『人外境の花嫁』九.秘蹟の祭祀者(十五)
『人外境の花嫁』
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九.秘蹟の祭祀者 (十五)
全裸の男女が固唾を呑んで見守っている。
掌を天に向けた乱裁道宗が、しゃがれた声を絞り出した。
「皆の者、ここにいる女は我が娘である」
大聖天堂がどよめいた。
「今夜、天神会の支柱たる男四人が、皆の前で我が娘と契りを交わす」
何も知らされていないのか、大半の幹部達は不安そうに周囲と囁き合っている。
月絵も意外に感じた。
後継者の指名があることは知っていた。
そして天神会の実態を目の当たりにして、後継者と麻美が幹部の前で初夜を披露するのは容易に想像できた。
乱裁は続ける。
「これは山の民に受け継がれる古よりの習いである。これから娘に四人の男達が子種を注ぐ。
娘が懐妊して産んだ子を我が跡取りとする」
一転、幹部達は水を打ったように静まり返った。
月絵も耳を疑った。
それでは父親が誰だかわからない。
孫を後継者とする例は一般社会でもあるだろう。
乱裁が四人から後継者を絞れないとしても、敢えてこんな変態的な儀式をするのは何故なのか。
しかも誰が考えても公平性に欠ける。
(四人の順番が・・)
自分の遺伝子を後継者として残そうとするなら、最初に麻美と交わるのが有利に違いない。
睨み合っている四人の男達は、麻美の初乗り権を巡って、これから激しい争いを繰り広げるのだろうか。
つづく…
皆様から頂く
が小説を書く原動力です



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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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「皆の者、ここにいる女は我が娘である」
大聖天堂がどよめいた。
「今夜、天神会の支柱たる男四人が、皆の前で我が娘と契りを交わす」
何も知らされていないのか、大半の幹部達は不安そうに周囲と囁き合っている。
月絵も意外に感じた。
後継者の指名があることは知っていた。
そして天神会の実態を目の当たりにして、後継者と麻美が幹部の前で初夜を披露するのは容易に想像できた。
乱裁は続ける。
「これは山の民に受け継がれる古よりの習いである。これから娘に四人の男達が子種を注ぐ。
娘が懐妊して産んだ子を我が跡取りとする」
一転、幹部達は水を打ったように静まり返った。
月絵も耳を疑った。
それでは父親が誰だかわからない。
孫を後継者とする例は一般社会でもあるだろう。
乱裁が四人から後継者を絞れないとしても、敢えてこんな変態的な儀式をするのは何故なのか。
しかも誰が考えても公平性に欠ける。
(四人の順番が・・)
自分の遺伝子を後継者として残そうとするなら、最初に麻美と交わるのが有利に違いない。
睨み合っている四人の男達は、麻美の初乗り権を巡って、これから激しい争いを繰り広げるのだろうか。
つづく…






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