『独りぼっちの部屋』…第八章
『独りぼっちの部屋』
第八章
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小枝子との出会いは、ごくありきたりな社内恋愛だった。
隆正は高卒後、大手不動産会社の横浜支社に営業職で入社した。
真面目な勤務ぶりが認められ、十年前、東京本社総務部へ係長として栄転した。
小枝子は、その本社総務部に属する秘書課で、役員秘書として働いていた。
年は七歳離れていたが、同じミュージシャンのファンとわかって意気投合した。
小枝子は理想の女だった。
芸能人並みの美女が蔓延る秘書課で、小枝子は白百合のような気品に溢れていた。
むろん隆正は、小枝子が男爵家の血を引く一人娘であることを知っていた。
(あの六畳一間の貧しかった生活・・)
少年時代の反動からか、隆正が常に恋焦がれる女は深窓の令嬢だった。
しかし大金や家柄と無縁な隆正は、それが敵わぬ夢だと諦めていた。
ところが小枝子はセレブでありながら、質素でお高く止まることなどなかった。
親に頼らず一般企業に就職し、職場では気さくにお茶汲みもしてくれた。
小枝子の目には、家柄や財産などまったく映らないようだった。
俄か成金セレブは身を飾ろうとするが、本物はかえって無頓着なのかもしれない。
やがて二人は恋愛を経て結婚へと辿り着いた。
隆正は婿養子となることに抵抗はなかった。
両親はすでに亡くなり、兄が結婚して姓を継いでいたからだ。
逆に古河家の親族には、出自の怪しい隆正との結婚を訝しがる者もいた。
だが小枝子の熱意と、それにほだされた両親によって、隆正の場違いな婿養子入りは許された。
つづく…
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年は七歳離れていたが、同じミュージシャンのファンとわかって意気投合した。
小枝子は理想の女だった。
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むろん隆正は、小枝子が男爵家の血を引く一人娘であることを知っていた。
(あの六畳一間の貧しかった生活・・)
少年時代の反動からか、隆正が常に恋焦がれる女は深窓の令嬢だった。
しかし大金や家柄と無縁な隆正は、それが敵わぬ夢だと諦めていた。
ところが小枝子はセレブでありながら、質素でお高く止まることなどなかった。
親に頼らず一般企業に就職し、職場では気さくにお茶汲みもしてくれた。
小枝子の目には、家柄や財産などまったく映らないようだった。
俄か成金セレブは身を飾ろうとするが、本物はかえって無頓着なのかもしれない。
やがて二人は恋愛を経て結婚へと辿り着いた。
隆正は婿養子となることに抵抗はなかった。
両親はすでに亡くなり、兄が結婚して姓を継いでいたからだ。
逆に古河家の親族には、出自の怪しい隆正との結婚を訝しがる者もいた。
だが小枝子の熱意と、それにほだされた両親によって、隆正の場違いな婿養子入りは許された。
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