『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者 (二十二)
『人外境の花嫁』
FC2 Blog Ranking
六.伏魔殿の監禁者 (二十二)
不意に背後から声がした。
「麻美様、あなたは教団の花嫁となられる方です」
子猿だった。
「花嫁って?」
「花嫁となり、アヤタチ様を継ぐ子を産んで戴くのです」
「そんな・・どうして私が? 誰の花嫁になるって言うの?」
麻美はミーアの手を払い除け、子猿に向かって居住まいを正した。
子猿は平伏した。
「詳しくはわかりませんが、麻美様はアヤタチ様の血筋を引く方と聞いております」
「血筋・・結婚・・」
母が持っていた絵文字の封書を麻美は思い浮かべた。
「父が迎えに来ると、母は言い残して亡くなったわ。アヤタチと名乗る男が私の父親ってことなの?」
「わ、私ごときにはそこまで知らされておりません」
子猿は額を擦りつけるように身を伏せた。
「ただアヤタチ様はご高齢です。この天神会の行く末をお考えになり、然るべき後継者をつくるために、麻美様を拉致せよと命じられたのです」
「では私と結婚する男が、この教団の後継者になるわけなの?」
「いえ、麻美様は天神会の花嫁となられるのです。そして生まれたお子様が、アヤタチ様の後継者になると聞いております」
夫でも子供でも構わないが、政略結婚の道具として、アヤタチと名乗る男が麻美を攫ったことに間違いはないようだった。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
にほんブログ村
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
FC2 Blog Ranking
六.伏魔殿の監禁者 (二十二)
不意に背後から声がした。
「麻美様、あなたは教団の花嫁となられる方です」
子猿だった。
「花嫁って?」
「花嫁となり、アヤタチ様を継ぐ子を産んで戴くのです」
「そんな・・どうして私が? 誰の花嫁になるって言うの?」
麻美はミーアの手を払い除け、子猿に向かって居住まいを正した。
子猿は平伏した。
「詳しくはわかりませんが、麻美様はアヤタチ様の血筋を引く方と聞いております」
「血筋・・結婚・・」
母が持っていた絵文字の封書を麻美は思い浮かべた。
「父が迎えに来ると、母は言い残して亡くなったわ。アヤタチと名乗る男が私の父親ってことなの?」
「わ、私ごときにはそこまで知らされておりません」
子猿は額を擦りつけるように身を伏せた。
「ただアヤタチ様はご高齢です。この天神会の行く末をお考えになり、然るべき後継者をつくるために、麻美様を拉致せよと命じられたのです」
「では私と結婚する男が、この教団の後継者になるわけなの?」
「いえ、麻美様は天神会の花嫁となられるのです。そして生まれたお子様が、アヤタチ様の後継者になると聞いております」
夫でも子供でも構わないが、政略結婚の道具として、アヤタチと名乗る男が麻美を攫ったことに間違いはないようだった。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
にほんブログ村
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
- 関連記事
-
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(二十四)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(二十三)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者 (二十二)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者 (二十一)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者 (二十)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者 (十九)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十八)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十七)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十六)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十五)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十四)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十三)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十二)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十一)
- 『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(十)