紅殻島(べんがらじま)・・・第二十一章
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『 紅 殻 島 』
二十一
それは雛子も同じだったろう。
だから英生への贖罪に、雛子は自らの身を紅殻島へ島流しにしたのだ。
売春婦と言う苦界に身を沈め、生涯を賭して英生への鎮魂歌としたのだろう。
(だが・・)
伊勢はこの島を訪れる前に、すでに己の意志を固めていた。
罪は罪かもしれない。
だがまさか英生も草葉の陰で、雛子が毎夜男達の性欲処理をしているなどとは思うまい。
きっと英生は、雛子の幸せを願っているに違いない。
「雛子を頼む」
それが病床の英生から聞いた最後の言葉だった。
むろん二人の背徳など知らなかったろうが、雛子に飽き初めていた天才肌の英生は、本能的に薄々直感していたのかもしれない。
ならば、雛子を紅殻島から救い出して幸せにすることが、ただ一つの英生に報いる道であるに違いない。
(結婚しよう)
伊勢はその言葉だけを胸に秘め、紅殻島への渡船に乗り込んだのだった。
つづく・・・
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