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小説「妄想の仮面」 第十二章・・・

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      『妄想の仮面』  紅殻格子

十二.妻の独白(六)
 
全身の力が抜けていきます。
主人に助けを求めなければならないのに、
私は清川君の腕の中で躊躇していました。
会社を辞めようかと悩むほど、
清川君は私への憧れを抑えられないと言います。
 
(どうすればいいの?)
 
情けないぐらいに動揺した私は、
清川君の想いに抗うことができませんでした。
不意に清川君が口唇を重ねてきました。
 
「う・・」
 
私の頭に腕を回して押さえ、
巧みに舌先を滑り込ませてきたのです。
 
「うう・・うぐぅ・・」
口唇を大きく開かされた私は、
清川君の舌使いを拒むことができません。
清川君と私の唾液が、溶け合って喉を伝っていきます。
もう口唇が触れただけとは違います。
とうとう私は、あってはならない背徳の世界に
足を踏み入れてしまったのです。
口を吸われて意識が薄れていきます。
 
抗わない私に安心したのでしょう。
主人が浴室にいるにも拘らず、
清川君の暴発はキスだけで終わりませんでした。
 
「お、奥さん」
私はソファへ仰向けに押し倒されると、
Tシャツを首まで捲り上げられました。
 
「いやっ、だめよ」
私は声を押し殺して清川君を叱りました。
ところが彼はギラギラした目で、
ブラだけに守られた乳房を凝視しています。
ゴクッと清川君が生唾を呑み込みました。
 
彼はもはや獣です。
常軌を逸した清川君は、ブラを下から捲り上げました。
 
「だめっ、ああっ!」
 
抗う気持ちよりも、清川君に見られた羞恥が私を襲いました。
子供を産んだ四十歳近い女の乳房など、
ひどく崩れて見るに堪えるものではありません。
 
「憧れていた奥さんの・・」
 
羞恥に揺れる私の心を知ってか知らずか、
いきなり清川君は乳首に吸いついてきたのです。
 
「あん!」
 
乳房から放電された激しい電流に、
私はヒクッと全身を痙攣させてしまいました。
 
「奥さん、感じてくれているんですね」
 
清川君は嬉しそうに言うと、子供のように乳房を弄び始めました。
 
両手で下から迫り上げられ、乳房が風船のように弾んでいます。
その頂点では、粟立った乳暈と、
吸われて小指の先ほどに尖った乳首が、
惨めにも愛撫に反応している私を暴露しています。
 
下腹部の奥がむずむずと疼き始めました。
私の中の女が蠢き出したのです。
主人と娘がいるマンションで、
こんなことが許されるはずはありません。
でも私の中の女は、待ち焦がれた清川君を
離そうとはしませんでした。
 
「いけない・・清川君、いけないわ」
 
頼りない言葉だけの抵抗です。
私の理性を奪い去った女は、若く逞しい男性で、
秘部を貫かれることを待ち望んでいるのです。
 
突然、浴室の方からガタッと扉が開く音がしました。
我に返った私は、慌てて清川君を突き飛ばすと、
ブラの位置を直してTシャツを整えました。
 
(何もなかったように振る舞いなさい)
 
私は清川君を睨みつけると、無言で厳しく命じました。
まだ胸がどきどき高鳴っています。
でもこれで終わりではありません。
 
女に身も心も支配される日が遠からず訪れることを、
私は心の中で密に予感していました。

つづく・・・

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小説 「妄想の仮面」 第十一章・・・

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      『妄想の仮面』  紅殻格子

 

十一.妻の独白(五)
 
