『人外境の花嫁』六.伏魔殿の監禁者(一)
『人外境の花嫁』
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六.伏魔殿の監禁者 (一)
どのぐらい眠っていたのだろう。
頭の奥が軋むように痛い。
焦点が定まらない目で、恐る恐る周囲を見回してみる。
(・・監獄?)
コンクリート剥き出しの壁に囲まれた六畳あまりの部屋。
窓はなく、頑丈そうな鉄の扉だけが、殺風景な部屋ただ一つの装飾になっている。
藤野麻美は身を起こした。
その時初めて麻美は、着衣もなく、鉄パイプの簡素なベッドに寝かされている自分に気づいた。
本能的に麻美は陰部を指でなぞった。
特に普段と変わらない。
ほっと安堵の息をつくと、麻美は頼りない記憶の糸を手繰っていく。
宅急便。
猿のような男の顔。
再び激しい頭痛に襲われ、麻美は両手で頭を抱え込んだ。
カチャと金属音がして鉄の扉が開いた。
「お目覚めになられましたか?」
混濁した頭を醒ます清々とした声がして、麻美がうずくまるベッドへ誰かが歩み寄ってきた。
少女だった。
まだ十代だろうか、漆黒のショートヘアと切れ長の大きな瞳が、悪戯っぽい子猫のような印象を与えている。
「あ、あなたは・・?」
「私、ミーアです。猫に似ているからそう呼ばれています。麻美様のお傍に仕えるよう言い使っております」
麻美は裸身を隠すことも忘れて、巫女のような神秘さを湛えた少女をただぼんやりと見つめた。
つづく…
皆様から頂く
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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どのぐらい眠っていたのだろう。
頭の奥が軋むように痛い。
焦点が定まらない目で、恐る恐る周囲を見回してみる。
(・・監獄?)
コンクリート剥き出しの壁に囲まれた六畳あまりの部屋。
窓はなく、頑丈そうな鉄の扉だけが、殺風景な部屋ただ一つの装飾になっている。
藤野麻美は身を起こした。
その時初めて麻美は、着衣もなく、鉄パイプの簡素なベッドに寝かされている自分に気づいた。
本能的に麻美は陰部を指でなぞった。
特に普段と変わらない。
ほっと安堵の息をつくと、麻美は頼りない記憶の糸を手繰っていく。
宅急便。
猿のような男の顔。
再び激しい頭痛に襲われ、麻美は両手で頭を抱え込んだ。
カチャと金属音がして鉄の扉が開いた。
「お目覚めになられましたか?」
混濁した頭を醒ます清々とした声がして、麻美がうずくまるベッドへ誰かが歩み寄ってきた。
少女だった。
まだ十代だろうか、漆黒のショートヘアと切れ長の大きな瞳が、悪戯っぽい子猫のような印象を与えている。
「あ、あなたは・・?」
「私、ミーアです。猫に似ているからそう呼ばれています。麻美様のお傍に仕えるよう言い使っております」
麻美は裸身を隠すことも忘れて、巫女のような神秘さを湛えた少女をただぼんやりと見つめた。
つづく…






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