子供ができない原因は二人の性生活にあった。
世間で言うところのセックスレスだった。
結婚して七年、二人が閨を共にするのは年に一度か二度しかなかった。

(小枝子に罪はない)

それは小枝子の裸身を前にして、隆正が淫欲の萎えるのを何度か経験したからだった。
その再発を恐れるあまり、隆正は小枝子の体に手を伸ばすのを躊躇うようになっていた。
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紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

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