またいつもの宴会が始まりました。
夕飯後のリビングでは、主人と清川君が仲良くビールを飲んでいます。
 
「清川、お盆休みはどうするんだ。田舎に帰るのか?」
 
「いえ、ちょっと旅行へでも行こうと思っています」
 
「へえ、そりゃ豪勢だな・・そうか、彼女と一緒のバケーションか?」
 
「意地が悪いですね、田口課長。そんな彼女がいたら、週末の夜、課長とビールなんて飲んでいませんよ」
 
私はキッチンで洗い物をしながら、
それとなく二人の会話に聞き耳を立てていました。
まるであの夜のキスが幻だったかように、
清川君はいつもと変わらない態度で、
私達家族と陽気に接しています。
                                      
もちろん私も、何事もなかったかのように、
清川君をもてなしていました。
夜九時、清川君とテレビゲームをしていた愛美が、
明日のバスケの試合に備えて寝てしまいました。
 
「俺、風呂入ってくる」
 
そして飲み疲れた主人も、私の不安をよそに浴室へ行きました。
リビングには清川君と私の二人切りです。
息が詰まるような沈黙。
L字に置かれたソファの両隅に座り、
二人はしばらく無言でテレビを見ていました。
 
「・・奥さん」
 
業を煮やした清川君が、いきなり私の隣に腰を下ろしたのです。
 
「き、清川君」
 
リビングから逃げようかと思いましたが、
金縛りのように動くことができず、
私はソファの端で体を強張らせていました。
清川君が頭を下げました。
 
「怒っていらっしゃるのですね」
 
「お、怒るとかじゃなくて・・
 清川君も結構飲んでいたし、悪ふざけが過ぎたんだと思うのよ」
 
「確かに酔っていました。でも悪ふざけではありません。つい酒の勢いで気持ちが大きくなって・・普段から思っていることを・・・」
 
顔を真っ赤にした清川君は、申し訳なさそうに頭を掻きました。
 
「で、でも私は田口の妻なのよ。それに十三歳も年上のオバサンよ」
 
「いえ、年齢とかじゃなくて・・その、憧れって言うか・・」
 
清川君の子供のような告白に、
私まで顔が熱く上気するのがわかりました。
少女のように胸が高鳴っています。
 
「清川君の気持ちはわかるけど・・・
 そんなことは世間が許してくれないのよ・・きっと主人だって・・」
 
「田口課長には申し訳ないと思っています。恩を仇で返すようなことをして・・だから会社を辞めようと思って・・」
 
「な、何を・・馬鹿なことを言わないで。主人は清川君を可愛がっているのよ。期待しているから、こうして家へ連れて来るんじゃないの」
 
「でも・・もうこれ以上はどうにもならないんです・・
 奥さんのことを想うと・・・」
 
不意に、ソファに座ったまま、清川君が私の体を抱き締めました。
強い力です。
 
荒々しい呼吸とともに、清川君の厚い胸板から心臓の鼓動が伝わります。
私は清川君に抱きすくめられて、どうしていいかわからず、ただ彼の肩越しにテレビの画面をぼんやりと眺めていました。
 
つづく・・・
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小説 「妄想の仮面」 第十章・・・

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      『妄想の仮面』  紅殻格子

十.妻の独白(四)

あの夜以来、清川君の言葉が私の耳にこびりついて離れません。

「でも私にとって奥さんは妻でも母でもありません。一人の女であるだけです」

まるで密教の陀羅尼を唱えるかのように、その呪文は体の中を駆け巡って行きます。

 (一人の女・・)

すると不思議なことに、今まで意識していなかった私の中で、別の人格が心臓の鼓動を刻み始めたのです。

(清川君が好き)

それが私に住みついてしまった女の第一声でした。          私は途惑いました。

平日の午前中、主人と愛美を家から送り出すと、決まって女の私が現れるようになったからです。
家事をする途中、ふと洗面台の鏡を覗き込んでみました。
清川君に奪われた口唇。
まだ彼の口唇の感触が残っています。

(いけないわ・・そんな関係は許されないのに・・)

でもそんな心とは裏腹に、下腹部がじんと痺れて、全身が燃えるように熱く火照ってきます。 恥ずかしいことです。
ブラに触れている乳首が、キュンと敏感に立ってきます。                                 そしてショーツの中も、むずむずして湿ってくるのがわかりました。

