『独りぼっちの部屋』 ・・・第二十二章
『独りぼっちの部屋』
第二十二章
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ふわっと小枝子の髪が揺れた。
隆正は立ち上がった。
「とりあえず外へ出て続きを話そうか」
そう誘ってみたが、小枝子はじっと畳に座ったまま動こうとしない。
「どうした?」
「・・こ、この部屋が本当のあなたなら、私も今日からここで一緒に暮らします」
「えっ・・しかし君には古河家が・・」
「家を出ます・・あなたがそんなに苦しんでいるなんて知らなかったから・・」
そう涙声で呟くと、小枝子は口唇をぎゅっと噛んだ。
「それはダメだ。君にこの部屋は相応しくない・・僕達は最初から住む世界が違っていたんだ」
「ううん、あなたを古河家に居づらくさせたのは、私が妻として失格だったからよ・・好みの女になれなかったから・・隣の女の声にあなたを寝盗られるなんて・・」
俯いた小枝子の瞳から、ぽたりと膝の上に涙が落ちた。
「抱いてくれないのが・・どれほど悔しくて、情けなくて、つらかったか・・」
「そ、それは僕が・・」
「嘘よ。私の体に魅力がないからでしょう?」
「ち、違う。それは僕のトラウマが・・子供の頃に聞いてしまった・・は、母の・・」
隆正は脱力して膝から崩れ落ちると、声を搾り出すように、隠し続けてきた母の不貞について訥々と語り始めた。
がらんとした部屋を沈黙が支配した。
隣の部屋から聞こえる人妻の喘ぎ声だけが、打ちひしがれた隆正を土足で踏み躙っていく。
不意に小枝子が立ち上がった。
「・・あなた、私だって、お母様と一緒よ」
泣いて鼻を赤くした小枝子は、着ている薄紫色のワンピースを足元へ落とした。
つづく…
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隆正は立ち上がった。
「とりあえず外へ出て続きを話そうか」
そう誘ってみたが、小枝子はじっと畳に座ったまま動こうとしない。
「どうした?」
「・・こ、この部屋が本当のあなたなら、私も今日からここで一緒に暮らします」
「えっ・・しかし君には古河家が・・」
「家を出ます・・あなたがそんなに苦しんでいるなんて知らなかったから・・」
そう涙声で呟くと、小枝子は口唇をぎゅっと噛んだ。
「それはダメだ。君にこの部屋は相応しくない・・僕達は最初から住む世界が違っていたんだ」
「ううん、あなたを古河家に居づらくさせたのは、私が妻として失格だったからよ・・好みの女になれなかったから・・隣の女の声にあなたを寝盗られるなんて・・」
俯いた小枝子の瞳から、ぽたりと膝の上に涙が落ちた。
「抱いてくれないのが・・どれほど悔しくて、情けなくて、つらかったか・・」
「そ、それは僕が・・」
「嘘よ。私の体に魅力がないからでしょう?」
「ち、違う。それは僕のトラウマが・・子供の頃に聞いてしまった・・は、母の・・」
隆正は脱力して膝から崩れ落ちると、声を搾り出すように、隠し続けてきた母の不貞について訥々と語り始めた。
がらんとした部屋を沈黙が支配した。
隣の部屋から聞こえる人妻の喘ぎ声だけが、打ちひしがれた隆正を土足で踏み躙っていく。
不意に小枝子が立ち上がった。
「・・あなた、私だって、お母様と一緒よ」
泣いて鼻を赤くした小枝子は、着ている薄紫色のワンピースを足元へ落とした。
つづく…
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