『あやかしの肌』・・・第十五章
『あやかしの肌』
第十五章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
闇に暮れた神田の路地裏には、街燈換わりの赤提灯が点々と連なっている。
その明かりに照らされて、千鳥足で歩く男達の影が路面に揺れていた。
「ゴマすり部長なんかに、俺の実力がわかってたまるかよ!」
「いひひ、庶務課の和子ちゃん、でかいチチがたまらんなあ」
泥酔したサラリーマンの喧騒が、焼き鳥の煙とともに路地の隅々にまで充満していく。
辰二は『酒肴美千代』にいた。
カウンターでコップ酒片手の辰二に、女将が焼きたての鰯の丸干しを出した。
「本当に来てくれるとは思わなかったわ」
「ああ、今日は定休日だから」
先ほどまでいたサラリーマン達は帰り、客は辰二独りになっていた。
女将は加賀美千代と名乗った。
三十五歳、この店の二階で暮らしをしていると言う。
「あたしね、辰巳芸者だったの。昔は大店のご隠居に囲われていたのよ」
しんみりと呟くと、美千代は辰二が返杯した日本酒をくっと小気味よくあおった。
芸者だった美千代は、呉服屋の隠居に見染められて妾になった。
ところがその隠居が昨年亡くなり、親族から厄介扱いされる形で手切れ金を貰い、ここ神田に小料理屋を開いたのだと言う。
辰二は酒でぽっと赤らんだ美千代の頬を見つめた。
「粋筋の女だと思っていたよ」
「厭ねえ、お風呂で裸を見られたと思うと恥ずかしいわ」
カウンターの中で美千代は、着物の胸元に手を当ててもじもじと身をよじった。
「旦那が亡くなって今は独りかい?」
「決まっているでしょう。あたしって結構一途な女なのよ」
ややぽっちゃりとした顔立ちの美千代が、薄いピンク色の頬を窄めて口を尖らせた。
つづく・・・
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その明かりに照らされて、千鳥足で歩く男達の影が路面に揺れていた。
「ゴマすり部長なんかに、俺の実力がわかってたまるかよ!」
「いひひ、庶務課の和子ちゃん、でかいチチがたまらんなあ」
泥酔したサラリーマンの喧騒が、焼き鳥の煙とともに路地の隅々にまで充満していく。
辰二は『酒肴美千代』にいた。
カウンターでコップ酒片手の辰二に、女将が焼きたての鰯の丸干しを出した。
「本当に来てくれるとは思わなかったわ」
「ああ、今日は定休日だから」
先ほどまでいたサラリーマン達は帰り、客は辰二独りになっていた。
女将は加賀美千代と名乗った。
三十五歳、この店の二階で暮らしをしていると言う。
「あたしね、辰巳芸者だったの。昔は大店のご隠居に囲われていたのよ」
しんみりと呟くと、美千代は辰二が返杯した日本酒をくっと小気味よくあおった。
芸者だった美千代は、呉服屋の隠居に見染められて妾になった。
ところがその隠居が昨年亡くなり、親族から厄介扱いされる形で手切れ金を貰い、ここ神田に小料理屋を開いたのだと言う。
辰二は酒でぽっと赤らんだ美千代の頬を見つめた。
「粋筋の女だと思っていたよ」
「厭ねえ、お風呂で裸を見られたと思うと恥ずかしいわ」
カウンターの中で美千代は、着物の胸元に手を当ててもじもじと身をよじった。
「旦那が亡くなって今は独りかい?」
「決まっているでしょう。あたしって結構一途な女なのよ」
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