紅殻島(べんがらじま)・・・第二十七章
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『 紅 殻 島 』
二十七
それは寝取られ願望だった。
「お前が他の男に抱かれているのを観たい」
雛子は耳を疑った。
人生に一点の憂いもなさそうに見える英生には、屈折したマゾヒズムがあったのだ。
昔つきあっていた恋人が、浮気している現場に遭遇したのが原因だと言った。
だがそこからが英生らしい。
「自分の性癖が叶えられない恋愛などしたくない」
嫌ならここから帰っていいと、英夫はタクシー代を渡した。
雛子は驚いた。
性癖に驚いたのではない。
子供のように純真な心に驚いたのだ。
普通の男ならば、決して変態と呼ばれる性癖を告白などしない。
ましてや恋人や妻に求める勇気など皆無で、浮気や風俗で紛らわせるのがいいところだ。
「あなたの性欲を処理するために、私が他の男に抱かれなければならないの?」
また普通の女ならば、怒ってホテルを出ていくだろう。
だが元来へそ曲がりな雛子は、ますます英生に惹かれた。
性癖と言う弱点を曝け出し、ありのままに話してくれたことが雛子には嬉しかった。
「いいわ」
雛子は安請け合いした。
もちろん不安がなかったわけではない。
いくら場末のホステスだとは言っても、好きな男の前で他の男に抱かれたことなどない。
つづく・・・
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