「あ、ああん・・」

勝手に指がショーツの中へ滑り込んでいきます。                                      もうぐしょぐしょです。子供を産んだ四十歳間近のオバサンが、朝から自慰に耽っているのです。 洗面台で立ったまま、私は小さく彼の名前を呼びました。

「き、清川君・・」

その禁断の六文字を口にしただけで、私の中の女は狂ったように暴れ出します。
痛いほど尖ってしまった乳首を摘むと、淫らな電流が体中を走り抜け、ギュッと子宮を鷲づかみされた悦びが押し寄せてきます。                                 ショーツに忍び込んだ中指も、第二間接まで愛液に浸りながら、                                       はしたなく大きくなったクリトリスを無心に弄んでいます。

「ああっ、欲しい・・あ、あなたが欲しいのよぉ・・」

うわ言のように喘ぎながら、私は立ったまま体を硬直させていました。
ふらつく足取りでリビングに戻った私は、全身の力が抜けたようにソファへもたれ込みました。

(このままでは狂ってしまう・・)

私は怖くなりました。
まだ下腹部の奥が疼いています。
男は、年を取ってから色に狂うと身を持ち崩すと言います。                                それは女も同じでしょう。                           いえ、今は女の方が危ないかもしれません。

今夜は清川君が家へ遊びに来ます。
私はソファに座ったまま、あの夜以来となる清川君に、どう接したらいいのか思い悩んでいました。

つづく・・・

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小説 「妄想の仮面」 第九章・・・

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      『妄想の仮面』  紅殻格子

九.夫の独白(五)

コンサートの日。
慌しく私は、夕食の支度や風呂の掃除に追われていた。

「パパが家事をするなんて珍しい」

小学校四年生になる愛美が、意外そうな表情で私を手伝ってくれた。娘の心配りは嬉しかったが、由美子と清川のことを考えると、私は気もそぞろなあり様だった。

(今頃、由美子は・・)

想像しただけで、早鐘のように鼓動が早まり、口がカラカラに渇いてくる。そして情けないほど指が小刻みに震える反面、邪な妄想が肉茎を痛いほど怒張させる。

夜、私は愛美を寝かしつけ、テレビもつけずに由美子の帰宅を待った。
(自分で望んだことだが・・)

私は三本目の缶ビールを空けた。酒の力にすがらなければ、妄想にとり憑かれて悶え死にしそうだった。
十一時半。

「ただいま」

由美子が帰ってきた。
酔っているのか、薄桃色に顔を上気させて足元が少しふらついている。

「どうだった?」

リビングのソファにもたれた由美子に、私は平静を装って声をかけた。

「うん、楽しかったわ」

由美子はふうっと大きく息を吐くと、コンサートの模様を、不自然なほど饒舌に語り始めた。 私は冗談めかして核心に迫る質問をぶつけてみた。

「清川と食事をしたんだろう? 酔わされて襲われなかったか?」


「馬鹿ねえ、そんなことがあるわけないじゃない。こんなオバサンと・・」

由美子は腹を抱えて笑った。だがその態度はどこかぎくしゃくして見えた。 私は顔から血の気が引くのを感じた。
由美子が私を裏切った瞬間だった。

実は由美子の帰宅直前、清川からメールが届いていた。そこには、タクシーの中で奥さんにキスしたと書かれていた。  私は激しい嫉妬に駆られた。  清川との痴戯そのものより、由美子が私に嘘をついたことがショックだった。

