『色褪せぬ薔薇』・・・第八章
『色褪せぬ薔薇』
第八章
葉子は二十九歳、太平洋建材東北支社の業務課に勤務している。
秀明とは職種こそ違うが、同じ支社に勤める同僚だった。
気さくで明るい葉子は、得意先の評判も良く、営業からは裏方として頼りにされていた。
秀明も葉子を妹のように可愛がった。
部下を連れて飲みに行く時は、よく葉子にも声をかけた。
葉子は安い焼鳥屋でも喜んでついて来た。
そしてニコニコ笑いながら、男達の憂さ晴らしにつきあってくれた。
布団に潜りながら、秀明は忙しそうに部屋を片づける葉子を横目で見ていた。
(親切は有難いのだが・・)
葉子は新婚の人妻だった。
地方公務員の夫と一年前に見合い結婚していた。
いくら会社の同僚が病気だとは言え、男と女がひとつの部屋にいるのは世間体が悪い。
「あ、有難う。もう大丈夫だから・・」
「大丈夫じゃありません。お風呂も全然掃除していないじゃないですか。こんな部屋で暮らしていたら、病気になるのも当たり前です。あら、洗濯物もこんなに・・」
「いや、しかし・・ご主人が待っているんじゃないか?」
「気にしないで下さい。私、結構お節介で、困っている人を放っておけないんです」
葉子は秀明の気まずさなど意に介さず、甲斐甲斐しく風呂掃除と洗濯を始めた。
その日、葉子は夕方まで気忙しく家事を続けた。
お蔭で部屋は見違えるようにピカピカになった。
「吉川課長、これからも時々チェックに来ますから」
そう叱ってスペアキーを取り上げた葉子は、つくったお粥を卓袱台に残して帰って行った。
つづく…
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気さくで明るい葉子は、得意先の評判も良く、営業からは裏方として頼りにされていた。
秀明も葉子を妹のように可愛がった。
部下を連れて飲みに行く時は、よく葉子にも声をかけた。
葉子は安い焼鳥屋でも喜んでついて来た。
そしてニコニコ笑いながら、男達の憂さ晴らしにつきあってくれた。
布団に潜りながら、秀明は忙しそうに部屋を片づける葉子を横目で見ていた。
(親切は有難いのだが・・)
葉子は新婚の人妻だった。
地方公務員の夫と一年前に見合い結婚していた。
いくら会社の同僚が病気だとは言え、男と女がひとつの部屋にいるのは世間体が悪い。
「あ、有難う。もう大丈夫だから・・」
「大丈夫じゃありません。お風呂も全然掃除していないじゃないですか。こんな部屋で暮らしていたら、病気になるのも当たり前です。あら、洗濯物もこんなに・・」
「いや、しかし・・ご主人が待っているんじゃないか?」
「気にしないで下さい。私、結構お節介で、困っている人を放っておけないんです」
葉子は秀明の気まずさなど意に介さず、甲斐甲斐しく風呂掃除と洗濯を始めた。
その日、葉子は夕方まで気忙しく家事を続けた。
お蔭で部屋は見違えるようにピカピカになった。
「吉川課長、これからも時々チェックに来ますから」
そう叱ってスペアキーを取り上げた葉子は、つくったお粥を卓袱台に残して帰って行った。
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