紅殻島(べんがらじま)・・・第二十三章
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『 紅 殻 島 』
二十三
雛子は黙って首を横に振った。
「ぼ、僕が雛ちゃんを幸せにするから・・だからもうこんな仕事は辞めてくれないか」
「・・私はこれが性に合っているの」
「嘘だ。僕にはわかっている。雛ちゃんは自分の身を貶めることで、兄貴を裏切った僕との罪を償おうとしているんだろう」
「・・・・」
「兄貴は病床で雛子を頼むと僕に託したんだよ。死んだ兄貴だって、見知らぬ男に抱かれる雛ちゃんなんか見たくないさ。きっと僕らの過ちを許してくれるはずだ。」
伊勢は鞄から小さな宝石箱を取り出した。
「僕は兄貴と違って凡人だ。金もないし、頭も悪いし、洒落た会話ができるセンスもない。でも初めて雛ちゃんに遭った日から、君への想いは兄貴に負けないつもりだ」
酒も飲んでいないのに、顔を真っ赤にした伊勢は早口でまくし立てた。
「だから、結婚して欲しい」
伊勢が手にしたエンゲージリングが、蛍光灯の下で小刻みに震えた。
雛子は何も答えず、壁に飾った結婚式の写真へ目を遣った。
(・・あなた)
白いウエディングドレスを着た雛子の隣で、英生が明るく微笑んでいる。
つづく・・・
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