「あの子、酔っ払って私にキスしたのよ」

そうあっけらかんと言ってくれたら、私の黒い愉悦は雲散霧消していたかもしれない。 私はソファに由美子を押し倒した。

「あ、あなた、何をするの?」

抗う由美子を組み敷くと、私は荒々しくスカートを捲り上げた。そしてストッキングとショーツを剥ぎ取り、すでに硬くなっている肉茎を陰部に宛がった。

「あ、いやっ・・」

私は愛撫もせず、一気に由美子の秘芯を貫いた。

「ど、どうして・・あ、ああっ、無理よ・・いきなりなんて・・」

ところが由美子の花芯はすでに綻び、いつでも男を迎えられるように濡れていた。
久しぶりに嗅ぐ女の匂い。 私は夢中で由美子を犯した。

「ゆ、由美子・・」

だがすぐに堪え切れなくなった私は、十数回腰を動かしただけで、あっけなく射精してしまったのだった。

つづく・・・

 

 
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小説 「妄想の仮面」 第八章・・・

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      『妄想の仮面』  紅殻格子

八.夫の独白(四)

清川は怪訝な顔をした。

「しかし田口課長、それはご夫婦の問題じゃないですか・・」

「確かに清川が言う通りだ」

「それなら」

「だが十年以上夫婦をしていると、なかなか普段の生活は変えられないんだ」

私はおもむろにタバコをくわえると、ふうっとため息をつくように煙を吐いた。  夫婦の性生活は定食のようなものだ。

私は前戯も疎かでやや早漏気味、夫婦の閨はせいぜい二十分がいいところだ。  由美子も不感症ではないが、家事と育児に疲れて、暗闇の寝室でマグロになっていることが多い。                   そんな夫婦生活を続けていると、急に熱心に愛撫したり、新しい性行為に挑戦したりするのは抵抗があるのだ。

しかも由美子にとっては、私こそが妻として母として安住する元凶に他ならない。  いくら淫らさを求めても、相手が私であり続ける以上、由美子は明朝の食事やゴミ捨てから逃れられないのだ。

どす黒い妄想が心に湧き上がってくる。                             

『妻が他の男に抱かれる姿を見たい』

妻であり母でもある由美子が、男に組み敷かれて、女の本性が命ずるまま、狂ったように身悶えている痴態を見たいのだ。                 淫らな女の本性を剥き出しにして、禁じられた肉茎を受け入れる由美子を見たいのだ。

私の切々たる悩みを聞いた清川は、ビールのグラスを一気にあおった。

「わ、わかりました・・ですが、奥さんを誘惑するなんて僕には自信がありません」

覚悟を決めてくれた清川だったが、不安そうな表情を隠しきれない。

「実はコンサートのチケットを二枚用意してある」

私は鞄の中からサザンのチケットを取り出した。

「ど、どうするんですか?」

「由美子は若い頃から熱狂的なサザンのファンだ。これを使って・・」

私は清川の耳元で十年以上も練り上げた策を授けた。

「・・なるほど」

男達の秘密めいた会話は、居酒屋の片隅に異様な空間をつくった。 二人の男が抱くお互いの妄想は、歪んだ妖しい夜を更けさせていった。
つづく・・・

 

 

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小説 「妄想の仮面」 第七章・・・

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七.夫の独白(三)

数日前。

「清川、由美子を誘惑してくれないか?」

会社の帰り、行きつけの居酒屋で私はそう清川に打ち明けた。
口をポカンと開けたまま、清川は私を見ていたが、しばらくすると弾けるように笑い出した。

「田口課長、独身者をからかうのは止めて下さいよ」

「冗談で言っているんじゃない。清川、お前由美子をどう思う?」

真顔の私を見て、清川は笑うのを止めて神妙な面持ちを見せた。

「それは憧れていますよ。美人だし、とても家庭的だし・・」

「家庭的?」

「ええ、結婚するなら、奥さんみたいなタイプがいいですよ。何て言うのかな・・いつも夫を立てて、半歩後ろをついてきてくれるみたいな・・愛美ちゃんを見ていると、母親としても理想的じゃないですか」

