『あやかしの肌』・・・第十六章
『あやかしの肌』
第十六章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
辰二は美千代の過去を夢想した。
おそらく年老いた大旦那のことだ。
前戯で美千代の体を狂わせても、三十路を過ぎた熟肉を、最後まで満たすことはできなかっただろう。
(肌が男を求めている)
長年女の肌を見てきた辰二は、三助の勘で体の火照り具合がわかった。
その夜夫婦の営みを期待する妻の肌は、どこかいつもより熱くしっとりと湿っている。
間違いなく美千代の肌は、貪欲に男を求める女盛りの艶めきを滲ませていた。
辰二は鰯の丸干しを頭からかじった。
「もう十一時か・・女将、そろそろお愛想してくれ」
「あら、もう少しいいじゃない」
美千代は赤く潤んだ瞳で誘うような流し目を送ってきた。
「しかし明日があるから」
「ああん、肩が凝っちゃったの・・揉んでくれるって約束したじゃない。店を早仕舞するからちょっと待ってて」
辰二を席に座らせたまま、いそいそと美千代は店の外へ出てのれんを下ろした。
夜が更けていく。
神田の街もやっと静けさを取り戻しつつあった。
網戸を嵌めた窓の外には、吊りしのぶの風鈴が、チリンチリンと夏の弱い夜風に揺れている。
つづく・・・
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おそらく年老いた大旦那のことだ。
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(肌が男を求めている)
長年女の肌を見てきた辰二は、三助の勘で体の火照り具合がわかった。
その夜夫婦の営みを期待する妻の肌は、どこかいつもより熱くしっとりと湿っている。
間違いなく美千代の肌は、貪欲に男を求める女盛りの艶めきを滲ませていた。
辰二は鰯の丸干しを頭からかじった。
「もう十一時か・・女将、そろそろお愛想してくれ」
「あら、もう少しいいじゃない」
美千代は赤く潤んだ瞳で誘うような流し目を送ってきた。
「しかし明日があるから」
「ああん、肩が凝っちゃったの・・揉んでくれるって約束したじゃない。店を早仕舞するからちょっと待ってて」
辰二を席に座らせたまま、いそいそと美千代は店の外へ出てのれんを下ろした。
夜が更けていく。
神田の街もやっと静けさを取り戻しつつあった。
網戸を嵌めた窓の外には、吊りしのぶの風鈴が、チリンチリンと夏の弱い夜風に揺れている。
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