私はビールのグラスをあおった。

「女としてはどうだ?」

「えっ、女として・・ですか?」

清川は考え込んだ。

「課長、それは私にはわかりませんよ」

「俺にもわからないんだよ」

「はあ?」

「たぶん、俺は由美子の女を取り戻したいんだと思う」 
「・・・・」

一瞬、居酒屋の喧騒が消えたように静かになった。
そもそも結婚とは何か。 結婚とは家族をつくる社会制度である。

それにより男と女は、夫と妻と言う役割を担わされる。そして子供ができると、次は父と母と言うより厳格な立場を背負わされることになる。

特に女性は、男性に比べて社会的なプレッシャーが強い。妻は貞淑であり、夫に従順でなければならない。母に至っては、聖母のイメージ通り、あらゆる欲望を捨てて自己犠牲を強いられる。

それが良妻賢母の正体だろう。
化粧もせず、流行の服を着ることもなく、主婦は家事と育児に明け暮れる。男としてはありがたいが、女の匂いをプンプンさせたクラブのホステスに、欲望を覚えてしまうのも裏腹な事実だ。

(由美子に女であって欲しい)

欲張りなのかもしれない。だが妻として母として満点な由美子に、もう一度心ときめく女を取り戻して欲しい。良妻賢母になろうとして封印した女を、私の前で解き放って欲しいのだ。

むろん今も容姿に不満はない。 だが長年私にしか接していない由美子は、火傷するような女の熱情を忘れてしまっている。私は由美子に、激しく燃え上がる女の恋情を取り戻して欲しいのだ。

つづく・・・      
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小説 「妄想の仮面」 第六章・・・

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 六.妻の独白(三)

飲めないワインに、私はすっかり酔ってしまいました。

「お宅までお送りしますよ」

店を出ると、清川君はタクシーを止めて、抱きかかえるように私を乗せました。

「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・ちょっと飲みすぎちゃったみたい・・」

私はタクシーの窓を開けて、涼しい初夏の風を入れました。

「もう十一時だわ・・あの人、もうお風呂に入ったかしら」
「おや、田口課長のことが心配ですか?」
「そ、そんなことないわ。私だってたまには夜のお酒ぐらい・・」

むっとむくれた私は、ニヤニヤ笑っている清川君を睨みつけました。
その時、タクシーが急にカーブを曲がったのです。私はバランスを崩して、清川君にもたれかかってしまいました。

「あっ」

清川君が私の腰に手を回してきました。
私はどうしていいかわからず、ただ俯いているばかりです。

「・・・・」

車の揺れに合わせて、清川君の手がお尻へ下がってきます。
(清川君は私が上司の妻であることを忘れたのかしら? それともワインを飲みすぎておかしくなっちゃったのかしら?)

モゾモゾと動く掌をどうすることもできないまま、私は清川君の真意を測りかねていました。すると唐突に、清川君は吃驚することを耳元で囁いたのです。

「奥さんが好きです」

一瞬、私は耳を疑いました。慌てて清川君の顔を見ると、いつもと違って真面目な表情をしています。

「オ、オバサンをからかって・・」
「いえ、ずっと奥さんに憧れていました」

その瞬間、私は下腹部に甘い痺れを感じたのです。
その痺れは、静かな水面に生じた波紋のように、ゆっくりと全身へ広がっていきます。

「だ、だめよ・・いけないわ」

我に返った私は、前の座席にいる運転手を気にして、お尻にまとわりつく清川君の手を払い除けました。

「どうしてですか?」

「ど、どうしてって・・だって私は田口の妻であり、愛美の母親なのよ」

運転手に気づかれないように、私は声にならない声で叱りました。

「わかっていますよ。でも私にとって奥さんは妻でも母でもありません。一人の女であるだけです」

私は心臓が止まりそうになりました。ただ清川君にお尻を触られるまま、口をパクパクさせているしかありませんでした。やがてタクシーが家の前で止まりました。

「奥さん、今夜は楽しかったです。おやすみなさい」

そう言うと、清川君は降りようとする私のあごを手で押さえ、いきなり口唇を重ねてきたのです。

「う、ううっ」

驚くほどの早業でしたが、私はしっかりと清川君の口唇を感じていました。 清川君を乗せたタクシーが遠ざかって行きます。
そのテールランプを眺めたまま、私は心の整理がつかず、しばらくマンションの近くでぼんやりとたたずんでいました。

私は、主人と娘、そして今の生活を愛しています。少女の頃から思い描いてきた幸せです。この幸せを守るため、私は良妻賢母であることを心がけてきました。
そんな平和な日常に、清川君は土足で踏み込んできたのです。 でも私は清川君を拒めませんでした。

心のどこかで、こうなることを期待していたのかもしれません。現実にはあり得ないトレンディドラマに憧れるように、私は非日常の恋愛を密かに夢見ていたのです。

もう一人の私。

それは主人と娘を裏切ってでも、清川君に淡い恋心を抱く女の私だったのです。 どちらが本当の私なのでしょうか? その答えも出せないまま、私はエントランスを抜け、エレベーターのボタンに手をかけました。

ただ一つ確かなことは、下着をはしたないほど濡らしていることだけでした。

つづく・・・


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五. 妻の独白(二)

コンサート当日の土曜日。

「由美子、ずいぶんと念入りに化粧をしているじゃないか」

会社が休みの主人が私を冷やかします。
確かにそうかもしれません。
久しぶりに濃い目のお化粧をして、
若く華やいだワンピースを身にまといました。

相手は主人の部下、清川君です。
年の離れた弟のような存在で、別に意識する必要もないのに、
私は何故かドキドキと鼓動を高鳴らせていました。

私は中学・高校と女子校で過ごしました。だから男性に対して免疫がないのかもしれません。交際した男性は何人かいましたが、体を許す関係になったのは主人だけでした。

子供がいる主婦なのにおかしな話ですが、主人以外の男性と二人でデートするなんて、三十八歳のオバサンにとっては緊張するものなのです。

渋谷で清川君と待ち合わせしました。
月に二、三回は家で会っているのに、二人で並んで歩くと、改めて身長の高さに驚かされます。

「清川君、身長何センチあるの?」
「180ですよ」
「わぁ、そんなに大きかったんだ」

私が驚いて見上げると、清川君はニヤッと笑いました。
「ふふ、奥さん・・実は大きいのは身長だけでは・・」
「・・・・」
カッと顔の赤くなるのが、自分でもわかります。
普段ならさらっとやり過ごすところですが、二人きりでいると、変な意識をしてしまうのかもしれません。

コンサートはとても素敵でした。
小さな会場での演奏だったので、生のサザンを間近で堪能できました。家事のこと、育児のこと、全てを忘れて私は軽快なリズムに身を委ねました。

会場の外へ出ても、まだ私は余韻に酔い痴れていました。
清川君がぼうっとしている私の手を取りました。

「これから食事でもどうですか?」
「え、でも、あの、主人が・・」

私は不意に手を握られ、しどろもどろに口ごもるばかりです。

「まだ九時、大丈夫ですよ。乗りすぎてお腹が空いたんじゃないですか?」
「・・ええ」

笑顔の清川君に連れられて、私は洒落たイタリア料理店へ行きました。 若い男女が集う高そうなお店です。
不慣れな私はどきまぎするばかりですが、清川君は堂々とエスコートしてくれました。

でもそれがちょっぴり小憎らしく思えました。私よりも十三歳も年下なのに、女の子と遊びなれているに違いありません。

「よく彼女とこんなお店に来ているんでしょう?」
「気になりますか?」

いつもと違う真剣な目で、清川君じっと私の顔を見つめます。
私は慌てて視線をテーブルに落とします。
(わ、私ったら、何を言っているの・・)
自分でも驚くしかありません。

私は清川君に嫉妬を感じたのです。
主人の部下であることも忘れて、私は清川君を一人の男として意識していたのです。

つづく・・・


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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご挨拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
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